Supermax - Fly With Me (1979)
Supermax 1979

Supermax - Fly With Me (1979)

Electronic Rock Krautrock Disco

Supermax『Fly With Me』について

『Fly With Me』は、オーストリア出身のKurt Hauensteinを中心にしたプロジェクト、Supermaxが1979年に発表したアルバムである。ディスコを軸にしつつ、ロック、ファンク、レゲエ、シンセサイザーの要素を組み合わせた内容で、いわゆるディスコ一辺倒の作品ではない。Kurt Hauenstein自身がベース、リード・ボーカル、キーボード、ギターまで担っており、バンドというよりも制作主導の色合いが強い盤でもある。

Supermaxは1976年にフランクフルトで始動したプロジェクトで、1977年の『World of Today』収録曲「Lovemachine」のヒットで広く知られるようになった。そちらの成功を受けた流れの中で出てきたのが本作で、1970年代後半の欧州ディスコとクラウトロックの接点を、より整った形で提示したアルバムとして聴ける。アメリカ盤はElektraからのリリースで、同レーベルが当時のロック、ポップ、ダンス系作品を広く扱っていた流れにもきれいに乗っている。

制作と録音の輪郭

録音とミックスはドイツのHotline Studiosで行われ、Peter Haukeがプロデュースを担当している。ミックスにはAphex Aural Exciterが使われたと記録されており、音の輪郭を前に出す処理が意識されていたことがうかがえる。1979年という時期を考えると、ディスコのリズム感とスタジオ処理の精度が重要になっていた時代で、その文脈の中にしっかり置ける作品である。

アルバムには全7曲が収録され、「World of Today」「Fly With Me」「It Ain’t Easy」「It’s A Long Way To Reach Heaven」「Reggae Fever」などが並ぶ。中でも「It Ain’t Easy」は1979年の楽曲として知られ、アルバムの中核を担う曲として扱われている。「Reggae Fever」ではレゲエ的なリズムにヴォコーダーが絡む構成が確認でき、ディスコのフォーマットの中へ別の要素を持ち込む手つきが見える。

曲ごとの印象

実際に聴くと、最初に耳に残るのは低音の押し出しと、ビートの一定した推進力である。ここに派手な装飾を足すというより、ベースライン、ドラム、シンセのレイヤーを順に重ねていく作りで、曲が進むほどに細部が見えてくるタイプのアルバムだ。タイトル曲「Fly With Me」は、歌とリズムのバランスがはっきりしていて、ダンス向けの骨格を保ちながらも、ロック寄りの演奏感が残る。レゲエ色のある「Reggae Fever」は、アルバム内でも質感が変わる一曲で、同じテンポ感に頼らずに展開を作っている。

「World of Today」は、1977年作の代表曲「Lovemachine」以後のSupermaxらしい、当時のダンス・ロックの延長線上に置ける。とはいえ、ヒット曲をそのままなぞるのではなく、よりアルバム単位での流れを重視した構成になっている。派手なサビで押すより、反復とアレンジの積み重ねで聴かせる盤である。

1979年の位置づけ

1979年はディスコが大きく広がり、同時にロック側からの反応も強まっていた時期である。Supermaxはその境目にいて、欧州の制作感覚を保ちながら、アメリカ盤でも通るような明快さを持ち込んでいる。クラウトロックの実験性をそのまま前面に出すのではなく、ダンスフロア向けの分かりやすいビートに落とし込んでいる点が、この作品の輪郭になっている。

同時代の比較でいえば、グルーヴの作り方やスタジオ志向の強さは、ロックバンドの延長にあるディスコ作品とも、純粋なユーロディスコとも少し違う。Kurt Hauensteinの主導で進む制作体制が、その中間に独特の位置を作っている。のちに彼らが南アフリカ公演で政治的な反響を呼んだことも含め、Supermaxは単なるダンス・グループではなく、時代の空気を背負ったプロジェクトとして記憶されている。

US盤について

このUS盤はElektraの6E-193で、1979年当時のElektraのバタフライ・ラベル期にあたる。さらに本作には、Elektra/Asylumのプロモーション盤も存在していたことが記録されている。アメリカ市場向けに流通したことで、欧州発のディスコ・ロックがどのように受け止められていたかを示す一枚にもなっている。

『Fly With Me』は、Supermaxの持ち味であるダンス感覚とバンド的な演奏を、1979年の録音技術の中でまとめたアルバムである。「Lovemachine」で知られるプロジェクトの次の段階として聴くと、Kurt Hauensteinがどの方向へ音を伸ばしていたのかが見えやすい作品だ。

トラックリスト

  1. A1 World Of Today 4:20
  2. A2 Fly With Me 4:00
  3. A3 Be What You Are 2:55
  4. A4 It Ain't Easy 5:40
  5. B1 It's A Long Way To Reach Heaven 4:15
  6. B2 Reggae Fever 3:30
  7. B3 Ain't Gonna Feel 8:30

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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