Lonnie Smith - Funk Reaction (1977)
Lonnie Smith『Funk Reaction』(1977年)について
Dr. Lonnie SmithことLonnie Smithは、ハモンドB3オルガンを中心に活動してきたジャズ・キーボーディストで、ブルーノート時代のソウル・ジャズ作品でまず名を広めた人物だ。George BensonのカルテットやLou Donaldsonとの仕事を経て、1960年代後半にはブルーノートと結びつき、『Think!』『Turning Point』『Move Your Hand』のような作品で存在感を強めていく。その後、1970年代半ばにはプロデューサーSonny Lesterのもとで、よりファンクやソウル、フュージョン寄りの録音へと進んだ。本作『Funk Reaction』は、そうした流れの中で1977年にUSのLester Radio Corporationから出たアルバムで、同時期の彼の方向性をよく示す一枚になっている。
1970年代後半のLonnie Smithの立ち位置
この時期のLonnie Smithは、ブルーノートで築いたオルガン・ジャズの語法を土台にしながら、よりダンスフロアに近いリズムへ接近している。前作の『Keep On Lovin'』(1976年)を経て、本作、そして翌1978年の『Gotcha』へと続く流れの中で、ジャズ・ファンクとディスコの要素が強まっていく。なお、この頃から「Dr.」の称号とターバンのスタイルを身につけるようになったことでも知られるが、音楽面ではむしろ、オルガン奏者としての輪郭を保ったまま時代のビートを取り込んでいる点が重要だ。
サウンドの中心は、オルガンとリズム隊
『Funk Reaction』は、演奏陣の顔ぶれもかなり強い。ドラムスにSteve Gadd、ベースにBob Babbitt、ギターにLance Quinnといったセッション・ミュージシャンが入り、作曲・編曲・指揮はBrad Bakerが担当している。テナー・サックスのEddie Danielsや、キーボードのYaron Gershovskyも曲によって参加しており、アルバム全体が単なるオルガン主導ではなく、編曲を含めてきっちり組み立てられた制作物になっている。Lonnie Smithのオルガンはもちろん前面にあるが、バンド全体の推進力がしっかり確保されている点が印象に残る。
収録曲の見どころ
表題曲「Funk Reaction」は、このアルバムの性格を端的に示す曲だ。ジャズ・ファンクの骨格に、ディスコ期らしい直線的なビート感が重なり、オルガンのリフがその上を進んでいく。派手に崩すというより、一定のグルーヴを保ちながら押していくタイプの曲で、フロア向けの設計がはっきりしている。
「For The Love Of It」は、表題曲より少しジャズ寄りの感触がある。ファンクの推進力を持ちながらも、旋律やフレーズの置き方に余裕があり、Lonnie Smithのオルガンが歌う場面が目立つ。「Babbitt's Other Song」はBob Babbittのクレジットがついた一曲で、やや神秘的な空気を持ち、Eddie Danielsのテナー・ソロが曲の輪郭を整えている。「When The Night Is Right」では、Richie Hohenburgerのギター・ソロとYaron Gershovskyの鍵盤が耳に残る。どの曲も、ソロの見せ場より先に、ビートとアレンジの流れを聴かせる作りになっている。
この時代のジャズ・ファンクとして
1970年代後半のジャズ・ファンクやソウル・ジャズには、オルガンを軸にしながらディスコやR&Bの要素を取り込む作品が少なくない。Lonnie Smithもその流れの中にいて、同時代のオルガン奏者やフュージョン系のキーボーディストと並べて語られることがある。ただ、本作は技巧の誇示よりも、リズムの持続とアンサンブルのまとまりを重視している点が特徴的だ。Blue Note時代の硬質なソウル・ジャズとは違い、より時代の空気に近い音像になっている。
レーベルと盤の存在感
オリジナルはUSのLester Radio Corporationからのリリースで、Sonny LesterがGroove Merchantの活動を経て運営したレーベルの一つにあたる。Groove Merchantから移ってきたアーティストも多く、1970年代のジャズ・ファンク/ソウル系作品の受け皿として機能していた。本盤のラベルは、左側の表記やⓟの位置で判別しやすいバリエーションとして知られている。こうした細部も、当時の流通やプレスの事情を映す要素になっている。
まとめ
『Funk Reaction』は、Lonnie Smithがブルーノート期のオルガン・ジャズを経て、1970年代後半のファンク/ディスコ寄りの文脈へ入っていった時期を示す作品だ。Steve Gadd、Bob Babbittらの堅いリズムに支えられた演奏は、オルガン・ジャズの延長線上にありながら、より都会的で整ったグルーヴを持つ。代表曲としては表題曲がまず挙がるが、アルバム全体としても、派手さよりも編曲と推進力で聴かせる構成になっている。Lonnie Smithのキャリアの中では、ソウル・ジャズからジャズ・ファンクへの移行を確認できる一枚として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 Funk Reaction 5:51
- A2 For The Love Of It 6:10
- A3 Babbitt's Other Song 6:12
- B1 It's Changed 6:12
- B2 When The Night Is Right 7:12
- B3 All In My Mind 6:15
動画プレイリスト
このアーティストについて
Lonnie Smith(Dr. Lonnie Smith、1942年7月3日〜2021年9月28日)は、アメリカ・ニューヨーク州ラッカワナ出身のジャズ・オルガン奏者だ。ハモンドB3...
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