Ike Turner & The Kings Of Rhythm - A Black Man's Soul (1969)
Ike Turner & The Kings Of Rhythm『A Black Man's Soul』
1969年4月、テキサス州ダラスの独立レーベル、Pompeii Recordsから出たIke Turner & The Kings Of Rhythm名義のインストゥルメンタル・ファンク作。アイク・ターナーがバンドを率い、移動先のローカル・スタジオでセッションを重ねて録音した作品で、当時「アイク&ティナ・ターナー・レヴュー」として全米各地をツアーしていた合間の制作だった。
制作背景・エピソード
このアルバムでは、ビリー・プレストンがピアノで参加した「Getting Nasty」がひとつの注目点になっている。ほかにも、レイモンド・ヒルやマック・ジョンソンらの管楽器セクション、リズム隊が並び、バンド単位での演奏を前面に出した構成。収録曲は全編インストゥルメンタルで、「Thinking Black」「Black Beauty」「Ghetto Funk」「Blacks' Alley」「Black Angel」など、曲名だけでも当時の意識がはっきり見える並びになっている。
リリース盤の注記としては、「Electronically Re-Recorded To Stimulate Stereo」の表記があり、A4、A5、A6、B5、B6はモノラル原盤からステレオ用に再現されたとされる。さらに、このバリエーションはカラフルなジャケットと黄色ラベルで、ほかの版には白黒ジャケットと白ラベル、黒文字のものがある。
時代の文脈
1969年のアメリカでは、ブラック・パワー・ムーヴメントや公民権運動の高まりの中で、ブラック・アイデンティティへの誇りが文化の前面に出ていた。『A Black Man's Soul』の曲名群は、その空気をそのまま反映している。「Thinking Black」や「Black Angel」といったタイトルが並ぶ構成は、当時のムードと直結している。
音楽面では、JBことジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンが切り開いたニュー・ファンクの流れと並走する位置づけ。ブルースやR&Bの現場で長く活動してきたアイク・ターナーが、ここでファンクのフォーマットに正面から取り組んだ記録として扱われている。オープニングの「Thinking Black」、疾走感のある「Ghetto Funk」、ビリー・プレストンの鍵盤が入る「Getting Nasty」、キラー・ファンク・チューンとして知られる「Funky Mule」、エディ・フロイドのカヴァー「Philly Dog」など、曲ごとの役割もはっきりしている。
後世への影響
のちのレア・グルーヴやディープ・ファンクの文脈で再評価され、クラブDJやレコード・コレクターの間で注目を集めた作品。ブラックスプロイテーション映画のサウンドトラックを先取りしたような、骨太なファンク・アンサンブルとしても受け止められ、ヒップホップ世代のトラックメイカーやサンプリング・ヘッズからの支持も広がった。
リリース当時は大きなプロモーションやシングル・ヒットには恵まれなかったが、2000年代以降のFunky Delicaciesによる再発盤などを通じて、60年代末のUSディープ・ファンク/レア・グルーヴを語るうえで外せない1枚として扱われている。タイトルどおり、アイク・ターナーのバンド・リーダー/プロデューサーとしての手腕が、インスト・ファンクに集約された作品だ。
トラックリスト
- A1 Thinking Black 2:41
- A2 Black Beauty 2:21
- A3 Ghetto Funk 2:33
- A4 Blacks' Alley 2:44
- A5 Black Angel 3:15
- A6 Getting Nasty 3:08
- B1 Funky Mule 3:22
- B2 Philly Dog 2:24
- B3 Scotty Souling 2:59
- B4 Up Hard 2:40
- B5 Nuttin' Up 2:25
- B6 Freedom Sound 2:38