Grant Green - Alive! (1971)
Grant Green 1971

Grant Green - Alive! (1971)

Jazz Blues Funk / Soul Jazz-Funk Soul-Jazz

Grant Green『Alive!』——クラブ録音で切り取られた、70年代グラント・グリーンの転換点

グラント・グリーンは、ブルー・ノートを代表するギタリストのひとりだが、『Alive!』はその中でも少し位置が違う。1960年代のハード・バップ寄りの端正な演奏とは別に、ここでは1970年8月15日、ニュージャージー州ニューアークのクラブ「Cliché Lounge」でのライヴを収録し、ソウル/ファンクの要素を前面に出した演奏が展開される。録音は1970年、オリジナル盤の発売は1971年、レーベルはBlue Note、カタログ番号はBST-84360。

この作品は、グラント・グリーンにとって初の公式ライヴ録音として知られている。プロデューサーはフランシス・ウルフ。ブルー・ノートの写真家としても重要な人物で、当時の空気をそのまま封じ込めるような記録性が、このアルバムの骨格になっている。スタジオ作品の整った響きとは違い、会場の熱気や演奏の押し引きが前に出る構成で、曲の長さも10分超えが並ぶ。

編成と演奏の組み立て

メンバーは、テナー・サックスのクロード・バーティー、ヴィブラフォンのウィリー・ビヴンス、ドラムのアイドリス・ムハマド、コンガのジョセフ・アームストロング。オルガンは曲ごとに担当が分かれ、ロニー・フォスターが「Let The Music Take Your Mind」「Sookie, Sookie」を、ニール・クリークが「Time To Remember」「Down Here On The Ground」を担当している。ギター、オルガン、テナー、ヴィブラフォン、パーカッションが、それぞれの隙間を埋めながら進む編成で、バンド全体がひとつのグルーヴを作る感覚が強い。

実際に聴くと、グラント・グリーンの音はメロディをなぞるだけでなく、リフを短く反復してリズムの芯を作る方向に寄っている。特に「Sookie, Sookie」では、アイドリス・ムハマドのドラムが前に出て、ギターとオルガンが粘りのある推進力を保つ。派手なソロの応酬よりも、同じフレーズを少しずつずらしながら長く引っ張る場面が印象に残る。

選曲の背景

収録曲は、当時のソウル/ファンクの流れを強く反映している。「Let The Music Take Your Mind」はクール&ザ・ギャングの楽曲、「Sookie, Sookie」はドン・コヴェイとスティーヴ・クロッパーの共作、「Down Here On The Ground」はラロ・シフリンとゲイル・ガーネットの曲、「Time To Remember」はニール・クリークのオリジナル。いずれも、ジャズのレパートリーというより、当時のダンス・ミュージックやクロスオーバー感覚に近い素材だ。

この選曲は、70年代初頭のグラント・グリーンの方向性をよく示している。ブルー・ノートの初期を支えたギタリストが、ハード・バップの文法だけでなく、より身体的なリズムを重視する音楽へ踏み込んでいる。ジョージ・ベンソンやウェス・モンゴメリーのような同時代のギタリストと比べても、ここではより反復とグルーヴの持続に重心がある。

『Alive!』の位置づけ

グラント・グリーンにとって『Alive!』は、単なるライヴ盤ではなく、後期のファンク路線を代表する記録として扱われている。AllMusicでは高く評価され、後期グラント・グリーンが録音した中でも特にハードなファンクLPとして触れられている。The Penguin Guide to Jazzでも好意的に取り上げられ、熱気のあるクラブ録音として見られている。

また、後年のレア・グルーヴやヒップホップの文脈でも注目された。とくに「Down Here On The Ground」は、ア・トライブ・コールド・クエストの「Vibes And Stuff」でサンプリングされている。こうした再評価は、当時のジャズ・ギター作品が単なるジャズ史の一部ではなく、70年代以降のブラック・ミュージック全体の素材として機能していたことを示している。

オリジナル盤と後年のCD化

オリジナルの1971年盤は、Cliché Loungeでの演奏をそのまま前面に出した構成。のちの1993年CD化では、「Hey, Western Union Man」「It's Your Thing」「Maiden Voyage」が追加収録され、初出盤とは聴こえ方が少し変わる。オリジナル盤は、ライヴの流れを比較的コンパクトにまとめた印象があり、後年盤は資料性が増した形だ。

ブルー・ノートの中でも、『Alive!』は初期の洗練されたハード・バップ、60年代の代表作群とは別の顔を見せる一枚だ。録音年は1970年、発売は1971年。グラント・グリーンが、クラブの現場でファンク寄りのバンドを率いた瞬間を切り取った作品として、今もはっきりした輪郭を持っている。

トラックリスト

  1. A1 Let The Music Take Your Mind 8:30
  2. A2 Time To Remember 10:30
  3. B1 Sookie, Sookie 11:00
  4. B2 Down Here On The Ground 6:45

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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