The Doobie Brothers - The Captain And Me (1973)
The Doobie Brothers『The Captain And Me』
The Doobie Brothersの3作目のスタジオ・アルバム『The Captain And Me』は、1973年3月2日に発売された。前作『Toulouse Street』で「Listen to the Music」がヒットした流れを受けつつ、本作ではトム・ジョンストンを軸にした時期のバンド像がさらに前面に出ている。録音は前作と同じく、ノース・ハリウッドのワーナー・ブラザーズ・スタジオで行われ、プロデュースはテッド・テンプルマン、エンジニアリングはドン・ランディーが担当した。
制作背景・エピソード
制作は短い期間でまとめる必要があり、バンドは以前からステージで演奏していた曲を手直しして使ったという。そうした経緯から生まれた代表曲が「Long Train Runnin'」で、もとはほとんどアドリブに近いジャムだった。トム・ジョンストンが付けていた仮題は「Rosie Pig Moseley」、のちに「Osborn」。ジョンストン自身はバー向けの曲だと考えていたが、テンプルマンが列車の歌として成立させる案を出し、歌詞が形になった。
「China Grove」は、ジョンストンがドラマーのジョン・ハートマンとギター・リフを発展させて作った曲で、ビル・ペインのピアノのブリッジが歌詞の着想につながったという。歌詞はテキサス州チャイナ・グローヴの架空の保安官を描く内容だが、後年ジョンストンは実在の同名の町を知ったと語っている。サンアントニオ近くをツアーで回った際に、道路標識で無意識に目にしていたのだろうと本人は考えている。録音ではオーバーダブに頼らず、バンドがそろって演奏したとされる。
冒頭の「Natural Thing」には、シンセサイザー・チームのマルコム・セシルとロバート・マーゴレフが招かれた。ビートルズの「Being for the Benefit of Mr. Kite!」のような音を狙い、ブリッジでは単音を重ねて和音を作ったという。
「South City Midnight Lady」では、ペダル・スティールをジェフ・“スカンク”・バクスターが担当している。彼は当時スティーリー・ダンに在籍していたが、翌1974年にはドゥービーズの正式メンバーになる。ほかにも、ビル・ペインがピアノ、エレクトリック・ピアノ、オルガンで参加し、ニック・デカロがストリングスを編曲した。
「Without You」は2人のドラマーがそろって叩くザ・フーへのオマージュのジャムから生まれ、「Clear as the Driven Snow」は当時のメンバーの暮らしぶりを映した、ドラッグの乱用への警告の歌として書かれた。「Ukiah」は、ジョンストンが大学時代にキャンプした土地への曲。タイトル曲「The Captain and Me」は土壇場で書かれたもので、「キャプテン」は特定の誰かではないとジョンストンは語っている。この曲の前向きなメッセージをヤンキースの捕手ロン・ブロンバーグと主将サーマン・マンソンが気に入っており、ブロンバーグはマンソンについての著書にこの曲名を付けた。
時代の文脈
この作品は、1970年から1975年までトム・ジョンストンがフロントに立っていた時期のドゥービー・ブラザーズの作品。バンドはこの頃、カントリー・ロック、ブギー・ロック、ハード・ロックの要素をまたぐ形で活動していた。前作で加入したタイラン・ポーターとマイケル・ホサックにより、ツイン・ドラムの編成が固まっていた点も本作の重要な前提になっている。のちに1975年以降はマイケル・マクドナルドを中心とする体制へ移っていく。
ジャケットも印象的で、バンドとマネージャーのブルース・コーンが19世紀の西部劇風の衣装を着て駅馬車に乗り、その上に建設途中の高速道路の高架が写っている。撮影場所はカリフォルニア州シルマー近く、I-5とSR-14が交わるニューホール・パス・インターチェンジ。この高架は1971年のサンフェルナンド地震で一部が崩落し、1994年のノースリッジ地震でも再び崩落した。衣装や小道具はワーナー・ブラザーズの撮影所から借りたものだという。
後世への影響
収録曲では「Long Train Runnin'」と「China Grove」が、その後も繰り返し取り上げられている。前者は1982年にイタリアのTraksがカバーし、西ドイツで18位を記録。1991年にはバナナラマが『Pop Life』でダンス・ポップ版を発表し、1993年のリミックス版は全英7位のヒットになった。後者は2007年から2009年にかけて米FOXのゲーム番組『Don't Forget the Lyrics!』でテーマ曲として使われている。
評価面では、アルバムはBillboard 200で7位、カナダで10位を記録し、RIAAのダブル・プラチナに認定された。シングルは「Long Train Runnin'」が全米8位、「China Grove」が全米15位。発売当時からクアドラフォニック盤(CD-4)が出され、2002年にはDVD-Audio、2011年にはワーナー・ジャパンからSACDのマルチチャンネル版も登場している。AllMusicは4.5つ星、Record Collectorは5つ星を付けた。
トラックリスト
- A1 Natural Thing 3:17
- A2 Long Train Runnin' 3:25
- A3 China Grove 3:14
- A4 Dark Eyed Cajun Woman 4:12
- A5 Clear As The Driven Snow 5:18
- B1 Without You 4:58
- B2 South City Midnight Lady 5:27
- B3 Evil Woman 3:17
- B4 Busted Down Around O'Connelly Corners 0:48
- B5 Ukiah 3:04
- B6 The Captain And Me 4:53
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)は、1970年にアメリカ・カリフォルニア州サンホセで結成されたロック・バンドだ。世界累計アルバム売...
The Doobie Brothers のプロフィール・作品一覧