Lynyrd Skynyrd - Gimme Back My Bullets (1976)
Lynyrd Skynyrd『Gimme Back My Bullets』— 1976年作の空気感を、1980年US再発盤で聴く
Lynyrd Skynyrdの『Gimme Back My Bullets』は、1976年に発表された4作目のスタジオ・アルバムで、バンドの代表的なサザン・ロック像を少し別の角度から見せる作品だ。前2作ほどの勢いをそのまま拡大した内容ではなく、曲ごとの輪郭や演奏の緊張感が前に出る。南部の土埃や大きなフックだけで押し切るのではなく、やや神経質で引き締まった感触があるのが面白いところ。
ここで扱うのは1980年のUS盤再発。MCA Recordsのブルー・ラベル期に入った時期のプレスで、オリジナルの1976年盤とは発売時期が異なる。MCAのUS LPラベルは1973年の黒地レインボーから始まり、1977年以降はタン系、そして1980年にブルー地レインボーへ移行しているため、この盤もその流れの中にある。オリジナル盤との大きな違いは、まずレーベル・デザインとプレス時期にある。
作品の位置づけ
本作は、Lynyrd Skynyrdにとって転換点に近いアルバムだ。1973年のデビュー作、1974年の『Second Helping』で築いた勢いのあとに置かれた1枚で、当時の評価は前2作ほど高くなかったとされる。一方で後年になると、タイトル曲や「Double Trouble」、「Searching」などの楽曲に着目して再評価が進んだ。バンドの初期像を知るうえで、単なる中継点ではなく、演奏の密度を確認できる作品として機能している。
制作面ではTom Dowdがプロデュースを担当。録音時にはEd Kingが脱退しており、編成の不安定さが背景にあったことが知られている。その影響もあってか、全体の鳴りは整いすぎず、むしろ少し荒さを残したまま進む。Lynyrd Skynyrdの持ち味であるツイン・ギターの絡みはもちろんあるが、ここでは派手な見せ場より、曲の中でじわじわ効いてくるリフや間の取り方が印象に残る。
収録曲の印象
タイトル曲「Gimme Back My Bullets」は、アルバムの顔としてわかりやすい推進力を持つ。言葉数を詰め込みすぎず、バンドの演奏が前へ押していくタイプの曲だ。「Double Trouble」はシングルにもなったが、大きなヒットにはつながっていない。それでも、バンドの硬質なグルーヴがよく出た楽曲で、ライブ感のある運びが耳に残る。「Searching」も含めて、本作は派手な一発より、曲の芯をどう通すかに意識が向いた作りになっている。
聴き進めると、初期Lynyrd Skynyrdの大らかな開放感だけでなく、少し張りつめた空気が混ざっているのがわかる。南部のバンドらしい土臭さはあるが、同時代のオールマン・ブラザーズ・バンドのような流麗さとは別方向で、より直線的なロックの圧が強い。1970年代半ばのサザン・ロックの中でも、快活さだけでなく、演奏の重さや不安定さをそのまま作品に残した盤として見ておきたい。
エピソードと周辺事情
タイトルの“bullets”については、チャート上昇を指す業界用語に由来するという説明がある一方、ライブ中に観客が実際の弾丸を投げ込んだという逸話も伝わっている。こうした話が残るあたりも、当時のバンドを取り巻く空気の濃さを示している。アルバムは英国アルバムチャートで最高34位を記録し、米国でも堅実な反応を得たが、前作ほどの広い拡散には至っていない。大ヒット作というより、固定ファンの支持で支えられた1枚という立ち位置だ。
1970年代のサザン・ロックは、Lynyrd Skynyrdを中心に、Molly Hatchetや38 Special、The Marshall Tucker Bandなどへ文脈がつながっていくが、本作はその流れの中でも少し硬派な側に置かれる。のちの再結成期のSkynyrdが、オリジナル期の楽曲を軸に活動を続けるうえでも、このアルバムの楽曲群は欠かせない。派手な代表曲だけでなく、バンドの体温や演奏の癖が見える作品として、1976年時点のLynyrd Skynyrdをそのまま封じた内容になっている。
1980年US再発盤について
この1980年盤は、オリジナルの1976年盤とはプレス時期が異なり、MCAのブルー・レインボー・ラベルで出た再発盤にあたる。収録内容は同じでも、当時のMCAのレーベル変遷を反映した一枚で、コレクション上はオリジナル盤と並べて見たくなる存在だ。1980年という時点で、Lynyrd Skynyrdは1977年の飛行機事故によってオリジナル編成の活動が止まっており、この再発盤は、事故以前のバンドの姿を後年のMCA体制のもとで受け継いだものでもある。
『Gimme Back My Bullets』は、Lynyrd Skynyrdの作品群の中で、勢いだけでは語れない1枚だ。演奏の密度、曲の骨格、当時のバンド内の空気、そのあたりがまとまって残っている。1976年のオリジナル作としても、1980年の再発盤としても、バンドの中間地点を知るための重要な記録になっている。
トラックリスト
- A1 Give Me Back My Bullets 3:28
- A2 Every Mother's Son 4:56
- A3 Trust 4:24
- A4 I Got The Same Old Blues 4:08
- B1 Double Trouble 2:48
- B2 Roll Gypsy Roll 2:49
- B3 Searching 3:18
- B4 Cry For The Bad Man 4:48
- B5 All I Can Do Is Write About It 4:14