Khruangbin - The Universe Smiles Upon You (2015)
Khruangbin『The Universe Smiles Upon You』
Khruangbinの1stスタジオ・アルバム『The Universe Smiles Upon You』は、2015年11月にUKのNight Time Storiesから登場した作品。米テキサス州ヒューストン出身のトリオによる初のフル・アルバムで、バートンの人里離れた納屋で制作と録音が進められた。都市の喧騒から離れた環境で、曲作りからレコーディングまでを行った点が、この作品の出発点になっている。
制作背景とエピソード
バンドは、ギターのマーク・スピア、ベースのローラ・リー、ドラムスのドナルド・“DJ”・ジョンソンの3人編成。テキサス州バートンの納屋に機材を持ち込み、エアコンも断熱材もない空間で作業したという。窓の外に広がるテキサスの自然環境が、作品の制作条件として語られている。バンド名「Khruangbin」はタイ語で「飛行機」を意味し、タイのロック/ファンクへのオマージュとして採られたもの。国境をまたぐ影響源を示す名前でもある。
収録曲では、「Two Fish and an Elephant」、「Dern Kala」、「White Gloves」、「People Everywhere (Still Alive)」が特に挙げられている。「White Gloves」は数少ないボーカル入りトラックで、亡き愛猫に捧げられたバラードとして紹介されている。なお、限定2,000枚のナンバリング入り180グラム重量盤には、ローラ・リーによる手描きのゲートフォールド・スリーブとカバーアートのインサートが付属し、ロックド・グルーヴの後に隠しトラック「Bin Bin X」が収録されている。
時代の文脈
2010年代半ばは、EDMや過度にプロデュースされたポップが主流にある一方で、チルアウト、バレアリック、ワールド・サイケデリックへの関心がアンダーグラウンドで強まっていた時期として語られている。Khruangbinは、1960〜70年代のタイの歌謡音楽「ルクトゥン」や「モーラム」のカセット音源に影響を受け、東南アジアのペンタトニック・スケールとサーフ・ギターのトーンを、アメリカ南部のソウル/ファンクと結びつけた。
その結果として、テキサスの納屋から世界へつながる形で、独自のグローバルなグルーヴを提示したとされる。リリース時には、英国ガーディアン紙やPitchforkが「2015年最も魅惑的で独創的なデビュー作のひとつ」と評しており、口コミとストリーミングを通じてファンを広げた。Night Time StoriesはLate Night Talesの姉妹レーベルで、2013年設立のオリジナル・アーティスト作品向けレーベルとして本作を送り出している。
後世への影響
本作の成功によってKhruangbinは世界的な存在感を獲得し、続く『Con Todo El Mundo』(2018年)や『Mordechai』(2020年)へとつながっていく。さらに、グラストンベリーやコーチェラといった大規模フェスでのヘッドライナー級の活動の土台にもなったとされる。
また、この作品で固まった「ミニマルなトリオ編成による、エキゾチックでメロウなインストゥルメンタル・ファンク」という方向性は、2010年代後半以降のネオ・ソウル、チルホップ、ベッドルーム・ポップ、現代サイケデリック・シーンにも影響を与えたとまとめられている。限定盤アナログの人気も高く、現代のクラシックとして扱われている。
トラックリスト
- A1 Mr. White 4:58
- A2 Two Fish and an Elephant 3:33
- A3 Dern Kala 3:39
- A4 Little Joe & Mary 5:08
- A5 White Gloves 3:38
- B1 People Everywhere (Still Alive) 2:39
- B2 The Man Who Took My Sunglasses 2:13
- B3 August Twelve 6:13
- B4 Balls and Pins 3:28
- B5 Zionsville 4:11
- B6 Bin Bin X 2:51
動画プレイリスト
-
Khruangbin - Mr White
-
Khruangbin - Two Fish And An Elephant (Official Video)
-
Khruangbin - Dern Kala
-
Khruangbin - Little Joe & Mary
-
Khruangbin - White Gloves (Official Video)
-
Khruangbin - People Everywhere (Still Alive)
-
Khruangbin - The Man Who Took My Sunglasses
-
Khruangbin - August Twelve
-
Khruangbin - Balls & Pins
-
Khruangbin - Zionsville
このアーティストについて
Khruangbin(クルアンビン)は、アメリカ・テキサス州ヒューストンを拠点に活動するトリオだ。出身地としてはテキサス州ブルトンとも記されている。メ...
Khruangbin のプロフィール・作品一覧Khruangbin の他のレビュー