Ike & Tina Turner - Workin' Together (1970)
Ike & Tina Turner 1970

Ike & Tina Turner - Workin' Together (1970)

Funk / Soul Soul Rhythm & Blues

Ike & Tina Turner『Workin' Together』──1970年の勢いをそのまま刻んだ一枚

Ike & Tina Turnerの『Workin' Together』は、1970年にUSのLibertyから出たアルバム。アイク・ターナーとティナ・ターナーのデュオが、当時のR&Bとソウルの現場感を強く残した作品で、スタジオ録音でありながらライヴのような推進力が前面に出ている。収録曲は新曲とカバーが混ざり、ビートルズやCCRの楽曲をソウル・バンド流に組み替えた構成。アイクがプロデュースを担い、カリフォルニア州イングルウッドにあった自前のBolik Soundで録音されている。

アルバムの立ち位置

1960年代後半から1970年代初頭にかけてのIke & Tina Turnerは、シングルのヒットと強烈なステージ・パフォーマンスで存在感を広げていた時期。この『Workin' Together』は、その流れの中でも特に勢いがまとまったアルバムとして扱いやすい。後の大きなブレイクへ向かう前段階というより、すでに完成度の高いショーをレコードに落とし込んだ一枚、という印象が強い。

タイトル曲「Workin' Together」はR&Bチャートで41位を記録し、代表曲「Proud Mary」はBillboard Hot 100で4位まで上昇した。CCRの原曲をただなぞるのではなく、ゆっくり始めて途中から一気に加速する構成が特徴で、この展開がIke & Tina Turnerの代名詞として定着した。1972年のグラミー賞では最優秀R&Bボーカル・パフォーマンス(グループ)を受賞しており、この曲がアルバムの中心にあるのは間違いない。

収録曲と聴きどころ

このアルバムで目立つのは、カバー曲の扱いの巧さ。ビートルズの「Get Back」「Let It Be」を取り上げている点だけでも、当時のポップ/ロックの話題性をソウル側から受け止めていたことが見えてくる。さらに「Ooh Poo Pah Doo」はR&B31位、Hot 100で60位を記録していて、シングルとしても機能している。

曲ごとのクレジットを見ると、Unart Music、Fame Publishing、Maclen Music、Placid Musicなど、当時の出版社が細かく並ぶ。こうした情報からも、オリジナル曲とカバー曲が混ざった実務的なアルバム設計がうかがえる。とくに「Funkier Than a Mosquita's Tweeter」はティナの姉アリーン・ブロックの曲で、後にニーナ・シモンがカバーしたことでも知られる。家族の曲がレパートリーに入っている点も、この時期のIke & Tina Turnerらしい要素。

サウンドの印象

実際に聴くと、音数は多いのに整理されていて、リズム隊の押しがかなりはっきりしている。ティナの声は前に出るときの強さが際立ち、アイクのバンド・アレンジはその声を押し上げる方向に働いている。ソウル、R&B、ファンクの境目を細かく分けるというより、演奏の圧でまとめてしまう作り。ライヴ盤ほどの荒さではないが、スタジオ録音としてはかなり熱量が高い。

後年の耳で聴いても、単に懐メロとしてまとまる感じではなく、ロックのカバーを黒人音楽の文法で再構成していく姿勢が明確。Creedence Clearwater RevivalやThe Beatlesの楽曲が、Ike & Tina Turnerの手にかかると、別のテンポ感と別の重心を持つ曲に変わる。ここがこのアルバムの面白さの核になっている。

評価と当時の反応

発売当時の評価は良く、Billboard 200で25位、R&Bアルバム・チャートで3位、西ドイツでは12位を記録した。批評面でも好意的で、当時のレビューではプロフェッショナルな演奏とまとめ方が評価されている。後年もAllMusicが高得点を付け、ロバート・クリストガウもB評価を与えている。

1971年にはフランスのアカデミー・デュ・ジャズからオーティス・レディング賞を受賞しており、この時期のIke & Tina Turnerが、アメリカ国内だけでなく海外でもR&Bの強い表現者として見られていたことがわかる。ロックとソウルの往復が当たり前になりつつあった1970年前後の空気の中で、このアルバムはその接点をかなりはっきり示している。

オリジナル盤の情報

US盤のレーベルはLiberty。Libertyは1950年代にハリウッドで始まった老舗で、1968年にはTransamerica傘下に入り、当時はLiberty/UA系の体制で動いていた。バックカバーには「also available in 8-track cartridge 9112 and cassette C-1112」とあり、当時のリリース形態の広がりも確認できる。裏ジャケットにはボリック・サウンドが「Bolik Sound」と表記されている。

『Workin' Together』は、Ike & Tina Turnerのライブの強さ、当時のR&Bの現場感、そしてポップ/ロックのカバー感覚が一枚にまとまった作品。ヒット曲「Proud Mary」を軸にしつつ、アルバム全体でも勢いが落ちにくい構成で、1970年という時代のソウル・アルバムの一つの形を示している。

トラックリスト

  1. A1 Workin' Together 3:36
  2. A2 (As Long As I Can) Get You When I Want You 2:25
  3. A3 Get Back 3:15
  4. A4 The Way You Love Me 2:38
  5. A5 You Can Have It 3:28
  6. A6 Game Of Love 2:47
  7. B1 Funkier Than A Mosquita's Tweeter 2:40
  8. B2 Ooh Poo Pah Doo 3:35
  9. B3 Proud Mary 4:48
  10. B4 Goodbye, So Long 1:56
  11. B5 Let It Be 3:15

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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