Laura Nyro And Labelle - Gonna Take A Miracle (1971)
Laura Nyro And Labelle『Gonna Take A Miracle』
1971年にColumbiaから出た『Gonna Take A Miracle』は、Laura NyroがLabelleと組んで録音したカバー集だ。ブロンクスで育ったニーロが、母のレコードを聴きながら独学でピアノを覚え、少女時代には街角や地下鉄でハーモニーを歌っていた、という原点に強く結びついた作品でもある。彼女自身がティーンエイジャーの頃に親しんだハーモニー・グループへのトリビュートとして構想された。
制作背景と録音の経緯
きっかけになったのは、前作『Christmas and the Beads of Sweat』でキャロル・キングとジェリー・ゴフィンの「Up On The Roof」を取り上げたことだった。その後のツアーでも「Spanish Harlem」などを歌うようになり、そこから少女時代に聴いた音楽への回帰が具体化していく。ちょうどその頃、ニーロはLabelleのマネージャー、ヴィッキー・ウィッカムと知り合い、ウィッカムが連れてきたパティ・ラベルと意気投合した。ラベルは、出会ってすぐに“ソウル・シスター”のようになったと振り返っている。ラベルはその後、ニーロのツアーに料理係兼付き添いとして同行した。ウィッカムによれば、ニーロのアパートのピアノを囲んで、「ローラが曲を弾くと、サラとノーナとパットが自分のパートを拾って歌い始めた」という。
録音は1971年5月から6月にかけて、フィラデルフィアのSigma Sound Studiosで実施された。プロデュースは、のちにフィラデルフィア・インターナショナル設立へ向かうケニー・ギャンブルとレオン・ハフ。弦の編曲はトム・ベル、ホーンはボビー・マーティンとLenny Pakulaが担当し、演奏にはノーマン・ハリス、ロニー・ベイカー、ヴィンセント・モンタナ・ジュニアらSigma Sound周辺のミュージシャンが加わった。伝記作家ミシェル・コートは、ギャンブル&ハフが関わっていても、実際にはニーロが主導権を握っていたと書いている。編曲もニーロのピアノのパートを起点に組み立てられ、彼女はコントロール・ルームでテイクごとに意見を伝えていたという。
ウィッカムによれば、ベーシック・トラックの作業に時間がかかり、2週間近く経ってもLabelleのパートはまだ録れていなかった。予約最終日、ギャンブル&ハフが「今夜から始める」と告げると、ラベルは一晩で終えると返し、ハフは5時間で終わるはずがないと1000ドルを賭けた。結果としてLabelleは4時間半で10曲すべてを録り終えたというエピソードが残っている。
時代の文脈
アルバムは1971年11月17日に発売され、ポップ・アルバム・チャートで46位、ブラック・アルバム・チャートで41位を記録した。主に自作曲を歌うアーティストが作ったカバー・アルバムとしては、かなり早い例とされる。Labelleは当時、ノーナ・ヘンドリックスとサラ・ダッシュとのトリオとして、ブルーベルズ時代からロックの聴衆へ向かおうとしていた時期にあたる。さらに1971年のクリスマス・イヴには、ニーロとLabelleがカーネギー・ホールで共演している。
ニーロは本作を最後のつもりで作り、録音後に引退した。まだ24歳だったが、名声と舞台への恐怖に疲れ切っていたという。結婚して田舎で暮らすために音楽業界を離れ、次のアルバムまで4年以上の空白が生まれた。結果として『Gonna Take A Miracle』は、ニーロにとって商業的に成功した最後のアルバムになった。
後世への動き
本作は、ニーロとラベルの生涯にわたる友情の始まりにもなった。2005年には英誌The Wordの「過小評価されたアルバム60選」に選出され、2002年にはLegacyからフィルモア・イーストでのライヴ4曲を加えた拡大盤も登場している。The Afterwordは、この作品をニーロのキャリアの最良の表現と呼び、マーヴィン・ゲイが共作・プロデュースしたThe Originalsの「The Bells」ではバック・ヴォーカルがリードと対等に扱われていること、マーサ&ザ・ヴァンデラスの「Nowhere To Run」ではハーモニーによって曲が倍の長さに引き伸ばされていることを指摘した。ニーロ自身は、シュレルズの「I Met Him On A Sunday」を「お気に入りのティーンエイジャーの胸の高鳴りの音楽」と表現している。AllMusicは4.5つ星を付けている。
トラックリスト
- A1 I Met Him On A Sunday 1:50
- A2 The Bells 2:59
- A3 Monkey Time / Dancing In The Street 4:54
- A4 Desiree 1:50
- A5 You've Really Got A Hold On Me 4:05
- B1 Spanish Harlem 2:52
- B2 Jimmy Mack 2:55
- B3 Wind 2:54
- B4 Nowhere To Run 5:03
- B5 It's Gonna Take A Miracle 3:23
動画プレイリスト
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I Met Him On A Sunday (Album Version)
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The Bells (Album Version)
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Monkey Time/Dancing In The Street (Album Version)
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Desiree (Album Version)
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You've Really Got A Hold On Me (Album Version)
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Spanish Harlem
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Jimmy Mack (Album Version)
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The Wind
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Nowhere To Run (Album Version)
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It's Gonna Take A Miracle (Album Version)
このアーティストについて
Laura Nyro(ローラ・ニーロ、本名:Laura Nigro、1947年10月18日〜1997年4月8日)は、アメリカ・ニューヨーク州ブロンクス出身のシンガー・ソングラ...
Laura Nyro のプロフィール・作品一覧