SZA - SOS (2022)
SZA『SOS』
SZAの2作目のスタジオ・アルバム『SOS』は、2022年12月にTop Dawg EntertainmentとRCA Recordsから発表された作品で、ここで扱うのは2023年にUSでリリースされた2枚組アナログ盤だ。全23曲、約68分というボリュームで、世界中から待望された本編をLP2枚に収めた形となっている。ジャケットは海上の飛び込み台にひとり佇むSZAの姿を捉えたもので、1997年にダイアナ妃がヨットの飛び込み台で撮影された有名な報道写真へのオマージュとして知られ、孤立と傷つきやすさという本作のテーマを象徴している。
制作背景・エピソード
『SOS』は、大絶賛を浴びたデビュー作『Ctrl』(2017年)以来、約5年半ぶりのアルバムとして届けられた。制作には長年の盟友であるロブ・バイゼル、カーター・ラングらに加え、ベイビーフェイス、ジェフ・バスカー、ロドニー・ジャーキンス、ベニー・ブランコといった名プロデューサー陣が参加している。客演にはトラヴィス・スコット、ドン・トリヴァー、インディー・ロックのフィービー・ブリジャーズが並び、さらに故オール・ダーティー・バスタードのサンプリングも含まれる。収録曲の幅は広く、元恋人への愛憎を映画モチーフで描いた「Kill Bill」や、フィービー・ブリジャーズとの共演が話題を呼んだ「Ghost in the Machine」など、多彩なコラボレーションが結実した。
本作のアナログLP盤はシングル・ジャケット仕様で、フロントのシュリンクラップにハイプ・ステッカーが貼付されている。ランアウトには米国の名門マスタリング・スタジオ「STERLING」の刻印が刻まれており、現代R&Bの金字塔をアナログの質感で味わえる決定盤としてリリースされた。
時代の文脈
『SOS』は、2010年代半ば以降のオルタナティヴR&Bの潮流を切り拓いてきたSZAが、ジャンルの枠組みを完全に解体し、2020年代を代表する世界的ポップ・アイコンとしての地位を確立したアルバムである。パンデミック期の制作遅延やリリース時期をめぐる葛藤を経て世に出た本作は、失恋、自己嫌悪、怒り、執着、性愛、赦しといったパーソナルで赤裸々な感情を包み隠さず吐露したリリックが、ソーシャルメディア時代を生きるリスナーから熱狂的な共感を呼んだ。
サウンド面では、コンテンポラリーR&Bやネオ・ソウルを土台にしながら、トラップ、ヒップホップ、アコースティック・バラード、90年代オルタナティヴ・ロック、さらにはポップ・パンクまで自在に行き来する構成が絶賛された。「F2F」は爽快なポップ・パンクとして異彩を放ち、「Snooze」は滑らかなメロディと親密なグルーヴを持つ極上のR&Bバラードとして親しまれている。「Nobody Gets Me」はアコースティック・ギターを軸に孤独を歌い上げ、「Good Days」はドリーミーな名曲としてアルバムの奥行きを深めている。
反響と記録
アルバムは米Billboard 200チャートで通算10週にわたり1位を記録し、女性アーティストのR&Bアルバムとして過去数十年で最長となる首位記録を樹立した。シングル「Kill Bill」はBillboard Hot 100で1位を獲得し、「Snooze」も年間チャート上位を独占する記録的ロングヒットとなった。第66回グラミー賞では最多9部門にノミネートされ、『SOS』が最優秀プログレッシヴR&Bアルバム、「Snooze」が最優秀R&Bソング、「Ghost in the Machine」が最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンスを受賞し、3冠に輝いている。
トラックリスト
- A1 SOS 1:58
- A2 Kill Bill 2:34
- A3 Seek & Destroy 3:24
- A4 Low 3:02
- A5 Love Language 3:04
- A6 Blind 2:31
- B1 Used 2:27
- B2 Snooze 3:22
- B3 Notice Me 2:41
- B4 Gone Girl 4:05
- B5 Smoking On My Ex Pack 1:24
- B6 Ghost In The Machine 3:39
- C1 F2F 3:06
- C2 Nobody Gets Me 3:01
- C3 Conceited 2:32
- C4 Special 2:39
- C5 Too Late 2:45
- C6 Far 3:01
- D1 Shirt 3:02
- D2 Open Arms 4:00
- D3 I Hate U 2:56
- D4 Good Days 4:41
- D5 Forgiveless 2:22
動画プレイリスト
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