Magazine - Real Life (1978)
Magazine 1978

Magazine - Real Life (1978)

Rock New Wave Post-Punk

Magazine『Real Life』(1978) — ポストパンク初期の緊張感をそのまま刻んだ1枚

Magazineの1stアルバム『Real Life』は、1978年にUKのVirginからリリースされた作品で、バンドの出発点をそのまま示す重要な記録だ。Manchester出身のバンドとして紹介されることの多いMagazineは、元BuzzcocksのHoward Devotoを中心に結成され、当時のパンクの速度感を引き継ぎながら、より硬質で、より構築的な方向へ進んでいった。『Real Life』はその最初の到達点にあたるアルバムで、のちのポストパンクの輪郭をかなり早い段階で見せている。

この作品を聴くと、単に「パンクの延長」とは言い切れない作り込みが目立つ。ギターは鋭く、ベースとドラムは前に出すぎずに圧を保ち、ボーカルは感情を押し出すというより、言葉の切れ味で曲を運ぶ。いわゆるロックの熱量だけで押し切るタイプではなく、曲ごとの構造や間の取り方がはっきりしているのがMagazineらしさだ。1978年という年を考えると、Pere UbuやWire、Public Image Ltd.などと並んで語られる文脈にも自然につながる。

作品の位置づけ

『Real Life』は、Magazineが「新しいロックの形」を探っていた初期の姿を示すアルバムだ。Devotoは、より進歩的で、単純なロックの型に寄らないバンドを作ろうとしていたとされ、その意図はこの1枚にもよく表れている。後年のアルバムでは音の厚みやアレンジの広がりも増していくが、デビュー作の時点で、すでに既存のパンク・バンドとは違う設計思想が見える。

また、John McGeochのギターがこの時点から重要な役割を担っている点も見逃せない。のちにSiouxsie and the Bansheesへ移る彼のプレイは、単なるリフの反復ではなく、曲の中で細かな音像を組み立てるタイプで、『Real Life』でもその存在感が際立つ。Magazineの初期作品を語るうえで、ここはかなり大きい。

聴きどころ: “Shot by Both Sides”

アルバムを代表する曲としてまず挙がるのが“Shot by Both Sides”だ。Magazineの中でも特に知られた楽曲で、シングルとしても広く認識されている。冒頭からギターの動きがはっきりしていて、ただ激しいだけではなく、フレーズの組み立てそのものに推進力がある。リズムも直線的に突っ走るというより、細かいアクセントで曲を前へ押す感じだ。

Howard Devotoのボーカルは、この曲でも感情を大きく揺らすというより、言葉の配置で緊張感を作る。サビへ向かう流れは分かりやすい一方で、どこか落ち着かない感触が残るのがMagazineらしい。ヒット曲として語られることが多いが、単純なキャッチーさより、初期ポストパンクの「整っているのに不穏」という感触をよく伝える曲でもある。

聴きどころ: “Motorcade”

“Motorcade”は、アルバム全体の硬質な空気をよく示す1曲だ。リズムの組み方が丁寧で、ベースとドラムが前面で暴れるのではなく、一定の圧力を保ちながら曲を支えている。そこにギターの細かなフレーズが重なり、音数は多くないのに密度が高い。Magazineの初期が持っていた「冷たさ」と「切迫感」が、比較的わかりやすい形で出ている。

この曲では、派手な展開よりも、同じ温度のまま少しずつ形を変えていく構成が印象に残る。アルバムの中で聴くと、単独の強い曲というより、作品全体の流れを引き締める役割が大きい。こうした曲作りは、後のニューウェイヴやポストパンクの中でも、より知的で構築的なバンドに通じる部分がある。

サウンドと時代性

1978年のUKロックは、パンクの衝撃が落ち着き始める一方で、その次の形を探す動きが活発だった時期だ。『Real Life』は、その移行期に出たアルバムとして見ると分かりやすい。荒さを残しながらも、演奏やアレンジはかなり整理されていて、感情の爆発よりも知性と緊張で聴かせる。たとえば同時代のバンドと比べても、Magazineは曲の内部を細かく組む意識が強い。

ヴォーカルの語り口、ギターの切り方、リズム隊の抑制、そのどれもが「勢いだけではないロック」を作る方向に向いている。結果として、派手な一発で押す作品ではないが、アルバム全体を通して聴くと、初期Magazineの輪郭がかなりはっきり見えてくる。

UK Virgin盤について

このレコードはUK盤で、Virginのカタログ番号はV 2100。Virginのレーベル・デザイン史で見ると、1978年は緑/赤の切り替え期にあたるが、アルバムの見た目としてはVirginらしい時代感を持つ1枚といえる。Virginは当時、英国の新しいロックやニューウェイヴを積極的に扱っていたレーベルで、Magazineのようなバンドを抱えていたこと自体が、その時代の空気をよく表している。

まとめ

『Real Life』は、Magazineの出発点であり、同時に初期ポストパンクの重要な座標でもある。曲数や音圧で押すアルバムではないが、1曲ごとの組み立て、演奏の緊張感、Devotoの言葉の置き方がはっきりしていて、バンドの個性が最初から強く出ている。代表曲“Shot by Both Sides”を軸に聴くと、Magazineが単なるパンク・フォロワーではなく、別のロックの形を探していたことがよく分かる。初期作品としての存在感はかなり大きい。

トラックリスト

  1. A1 Definitive Gaze 4:25
  2. A2 My Tulpa 4:47
  3. A3 Shot By Both Sides 4:01
  4. A4 Recoil 2:50
  5. A5 Burst 5:00
  6. B1 Motorcade 5:41
  7. B2 The Great Beautician In The Sky 4:56
  8. B3 The Light Pours Out Of Me 4:36
  9. B4 Parade 5:08

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