The Doors - Strange Days (1967)
The Doors 1967

The Doors - Strange Days (1967)

Rock Psychedelic Rock

The Doors『Strange Days』――1967年のロサンゼルスから届いた、もうひとつの扉

The Doorsの『Strange Days』は、1967年にアメリカでリリースされた2作目のスタジオ・アルバムだ。前年のデビュー作で一気に注目を集めたバンドが、その勢いを保ったまま短い間隔で出した作品であり、初期The Doorsの輪郭をかなりはっきり示している一枚でもある。Ray Manzarekの鍵盤、Robby Kriegerのギター、John Densmoreのドラム、そしてJim Morrisonの声と歌詞。その4人の役割が、ここではよりくっきり噛み合っている印象がある。

録音メンバーの面でも、この時期のThe Doorsらしさが出ている。ベースは固定メンバーではなく、Doug Lubahnが参加している。つまり、バンドの核はあくまでオルガン、ギター、ドラム、ボーカルの4点にあり、その上で低音を補強する形だ。US盤はElektraのゴールド地に大きな白いEロゴの時期にあたるプレスで、1966年から1969年まで使われたデザインの流れにある。オリジナルの1967年盤として見ると、まさにThe DoorsがElektraの看板に成長していく途中の記録だ。

アルバム全体の印象

『Strange Days』は、デビュー作にあった即効性の高い曲群をそのまま延長するというより、スタジオ作品としての密度を少し上げた内容に感じられる。Morrisonの歌は相変わらず前に出るが、曲の構造や音の置き方はやや凝っていて、単純にライブで盛り上がるだけでは終わらない。サイケデリック・ロックという括りで語られることは多いが、実際にはブルース由来の粘りや、ジャズに近い間合いも見える。初期のJefferson Airplaneや、同時代のサンフランシスコ勢と比べても、The Doorsは西海岸のバンドでありながら、もっと閉じた空気を持っている。

聴き進めると、音数の多さよりも、音の隙間が印象に残る。Manzarekの鍵盤が和音を埋めすぎず、Kriegerのギターも派手に歪ませる場面ばかりではない。そこにMorrisonの言葉が乗ることで、曲が歌ものというより、短い場面の連なりのように見えてくる。実際に通して聴くと、派手なヒット曲だけでなく、アルバム全体のまとまりで聴かせる作りになっているのがわかる。

代表曲「People Are Strange」

このアルバムを代表する曲としてまず挙がるのが「People Are Strange」だろう。短い曲だが、The Doorsのイメージをかなり凝縮している。歌詞は人間関係の違和感をそのまま切り取ったような内容で、Morrisonの歌い方も、感情を大きく振りかぶるというより、淡々と観察しているように聴こえる。そこに入るオルガンの動きが、曲全体の空気を決めている。

この曲は1967年11月にシングルとして出ており、アルバムの中でも特に知られた1曲だ。サビで急に景色が開けるタイプではなく、むしろ最後まで居心地の悪さを保ったまま進む。その感覚がThe Doorsらしさにつながっていて、ポップソングとしてのわかりやすさと、気分の落ち着かなさが同居している。

「Moonlight Drive」と「Unhappy Girl」

「Moonlight Drive」は、後にシングルB面としても出た曲で、The Doorsの初期レパートリーの中でもかなり重要な位置にある。タイトル通り夜の移動感があり、地に足がついているようでいて、どこか現実からずれていく感じがある。Morrisonのボーカルはここでも演劇的だが、過剰に盛り上げるのではなく、言葉の切れ目に不穏さを残していく。

一方の「Unhappy Girl」も、アルバム全体の中で耳に残る曲だ。こちらはシングル「People Are Strange」のB面として扱われた曲で、曲そのものの長さ以上に、印象の残り方が強い。メロディは比較的つかみやすいが、歌詞の内容は単純ではなく、The Doorsが持つ陰影を短い尺に閉じ込めたような作りだ。派手な展開よりも、言葉と音の距離感で聴かせるタイプの曲として置かれている。

同時代の中での位置づけ

1967年という年は、ロックが大きく広がった時期としてよく語られるが、『Strange Days』はその中でもかなり独特な場所にある。明るい共同体感を前に出すバンドも多かったなかで、The Doorsは都市の夜、密室、内面の不安といった方向に寄っている。サイケデリック・ロックの一種ではあるものの、同じ言葉でまとめられる他のバンドより、もっと乾いた質感がある。

The Doorsにとっては、デビュー作の次に何を見せるかが問われた時期の作品でもある。結果として『Strange Days』は、ヒット曲の知名度だけでなく、バンドの作曲、演奏、歌詞世界のバランスを示すアルバムになっている。オリジナルのUS盤で聴くと、1967年当時のElektraの白いEロゴのレーベルも含めて、時代の手触りがそのまま残っているのも面白いところだ。

まとめ

『Strange Days』は、The Doorsの初期像を決定づけた作品のひとつとして見てよさそうだ。代表曲「People Are Strange」を軸にしながら、アルバム全体では夜の気配、都市の違和感、内向きの緊張感が一貫している。ライブの勢いだけではなく、スタジオで音を組み立てる感覚も強く出ていて、1967年のUSオリジナル盤は、その時代の空気をそのまま閉じ込めた記録として読める一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Strange Days 3:05
  2. A2 You're Lost Little Girl 3:01
  3. A3 Love Me Two Times 3:23
  4. A4 Unhappy Girl 2:00
  5. A5 Horse Latitudes 1:30
  6. A6 Moonlight Drive 3:00
  7. B1 People Are Strange 2:10
  8. B2 My Eyes Have Seen You 2:22
  9. B3 I Can't See Your Face In My Mind 3:18
  10. B4 When The Music's Over 11:00

動画

Share
記事一覧に戻る
toast