Harvey Mandel - Baby Batter (1971)
Harvey Mandel 1971

Harvey Mandel - Baby Batter (1971)

Rock Blues Funk / Soul Blues Rock

Harvey Mandel『Baby Batter』

「ザ・スネーク(The Snake)」の異名をとるギタリスト、ハーヴィー・マンデル(Harvey Mandel)が1971年にジャナス・レコード(Janus Records)から発表したソロ第4作『Baby Batter』。全曲マンデル自身のペンによるインストゥルメンタルで構成され、シカゴ・ブルースのルーツと先鋭的なジャズ・ファンク/ロックの語法が融合したギター・インストの傑作である。タイトル曲「Baby Batter」の冒頭には、マンデルの幼い愛息エリックの無邪気なつぶやき声がサンプリング的にフィーチャーされている。

制作背景・エピソード

本作には当時の西海岸の腕利きミュージシャンが集結。キャンド・ヒート時代の盟友ラリー・テイラー(ベース)をはじめ、ハワード・ウェールズやマイク・メルヴォイン(キーボード)、コリン・ベイリーとポール・ラゴス(ドラム)、ビッグ・ブラックやエミル・リチャーズ(パーカッション)が強靭なボトムを支えている。さらにウエスト・コースト・ジャズの重鎮ショーティー・ロジャースがブラスとストリングスのアレンジを手掛け、ブラックスプロイテーション映画のサントラを思わせるシネマティックでファンキーなスケール感を付与した。

時代の文脈とサウンド

1970年代初頭は、ロック、ジャズ、ファンク、ブルースが急速に交差し、クロスオーバー・サウンドが花開いた変革期。チャーリー・マッスルホワイトのバンドやキャンド・ヒート、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズなどで活躍してきたマンデルは、シカゴ・ブルース直系の鋭いピッキングに、ファズやワウ、サスティナーを駆使したエレクトリックな音響実験を持ち込んだ。

タイトル曲「Baby Batter」のうねるファンク・ビートとブラスの応酬、叙情的なギターが咽び泣く「Midnight Sun」、タイトなリズムのキメがスリリングな「Freedom Ball」、骨太なブルース・フィーリングが炸裂する「Hank The Ripper」など聴きどころは尽きない。「ザ・スネーク」と呼ばれる所以となった、蛇のように滑らかで粘り気のあるサスティン・トーンが全編で強烈な存在感を放っている。

後世への影響

マンデルが先駆けて実践していた両手タッピング(フィンガー・タッピング)奏法や持続音のコントロールは、後にエディ・ヴァン・ヘイレンをはじめとするハードロック世代のギタリストたちへ大きなインスピレーションを与えた。また、1974年末にミック・テイラーが脱退したザ・ローリング・ストーンズの後任候補としてセッションに招かれ、名盤『Black and Blue』(1976年)の「Hot Stuff」や「Memory Motel」で印象的なリードギターを弾いた逸話も広く知られている。

本作の引き締まったリズム・セクションとファンキーなギター・リフは、後年のレア・グルーヴやブレイクビーツの文脈でも再評価された。ドイツでは『Electronic Progress』のタイトルでリリースされるなど、ブルース・ロックがジャズ・ファンクへと昇華した1970年代初頭の記念碑的アルバムとして今なお輝きを放っている。

トラックリスト

  1. A1 Baby Batter 3:45
  2. A2 Midnight Sun 6:15
  3. A3 One Way Street 4:20
  4. A4 Morton Grove Mama 4:53
  5. B1 Freedom Ball 6:15
  6. B2 El Stinger 7:15
  7. B3 Hank The Ripper 5:11

動画プレイリスト

公開: 2026年11月
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