Graham Central Station - Graham Central Station (1974)
Graham Central Station『Graham Central Station』
1974年1月にWarner Bros. Recordsからリリースされた、Graham Central Stationの記念すべきセルフタイトル・デビュー作。Sly & The Family Stoneの革新的なベーシストとして黄金期を支えたLarry Grahamが、1972年のグループ脱退後に結成した新バンドの初作である。もともとオークランドで活動していたローカル・バンドHot Chocolateを彼がプロデュースしたことを契機に合流し、ニューヨークの名所グランド・セントラル駅(Grand Central Station)をもじって「Graham Central Station」と改称して始動した。
制作背景・エピソード
バンドの編成は、Larry Graham(ベース、ボーカル、ギター)を中心に、Hershall “Happiness” Kennedy(クラビネット、エレクトリックピアノ、オルガン、ボーカル)、Willie “Wild” Sparks(ドラムス、ボーカル)、David “Dynamite” Vega(ギター)、Robert “Butch” Sam(オルガン、ピアノ、ボーカル)、Patryce “Choc’Let” Banks(ボーカル、タンバリン、ファンク・ボックス)という強力な6人体制。男女混成のボーカル・ワークと圧倒的なテクニックを誇るベイエリアの凄腕ミュージシャンたちが集い、バンド全体がひとつの生命体のように躍動するサウンドを作り上げた。
本作からはシングル「Can You Handle It?」が全米R&Bチャート第9位のスマッシュ・ヒットを記録。Larry Grahamのソロ・プロジェクトという域を遥かに超え、強烈な個性と結束力を誇る本格派ファンク・グループとしての立ち位置を強烈に世に知らしめた。
サウンドと聴きどころ
本作の最大の聴きどころは、Larry Grahamが確立した「スラップ・ベース(Thumpin' and Pluckin')」が、リズム・セクションの枠を飛び越えてバンド全体のリード楽器および推進力として機能している点にある。重厚なビートとともに幕を開ける「We’ve Been Waiting」から、Al Greenの名曲を重量級ファンク・ロックへと大胆に解体・再構築した「It Ain’t No Fun To Me」へと続く流れは圧巻。唸りを上げるチョッパー・ベースと歪んだファズ・ギターが獰猛なグルーヴを生み出している。
大ヒットを記録した「Can You Handle It?」では、跳ねるスラップ・ベースと親しみやすいメロディ、厚みのある男女混成コーラスが絶妙に融合。スライ時代を彷彿とさせるアグレッシブなファンク・ナンバー「Hair」や「We Be’s Gettin’ Down」、クラビネットと初期型リズムマシン(ファンク・ボックス)が疾走する「Tell Me What It Is」、そしてディープなゴスペル・フィーリングと社会的なメッセージ性を湛えた「People」「Ghetto」に至るまで、オークランド・ファンクの骨太な魅力と多彩な音楽的アイディアが凝縮されている。
時代の文脈
1970年代初頭、ファンク・ミュージックはJames BrownやSly & The Family Stoneの先駆的な試みから、Kool & The Gang、Tower of Power、Earth, Wind & Fireなど多様な進化を遂げていた。その最前線において、Larry Grahamが提示した極太のスラップ・ベースとハード・ロックにも通じるラウドなアンサンブルは、ファンクのサウンド・プロダクションを新たな次元へと引き上げた。本作はBillboard Top Soul Albumsチャートで20位をマークし、ベイエリア・ファンクの黄金期を代表する金字塔となった。
後世への影響
本作で確立されたスラップ・ベースのアンサンブル手法は、Marcus Miller、Flea(Red Hot Chili Peppers)、Victor Wootenといった無数の後続ベーシストにとって不滅のバイブルとなった。さらに、マルチな才能を発揮してバンドを率いるLarry Grahamのスタイルや、電子リズムボックスと生ドラムを組み合わせたハイブリッドなグルーヴは、若き日のPrinceに直撃し、80年代ミネアポリス・ファンクの直接的な礎を築いた。ヒップホップ世代以降もサンプリング・ソースとして愛され続けるなど、現代に至るブラック・ミュージックの歴史において決定的な影響力を放ち続けている。
トラックリスト
- A1 We've Been Waiting 0:57
- A2 It Ain't No Fun To Me 5:11
- A3 Hair 4:55
- A4 We Be's Gettin' Down 4:43
- A5 Tell Me What It Is 4:56
- B1 Can You Handle It? 5:10
- B2 People 4:31
- B3 Why? 3:37
- B4 Ghetto 4:23