The Flower Kings - Islands (2020)
The Flower Kings 2020

The Flower Kings - Islands (2020)

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The Flower Kings『Islands』レビュー

スウェーデンのシンフォニック・プログレッシヴ・ロックを代表するバンド、The Flower Kingsによる『Islands』は、2020年に登場した2枚組の大作である。ロイネ・ストルトが1993年に始動させたこのバンドは、長い活動の中で編成を変えながら、メロディの濃さと組曲的な構成、クラシック音楽由来のコーラス感を軸に独自の音を積み上げてきた。本作もその延長線上にありつつ、制作背景そのものが作品の輪郭を強く規定している。

離れた場所で作られた2020年の作品

『Islands』は、世界的なコロナ禍のただ中で制作された。メンバーはスウェーデン、オーストリア、カリフォルニア、デンマーク、イタリアと各地に分散したまま、インターネット経由で曲作りと録音を進めている。基礎トラックは2020年8月にレコーディングされ、90分・21曲というボリュームにまとめられた。バンド名の「Flower」が示す華やかさに対して、本作のタイトルは「Islands(島々)」と置かれており、距離や孤立、断絶といった感覚がそのままテーマの核になっている。

ただし、内容は重苦しさ一辺倒ではない。制作時の事情を知ったうえで聴くと、むしろ演奏と音像には整った温度がある。離れて作られた作品にありがちな断片感よりも、曲同士の流れやアルバム全体のまとまりが先に立つ印象だ。

音の中心にあるのはメロディとアンサンブル

音楽面では、鋭いリフや変拍子の感触を持つプログレッシヴ・ロックから、親しみやすいポップな旋律、クラシカルなコーラス・ワークまでが自然に並ぶ。The Flower Kingsらしい長尺志向はあるものの、ただ長いだけの構成ではなく、短い断片をつないでいくような曲も多い。21曲という曲数の多さは、そのまま小さな場面転換の連続として機能している。

聴きどころとしてまず挙がるのは、ロイネ・ストルトのギターとハッセ・フレーベリの歌、そしてラーレ・ラーションの鍵盤が作る層の厚さだろう。そこにミカエル・ストルトのベース、ミルコ・デマイオのドラムが入り、流れの速い部分でも演奏の輪郭が崩れにくい。とくにデマイオのドラミングは、細かな切り替えの中でも曲の推進力を保つ役割を担っている。

制作背景とバンドの現在地

The Flower Kingsは、90年代以降のシンフォニック・プログレッシヴ・ロックの文脈で語られることが多い。ジェネシスやイエス、キング・クリムゾン系統の流れを受けつつ、北欧らしい透明感と、メロディを前へ出す作風で知られてきた。本作でもその基本線は変わらない。むしろ、パンデミック下での遠隔制作という条件が、バンドの持ち味である「複数の旋律線を重ねる作業」を、さらに意識的なものにしているように見える。

また、アートワークにロジャー・ディーンの「浮かぶ島々」の絵が使われている点も重要だ。イエスのジャケットで知られる彼の絵柄は、浮遊感のある空間と有機的な地形を同時に感じさせるが、『Islands』のタイトルと内容にはよく噛み合っている。視覚面でも、孤立した島々がつながりを求めるようなイメージが通底している。

限定盤としての仕様

この盤は、ゲートフォールド・ジャケットとシングル・ジャケットをスリップケースに収めた仕様で、ブラックのポリライニング・スリーブが付属する。CDはPVCスリーブ入りで、フロントのシュリンクにはステッカーが貼られている。JustForKicks.de限定の200枚のみという少数流通で、ボックスセット扱いの表記も見られる。リリース国はドイツ、レーベルはInside Out Music。

作品の位置づけ

『Islands』は、The Flower Kingsの長いキャリアの中でも、制作環境そのものが作品テーマと直結した一枚として見やすい。分断された状況で作られたにもかかわらず、音楽はバラバラに散らず、むしろまとまりを強めている。バンドの過去作にある大仰さや組曲性を引き継ぎながら、2020年という時代の空気をそのまま封じ込めた記録でもある。派手な話題作というより、制作背景と音楽内容がきれいに重なったアルバムとして印象に残る。

トラックリスト

  1. A1 Racing With Blinders On 4:24
  2. A2 From The Ground 4:02
  3. A3 Black Swan 5:53
  4. B1 Morning News 4:01
  5. B2 Broken 6:38
  6. B3 Goodbye Outrage 2:19
  7. B4 Journeyman 1:43
  8. B5 Tangerine 3:51
  9. C1 Solaris 9:10
  10. C2 Heart Of The Valley 4:18
  11. C3 Man In A Two Peace Suit 3:21
  12. D1 All I Need Is Love 5:48
  13. D2 A New Species 5:45
  14. D3 Northern Lights 5:43
  15. E1 Hidden Angles 0:50
  16. E2 Serpentine 3:52
  17. E3 Looking For Answers 4:30
  18. E4 Telescope 4:41
  19. F1 Fool's Gold 3:11
  20. F2 Between Hope And Fear 4:29
  21. F3 Islands 4:12
  22. CD1-1 Racing With Blinders On 4:24
  23. CD1-2 From The Ground 4:02
  24. CD1-3 Black Swan 5:53
  25. CD1-4 Morning News 4:01
  26. CD1-5 Broken 6:38
  27. CD1-6 Goodbye Outrage 2:19
  28. CD1-7 Journeyman 1:43
  29. CD1-8 Tangerine 3:51
  30. CD1-9 Solaris 9:10
  31. CD1-10 Heart Of The Valley 9:10
  32. CD1-11 Man In A Two Peace Suit 4:18
  33. CD2-1 All I Need Is Love 5:48
  34. CD2-2 A New Species 5:45
  35. CD2-3 Northern Lights 5:43
  36. CD2-4 Hidden Angles 0:50
  37. CD2-5 Serpentine 3:52
  38. CD2-6 Looking For Answers 4:30
  39. CD2-7 Telescope 4:41
  40. CD2-8 Fool's Gold 3:11
  41. CD2-9 Between Hope & Fear 4:29
  42. CD2-10 Islands 4:12

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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