The Police - Zenyatta Mondatta (1980)
The Police『Zenyatta Mondatta』
1980年10月にリリースされたThe Policeの通算3作目のスタジオ・アルバム。前作『Reggatta de Blanc(白いレガッタ)』の世界的成功によりバンドが急速に巨大化する中、過密なワールド・ツアーの合間を縫ってオランダ・ヒルフェルスムのWisseloord Studiosで短期間のうちに録音された。共同プロデューサーには初期2作を手掛けた名手ナイジェル・グレイを起用。ツアー直前の過酷なスケジュールとレーベルからの重圧の中で制作された緊迫感あふれる名盤である。
制作背景とエピソード
アルバムタイトルの『Zenyatta Mondatta』は、スチュワート・コープランドらによる造語。「Zen(禅)」やジョモ・ケニヤッタ(ケニア初代大統領)、フランス語の「Le Monde(世界)」などを組み合わせたもので、意味よりも口ずさんだ際のリズミカルな心地よさを重視して命名された。
収録曲「Behind My Camel」は、アンディ・サマーズが作曲した不穏で実験的なインスト曲だが、スティングがこの曲を「くだらない」と激しく嫌悪してベース演奏を拒絶(スタジオの庭にマスターテープを埋めたという逸話まで残る)。最終的にサマーズ自身がギターとベースの両方を演奏して完成させた。しかし皮肉にもこの楽曲は、1982年の第24回グラミー賞で「最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞」を受賞している。
時代の文脈と収録曲
初期のトレードマークだった「ホワイト・レゲエ」の鋭利なビートを継承しつつ、シンセサイザーの導入や洗練されたポップ・メロディ、そしてスティングによる文学的・社会派な歌詞世界へと大きく進化。ポストパンク/ニューウェイヴの熱気とスタジアム・ロックのスケール感が交差する転換期の重要作となった。
リードシングルの「Don't Stand So Close To Me(高校教師)」は、元英語教師だったスティングの実体験とウラジミール・ナボコフの小説『ロリータ』への言及を織り交ぜ、教師と女生徒の禁断の関係を描いた屈指の名曲。全英チャート1位、全米10位を記録し、グラミー賞「最優秀ロック・ボーカル・パフォーマンス賞(デュオ/グループ)」を受賞した。続く「Driven To Tears」は、テレビのニュースで目にする世界の飢餓や不条理な格差への憤りを歌ったポリス初の本格的な社会派ナンバー。「De Do Do Do, De Da Da Da」は、無邪気な子供の言葉遊びのようなフレーズを通じて政治的レトリックや言葉の欺瞞を風刺したポップな名曲(全英5位、米10位)である。
スチュワート・コープランドの変幻自在でタイトなハイハット/ドラミングと、アンディ・サマーズのコーラスやディレイを効かせた幻想的なギター・アルペジオが、トリオ編成とは思えない立体的で広がりのあるアンサンブルを生み出している。
評価と歴史的位置づけ
『Zenyatta Mondatta』は全英アルバムチャート初登場1位を記録し、4週連続で首位を独走。全米ビルボードチャートでも最高5位を記録し、マルチ・プラチナムを達成した。過密日程の中で生み落とされた本作は、グラミー賞2部門を受賞するなど批評的・商業的成功を収め、後の世界的メガヒット作『Synchronicity』(1983年)への決定的な飛翔台となった。
トラックリスト
- A1 Don't Stand So Close To Me 4:03
- A2 Driven To Tears 3:21
- A3 When The World Is Running Down, You Make The Best Of What's Still Around 3:33
- A4 Canary In A Coalmine 2:24
- A5 Voices Inside My Head 3:51
- A6 Bombs Away 3:07
- B1 De Do Do Do, De Da Da Da 4:09
- B2 Behind My Camel 2:53
- B3 Man In A Suitcase 2:15
- B4 Shadows In The Rain 5:09
- B5 The Other Way Of Stopping 3:21
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Police(ポリス)は、スティング(ボーカル/ベース)、スチュワート・コープランド(ドラム)、アンディ・サマーズ(ギター)の3人によってロン...
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