O'Jays - Back Stabbers (1972)
The O'Jays 1972

O'Jays - Back Stabbers (1972)

Funk / Soul Soul

O'Jays『Back Stabbers』(1972)

O'Jaysの『Back Stabbers』は、1972年にPhiladelphia International Recordsから発表された6作目のスタジオ・アルバムであり、同レーベル移籍後の第1弾となる作品である。グループにとっては、ゴスペル由来のコーラスワークを土台にしながら、より都会的でリズムの立ったソウルへと踏み込んだ重要な一枚。フィラデルフィア・ソウルの輪郭を決定づけたアルバムとして扱われることが多い。

フィラデルフィア・サウンドの中心にある作品

録音はフィラデルフィアのSigma Sound Studios。演奏面ではMFSBのメンバーが関わり、ギターにボビー・イーライ、ノーマン・ハリス、デニス・ハリス、ベースにロニー・ベイカー、ドラムにアール・ヤングといった面々が参加している。ストリングスのアレンジにはトム・ベルとボビー・マーティンが加わり、厚みのある弦の響き、きっぱりしたビート、滑らかなコーラスが一体になった、いわゆるフィラデルフィア・サウンドの要素がはっきり出ている。

O'Jaysは1958年にオハイオ州カントンで結成されたグループで、もともとはThe Mascots名義で活動していた。地元のDJ、Eddie O'Jayへの敬意から現在の名義に改めた経緯があり、その後は長い活動を経て1960年代末から70年代にかけて存在感を強めていく。本作は、その流れの中で最も大きな転機になったアルバムのひとつである。

表題曲「Back Stabbers」と「Love Train」

アルバムの核はやはり表題曲「Back Stabbers」。レオン・ハフ、ジーン・マクファデン、ジョン・ホワイトヘッドの共作で、プロデュースはギャンブル&ハフ。表向きは親しげでも裏では危うい関係を描く内容で、The Undisputed Truthの「Smiling Faces Sometimes」からの着想も知られている。サウンドは緊張感のあるベースラインと、鋭く入るホーン、そしてO'Jaysらしい分厚いハーモニーが中心。R&Bチャート1位、Billboard Hot 100で3位を記録しており、グループの代表曲として定着している。

続く「Love Train」も重要だ。こちらはO'Jays唯一のポップ・チャート1位となった曲で、アルバム全体の印象を決定づける存在。社会的なメッセージを含みつつ、リズムの推進力が前に出る作りで、同時代のソウルの中でも印象が強い。耳に残る反復、コーラスの広がり、ドラムとベースの明確な前進感が揃っていて、アルバムの中でも特に輪郭がはっきりしている。

作品としての位置づけ

『Back Stabbers』は、O'Jaysにとって単なるヒット作ではなく、グループの方向性を更新したアルバムでもある。60年代のヴォーカル・グループ的な持ち味を残しながら、70年代的なプロダクションと強いリズム感を獲得し、Philadelphia International Recordsの看板を背負う形になった。以後のO'Jaysの成功、そしてレーベル全体の評価にも直結する一枚である。

同時代の文脈で見ると、同じフィラデルフィアの流れにあるハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツやスピナーズ、あるいは同じくメロディとグルーヴのバランスを重視したソウル作品と並べて語られることが多い。中でも本作は、演奏の整った輪郭と歌の感情表現がぶつかりすぎずに並んでいる点が印象的で、後のディスコや洗練されたソウル・プロダクションにもつながる要素を持っている。

盤としての情報

このUS盤は1972年リリースの初出盤。レーベルはPhiladelphia International Records、カタログ番号はKZ 31712。リリースノートによれば、ランアウトには「MASTERING BY FRANKFORD/WAYNE PHILA.」のスタンプがあり、他はエッチング、さらに「2A」「1A」が丸で囲まれている。盤面の細部まで当時のプレス事情が反映されていて、オリジナル期の空気をそのまま感じさせる要素になっている。

『Back Stabbers』は、タイトル曲のヒットだけで終わらない。アルバム全体を通して、O'Jaysがフィラデルフィア・ソウルの中心に立った瞬間を記録した作品として残っている。歌、演奏、アレンジ、プロダクションのまとまりが明確で、1972年という年の空気をそのまま閉じ込めたような一枚である。

トラックリスト

  1. A1 When The World's At Peace 5:21
  2. A2 Back Stabbers 3:07
  3. A3 Who Am I 5:14
  4. A4 (They Call Me) Mr. Lucky 3:20
  5. A5 Time To Get Down 2:53
  6. B1 992 Arguments 6:09
  7. B2 Listen To The Clock On The Wall 3:48
  8. B3 Shiftless, Shady, Jealous Kind Of People 3:36
  9. B4 Sunshine 3:42
  10. B5 Love Train 2:59

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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