Ozric Tentacles - Erpsongs (1985)
Ozric Tentacles 1985

Ozric Tentacles - Erpsongs (1985)

Rock Psychedelic Rock

Ozric Tentacles『Erpsongs』について

Ozric Tentaclesは、1983年にイングランド・サマセットで始動したプログレッシブ/スペース系ロック・バンドである。Ed Wynneを中心に、長い活動の中で編成を変えながらも、独自のサイケデリックな感触を保ち続けてきた。本作『Erpsongs』は、その初期にあたる1985年にカセット作品として登場した、実質的なファースト作品として扱われる一枚だ。2015年にMadfishからUK & Europe盤としてアナログ再発されており、ここではその再発盤を手に取る形になる。

自主制作の空気がそのまま残る初期音源

『Erpsongs』の背景をたどると、Ozric Tentaclesというバンドの出自がかなりはっきり見えてくる。ストーンヘンジ周辺のフリー・フェスティバルやトラベラーズ・カルチャーの文脈から生まれたバンドで、初期は大きなスタジオ作品というより、仲間内の感覚を持った手作りの音源だった。本作もまさにその延長線上にある。家庭用ステレオに近い機材で録音され、ジャケットも手描き。整った商品というより、現場の空気を封じ込めた記録に近い。

オリジナルのカセットは曲目表記も明確ではなく、後年のCD化で正式なトラックリストが整理されたという流れも、この作品の性格をよく表している。2015年盤はMadfishによる再発で、オリジナルの1985年カセットを現代のフォーマットで聴ける形にしたものだ。Made in Germany表記のあるプレスで、MadfishがSnapper Music傘下のレーベルであることも含め、90年代以降の再評価の文脈に置かれたリリースと見てよさそうだ。

収録内容と初期Ozric Tentaclesの輪郭

この時期のOzric Tentaclesは、のちの長尺ジャムや電子音の層を強く押し出す路線に比べると、より生々しく、即興性の比重が高い。ギター、ベース、ドラム、キーボードが絡み合う基本形はすでにできていて、そこにサイケデリックな反復や、フェス現場由来の自由な展開が乗っていく。後年の作品で目立つ緻密な構築感よりも、曲がその場で伸びていくような感触が前に出る。

初期プレスにはHere & Nowのカバー「Surgeons Knife」が収録されていたが、後の版では「Oddhamshaw」に差し替えられたという経緯がある。こうした入れ替えも、初期作品らしい流動性を示している。バンド名の由来が、焚き火のそばでの会話からふと生まれたという逸話も残っていて、作品全体の手触りとよく重なる。

バンドの中での位置づけ

『Erpsongs』は、Ozric Tentaclesの出発点を知るための資料的価値が高い。1980年代半ばの英国アンダーグラウンドには、Here & NowやGong周辺、そして後のスペース・ロックやサイケデリック・ジャムにつながる流れがあり、その中でOzric Tentaclesは、より長く活動を続けた存在として定着していく。本作は、その後の膨大なディスコグラフィーの中でも、まだ輪郭が固まり切る前の段階を示している。

Ed Wynneが結成時から現在まで唯一のオリジナル・メンバーとして残っていることを考えると、『Erpsongs』は彼らの原点であり、同時に後年まで続く美学の出発点でもある。のちにシーン全体で引用されるようなスペース・ロックのイメージは、ここですでに芽を出している。とはいえ、この段階ではまだ大作志向よりも、演奏の流れそのものを聴かせる作りのほうが強い。

再発盤としての意味

2015年のMadfish盤は、1985年のカセット初出から30年を経て、当時の音源をアナログであらためて提示したものだ。初出時の手作り感をそのまま持ち込むのではなく、再発盤として整理された形で残している点に意味がある。初期カセットのラフな空気を知る入口でありながら、現在の流通環境で触れやすい形にもなっている。

Ozric Tentaclesの長い歴史の中では、後年の作品群のほうが音作りも演奏も大きく洗練されるが、『Erpsongs』にはそれ以前の、ほぼ野外の空気のまま録音したような質感がある。バンドの始まりを追ううえで外せない一枚であり、1980年代英国サイケデリック・ロックのローカルな現場感をそのまま残した記録でもある。

トラックリスト

  1. A1 Velmwend 4:35
  2. A2 Fast Dots 3:47
  3. A3 Thyroid 5:04
  4. A4 Spiral Mind 3:32
  5. B1 Synth On A Plinth 1:57
  6. B2 Dharma Reggae 4:55
  7. B3 Tidal Otherness 5:39
  8. B4 Erpriff 1:37
  9. C1 Descension 5:00
  10. C2 Misty Gliss 4:30
  11. C3 Dots Thots 4:27
  12. D1 Clockdrops 2:48
  13. D2 Five Jam 6:51
  14. D3 Oddhamshaw 6:08

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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