The S.O.S. Band - On The Rise (1983)
The S.O.S. Band 1983

The S.O.S. Band - On The Rise (1983)

Electronic Funk / Soul Funk Soul Disco

The S.O.S. Band『On The Rise』

The S.O.S. Bandの『On The Rise』は、1983年7月にタブー・レコード(Tabu Records)からリリースされた通算4作目のスタジオ・アルバム。アトランタ出身のR&B/ファンク・グループが、新進気鋭のプロデュース・デュオであるジミー・ジャム&テリー・ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)を全面的に迎えて制作した歴史的傑作である。

制作背景・エピソード

本作の制作時、ジャム&ルイスはプリンス率いるザ・タイム(The Time)の現役メンバーであった。二人はアトランタでのS.O.S.バンドのレコーディング・セッションに没頭していたが、猛吹雪により航空便が欠航し、ザ・タイムのサンアントニオ公演に間に合わず欠席。これに激怒したプリンスによってバンドを電撃解雇されるという音楽史に残る事件へと発展した。しかし、このセッションで生み出された楽曲群が爆発的な成功を収めたことで、ジャム&ルイスは独立プロデューサーとしての名声を確固たるものにし、のちのジャネット・ジャクソンらの世界的成功へと続く道を切り拓いた。

時代の文脈とサウンド

1980年代初頭のディスコ・ブーム終焉に伴い、ブラック・ミュージックの制作現場では急速にエレクトロニクス化が進行していた。本作は、生演奏のファンクを強みとしていたS.O.S.バンドに、ローランド TR-808 ドラムマシンやシンセサイザーの大胆なプログラミングを導入し、80年代アーバン・ファンク/ブギーの革新的な方向性を決定づけた。

重低音を響かせるTR-808の乾いたビート、空間を浮遊するシンセサイザーのコードワーク、テリー・ルイスの弾く粘りのあるベースラインが一体となり、冷徹さと官能性が同居したミネアポリス流のエレクトロ・グルーヴを創出している。そこにリード・シンガーであるメアリー・デイヴィス(Mary Davis)の凛としたエモーショナルな歌声が乗ることで、唯一無二の洗練されたアーバン・ソウルが完成した。

後世への影響

リード・シングル「Just Be Good To Me」は、1980年代エレクトロ・ファンクの金字塔となっただけでなく、後世のダンス・ミュージックやヒップホップに計り知れない影響を与えた。1990年にはノーマン・クック(のちのファットボーイ・スリム)率いるビーツ・インターナショナルが、本曲のベースラインとメロディを大胆に引用した「Dub Be Good to Me」を発表し、全英チャート1位を獲得する世界的ヒットとなった。さらにマライア・キャリー「Always Be My Baby (Mr. Dupri Mix)」や2Pac「Words 2 My First Born」など、現在に至るまで数多くのサンプリングやカヴァーの源泉であり続けている。また、甘美なバラード「Tell Me If You Still Care」は、1990年代以降のスロウ・ジャムのひな型として愛され続けている。

米ビルボードのR&Bアルバム・チャートで7位、Billboard 200で47位を記録し、RIAAゴールド・ディスクを獲得。「Just Be Good To Me」は米R&Bシングル・チャート2位、「Tell Me If You Still Care」は同5位を記録し、タブー・レコードを代表する看板作となった。

トラックリスト

  1. A1 Tell Me If You Still Care 6:58
  2. A2 Just Be Good To Me 9:03
  3. A3 For Your Love 6:09
  4. B1 I'm Not Runnin' 4:37
  5. B2 If You Want My Love 4:20
  6. B3 On The Rise 3:30
  7. B4 Who's Making Love 4:16
  8. B5 Steppin' The Stones 3:23

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

The S.O.S. Band

The S.O.S. Band

The S.O.S. Bandは、アメリカのR&B/エレクトロ・ファンク・バンドだ。ジャンル表記ではFunk / Soul、スタイルではSoul、Discoが挙がっている。も...

The S.O.S. Band のプロフィール・作品一覧

The S.O.S. Band の他のレビュー

Share
戻る

あわせて聴きたい "Funk"

toast