Tamiko Jones - Love Trip (1975)
Tamiko Jones 1975

Tamiko Jones - Love Trip (1975)

Funk / Soul Funk Soul

Tamiko Jones『Love Trip』(1975)

Tamiko Jonesの『Love Trip』は、1975年にUSのAristaから出たアルバムで、彼女のキャリアの中でも中核に置かれる一枚だ。ソウル・シンガーとしての持ち味を、当時の南部録音らしい厚みのある演奏と合わせて前面に出した作品で、ミドル70年代のR&Bの空気がそのまま封じ込められている。タイトル曲というより、アルバム全体がひとつの流れでまとまっていて、歌の強さとバンドの推進力が両方立っている構成。

Muscle Shoals勢を迎えた濃いバッキング

この作品でまず目を引くのは、バックを支えるMuscle Shoals Sound Rhythm Sectionの存在だ。Pete CarrとEddie Hintonのギター、Jimmy Johnsonのリズムギター、Barry Beckettのキーボード、David Hoodのベース、Roger Hawkinsのドラムという布陣で、さらにMuscle Shoals Hornsのホーン隊、Rhodes-Chalmers-Rhodesのコーラスも加わる。サウンドの芯が太く、リズムの押し出しも強い。Tamiko Jonesのヴォーカルはその上で、派手に押し切るというより、フレーズの置き方で曲を引っ張るタイプだ。

聴き進めると、演奏の隙間が少なく、各パートの役割がはっきりしているのがわかる。ベースとドラムが地面を作り、ギターは細かく刻み、ホーンが要所で輪郭を作る。ソウル・アルバムとしての基本形がきれいにまとまっている印象で、Muscle Shoalsの仕事ぶりがそのまま作品の骨格になっている。

代表曲「Touch Me Baby (Reaching Out For Your Love)」

先行シングルの「Touch Me Baby (Reaching Out For Your Love)」は、このアルバムを語るうえで外せない曲だ。Johnny Bristol作で、BillboardのR&Bチャートで12位、Popチャートでも60位を記録している。Tamiko Jonesにとって最初のヒットであり、もっとも成功したシングルでもある。曲の持つ流れはわかりやすく、サビに向かう展開も自然で、彼女の歌の芯がそのままラジオ向きの形に収まっている。続く「Just You And Me」もR&Bチャートで78位に入っていて、アルバム単位でもシングル単位でも当時の反応が確認できる。

カバーと自作曲の並び

収録曲には、Bill Withersの「Let Me In Your Life」「Who Is She (And What Is She To You)」、Stevie Wonderの「Creepin'」、James Taylorの「Chili Dog」といったカバーが並ぶ。こうした選曲からは、当時のソウル/R&Bの周辺にある楽曲を自分の声でどう解釈するか、という視点が見える。オリジナル曲とカバーを混ぜる構成で、単なるシングル集ではなく、歌い手としての幅を見せるアルバムになっている。

特に70年代中盤のソウルは、シンガーの個性とバンドの質感が強く結びついていた時期で、Tamiko Jonesもその流れの中にいる。Aretha FranklinやMillie Jacksonのような強い表現力を持つ女性シンガーたちと同時代の空気を共有しながら、彼女はもっと柔らかい運びと、曲の輪郭をなぞるような歌い方で存在感を出している。

Tamiko Jonesにとっての位置づけ

Tamiko Jonesは1943年生まれで、1960年代から活動を続けてきた歌手だ。デトロイトのFlame Barで歌い始め、1964年にはJohnny Carsonの番組にも出演している。録音活動を重ねたのち、1975年の『Love Trip』でヒットを得たことは、彼女のキャリアの中でも大きな節目になっている。アルバムの冒頭から終盤まで、歌唱とアレンジのまとまりが強く、単発のヒットだけでなく、作品全体で評価される形になっている。

クレジットには「Special Thanks To: Muscle Shoals Rhythm, Who Inspired Me Tremendously.」という記述もあり、この時期の彼女がMuscle Shoalsのサウンドに強く意識を向けていたことがうかがえる。実際、アルバムの質感は南部ソウルの実直な演奏と、都会的なソウル・ヴォーカルの接点に置かれている。

1975年のArista盤として

本作は1975年のArista盤で、初期Aristaらしい時期の作品でもある。AristaはBell Recordsを引き継いで1974年に始動したレーベルで、この頃はまだ初期のレーベルカラーが見える時代。『Love Trip』はその中で、ポップ寄りの整ったソウル作品というより、バンドの生々しさを前に出したR&Bアルバムとして残っている。

『Love Trip』は、Tamiko Jonesの歌、Muscle Shoalsの演奏、そして1975年という時代のソウル/R&Bの手触りが、そのまま重なった一枚だ。ヒット曲「Touch Me Baby (Reaching Out For Your Love)」を中心に、カバーとオリジナルが自然に並ぶ構成も含めて、彼女の代表作として見られる理由がはっきりしている。

トラックリスト

  1. A1 Touch Me Baby 2:58
  2. A2 Everyone Belongs To Someone 3:25
  3. A3 I'm The Woman Behind The Man (Playing The Guitar In The Band) 3:40
  4. A4 Just You And Me 3:25
  5. A5 Just Sitting Around 2:42
  6. A6 Let Me In Your Life 2:38
  7. B1 Creepin' 3:53
  8. B2 Oh How I Love You 2:37
  9. B3 Who Is She (And What Is She To You) 3:16
  10. B4 Read Me Right 3:40
  11. B5 Chili Dog 3:08
  12. B6 A Long Way To Go 3:31

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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