The Counts - What's Up Front That-Counts (1971)
The Counts 1971

The Counts - What's Up Front That-Counts (1971)

Funk / Soul Funk Soul

The Counts『What’s Up Front That-Counts』(1971)

デトロイトのファンク/ソウル・グループ、The Counts が 1971 年に Westbound Records から発表したアルバムが『What’s Up Front That-Counts』だ。もともと 1960 年代半ばに結成されたバンドで、オルガン、ギター、サックスを軸にした編成から出発し、地元シーンで演奏を重ねながら存在感を作っていったグループとして知られる。本作は、そうした長い下積みの先で、The Counts 名義として改めて前面に出た時期の作品という位置づけになる。

Westbound といえば、Funkadelic や Ohio Players などを抱えたデトロイト系の重要レーベルだが、その中でも The Counts はかなり骨太な部類に入る。派手な仕掛けよりも、リズムの粘り、オルガンの押し出し、ホーンの切り返しで聴かせる作りで、70 年代初頭のファンクらしい手触りがはっきりしている。デトロイトのファンク/ソウルが持つ硬質さと、ジャム感のある展開が同居した一枚だ。

作品の立ち位置

The Counts は 1964 年に Detroit, Michigan で結成されたグループで、前身名義の時代からローカルな人気を積み上げてきた。本作が出る 1971 年は、バンドにとって Westbound 時代の流れの中で重要な節目に当たる。のちに 1972 年には別タイトルのアルバムも控えており、この時期の The Counts は、バンド名義を整理しながら自分たちのファンク像を固めていく段階にあったと見てよさそうだ。

制作面では、ファンクの基本形をきっちり押さえつつ、演奏の密度で引っ張るタイプのアルバムになっている。オルガンの Mose Davis、ギターの Leroy Emmanuel、サックスの Demetrius Cates を中心に、ドラム、ベースの役割が噛み合うことで、曲ごとの推進力が出ている。The Counts の持ち味は、単純なリフの反復だけに寄らず、アンサンブルの中で少しずつ展開を動かしていくところにある。

サウンドの印象

このアルバムを通して聴くと、まずリズムの置き方が目立つ。ドラムとベースが前に出て、そこへオルガンがコードとフレーズを重ね、ギターが細かいカッティングで隙間を埋める。さらにサックスが短いフレーズで応答することで、単調になりやすいグルーヴに動きが付く。いわゆる“踊らせるためのファンク”というより、演奏そのものの圧で引っ張るタイプの作りだ。

曲によってはソウル寄りの温度感もあり、ゴリゴリに押すだけではない。Westbound の同時代作と比べると、Funkadelic のようなサイケデリックな拡散よりも、The Counts はもっとバンド演奏のまとまりが前面に出る。Ohio Players のような洗練された展開とも少し違って、もっと生々しいリズム隊の手触りが残る。そうした違いが、この作品の個性になっている。

収録曲と知られるポイント

この作品では、タイトル曲『What’s Up Front That-Counts』が特に存在感のある楽曲として語られることが多い。長めのグルーヴを軸に進む構成で、バンドの演奏力がそのまま作品の顔になっている。ほかにも『Pack of Lies』のように、後年のファンク/ヒップホップ文脈で参照されたとされる曲があり、単なるアルバム単位の作品というより、断片ごとに再発見されてきた面もある。

当時は Westbound の中でも宣伝面で目立ちにくかった一方、後年になるほど再評価が進み、1970 年代ファンクの重要作として扱われることが増えた。サンプリング源として言及されることもあり、オリジナルの録音が持つリズムの粘りが、別の時代にまで届いているのが面白いところだ。

オリジナル盤とこの盤の情報

今回の 1971 年 US 盤は、Westbound Records の WB-2011。ジャケットとスパインに第1カタログ番号、レーベル面に第2カタログ番号が入る仕様で、Shorepak sleeve が使われている。クレジットには Janus Records 経由の配給表記があり、Westbound が当時 Chess / Janus 系の流通網に乗っていたことも確認できる。こうした表記は、70 年代初頭のアメリカ盤らしい資料性の高さを持っている。

なお、のちの再発盤では音源の扱いや体裁が変わることがあるが、この 1971 年オリジナル盤は、Westbound 初期の空気をそのまま残した一次資料としての価値が大きい。レーベルの黄金期、デトロイトのファンク・シーン、そして The Counts というバンドの演奏感が、そのまま封じ込められた一枚といえる。

まとめ

『What’s Up Front That-Counts』は、The Counts にとって Westbound 時代を代表するアルバムのひとつであり、デトロイト・ファンクの具体的な手触りを伝える作品だ。派手なヒット曲を前提にしたアルバムではないが、バンドの編成、演奏の組み立て、レーベルの背景まで含めて見ると、70 年代初頭のソウル/ファンクの現場がよく見えてくる。聴き込むほどに、リズムの置き方やホーンの入り方など、細かな作りが印象に残るタイプの記録だ。

トラックリスト

  1. A1 What's Up Front That-Counts 7:44
  2. A2 Rhythm Changes 3:07
  3. A3 Thinking Single 3:11
  4. B1 Why Not Start All Over Again 6:44
  5. B2 Pack Of Lies 4:10
  6. B3 Bills 2:54

動画プレイリスト

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