Kraftwerk - Autobahn (1974)
Kraftwerk 1974

Kraftwerk - Autobahn (1974)

Electronic Experimental Krautrock

Kraftwerk『Autobahn』レビュー

Kraftwerkの『Autobahn』は、1974年にドイツで登場したアルバムで、バンドの歩みの中でも大きな節目にあたる作品だ。デュッセルドルフで1970年に結成された彼らは、それまで実験性の強いインストゥルメンタル作品を重ねてきたが、このアルバムでは表題曲を中心に、後の活動へつながる明確な輪郭が見えてくる。電子音楽の文脈で語られることが多いが、ここでは単なる新奇さよりも、日常の移動そのものを音にしていく感覚が前面に出ている。

アルバムの核となる表題曲

アルバムの中心は、やはり22分に及ぶ「Autobahn」だ。高速道路を走る車内の感覚、一定速度で続く移動、景色が流れていく時間の伸び方を、そのまま音楽に置き換えたような構成で進む。反復するフレーズ、ヴォコーダーを通した声、機械的なリズムが組み合わさり、題材は具体的なのに、聴感はかなり抽象的でもある。

この曲は後に3分27秒へ編集されたシングル・ヴァージョンが国際的にヒットし、全米ビルボードHot 100で最高25位、全英チャートで最高11位を記録した。Kraftwerkにとって、ここまで広く受け入れられたことは大きい。アンダーグラウンド寄りの実験集団という印象から、世界規模で認知される電子音楽の先駆者へと立ち位置が変わっていく転機の一枚でもある。

音の作りと聴きどころ

実際に聴くと、音数は多くないのに、場面の切り替わりがはっきりしている。冒頭の静けさから、走行感のあるリズムが立ち上がり、途中でシンセやコーラスが重なっていく流れに、長尺曲らしい展開がある。派手な演奏で押すタイプではなく、音の配置と反復の積み重ねで時間を作る作法。のちのテクノやシンセポップで当たり前になる感覚が、ここではまだ生々しく試されている。

歌詞の反復フレーズ「wir fahren, fahren, fahren」は、英語圏ではThe Beach Boysの「Fun, Fun, Fun」や「Barbara Ann」を連想させるという指摘が出てきた。Wolfgang Flürはこの説を明確に否定している一方、Ralf HütterはThe Beach Boysからの影響自体を認めている。結果として、この曲はアメリカン・ポップの感触とドイツ的な機械性が同じ場所に置かれた作品としても読まれてきた。

1974年のKraftwerkにおける位置づけ

『Autobahn』は、Kraftwerkがそれ以前の作品群から次の段階へ移る入口にあたる。後の『Radio-Activity』『Trans-Europe Express』『The Man-Machine』のような、より明確にコンセプト化された電子音楽へ向かう前段階として見ると、この作品の役割は分かりやすい。まだロックのアルバムとしての呼吸も残しつつ、すでにバンドの中心が電子音に移っている。

同時代のクラウトロック周辺、たとえばNeu!やCan、あるいはシンセを拡張していく各地の実験音楽と並べると、Kraftwerkはこの時点でかなり独自だ。即興性やノイズの押し引きよりも、整った構造、反復、都市生活の感覚に寄っている。1970年代半ばの作品としては珍しく、未来の乗り物やインフラのイメージがそのまま音楽の主題になっている。

オリジナル盤の情報

このドイツ盤はPhilipsからの1974年リリースで、クレジットには「Recorded at Conny's Studio & Mobile Equipment」「Printed in Germany」「℗ 1974 Phonogram GmbH」とある。レーベルはPhilips 6305 231。盤面は両面ともステレオ表記で、ランアウトは完全スタンプ。ジャケット裏面にはKling-Klang Verlag GmbHの表記も見える。フロントに青白いステッカーが付いた仕様もあるようだ。

こうした初期盤の情報を見ると、『Autobahn』が単に有名曲を含むアルバムというだけでなく、1974年当時のドイツのレコード産業とKraftwerkの制作環境がそのまま封じ込められた記録でもあることがわかる。のちに世界中で参照される電子音楽の出発点として、まずこの一枚が置かれている。

まとめ

『Autobahn』は、Kraftwerkが実験的なグループから、明確なビジョンを持つ電子音楽ユニットへ移る途中の作品だ。表題曲の長い走行感、シングル版のヒット、ヴォコーダーの使い方、反復の設計。それらが1974年の時点でまとまっている点に、このアルバムの強さがある。後年のテクノ、エレクトロ、シンセポップにまでつながる要素が、すでにかなり具体的な形で鳴っている。

トラックリスト

  1. A Autobahn 22:30
  2. B1 Kometenmelodie 1 6:20
  3. B2 Kometenmelodie 2 5:44
  4. B3 Mitternacht 4:40
  5. B4 Morgenspaziergang 4:00

動画プレイリスト

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