The Style Council - Café Bleu (1984)
The Style Council『Café Bleu』について
1984年にUKのPolydorから登場したThe Style Councilのデビュー・アルバム。The Jamを解散したPaul Wellerが、キーボードのMick Talbotと組んで始めた新しいプロジェクトの最初の長編作品で、ここではパンク/モッド・リヴァイヴァルの延長線というより、ソウル、ジャズ、ポップ、ファンクを横断する方向へ大きく舵を切っている。バンドの出発点を示す1枚でありながら、すでに音数の使い方や曲ごとの温度差がはっきりしていて、The Style Councilという名前の輪郭をこの時点でかなり強く作っている。
作品の位置づけ
『Café Bleu』は、The Style Councilにとっての1作目であると同時に、Paul WellerがThe Jam時代のイメージから離れていく過程を示すアルバムでもある。収録曲は一貫しているようでいて、実際にはかなり振れ幅がある。ソウル寄りの歌もの、軽く跳ねるファンク、ジャズの空気を持つインストゥルメンタル、ラップを取り入れた曲まで並び、当時の英国ポップの中でもかなり目立つ構成になっている。The Jamの直線的なロック感を期待して聴くと印象はかなり違うが、その違い自体がこの作品の核でもある。
制作はPaul WellerとPeter Wilson。録音は1983年10月から1984年1月にかけてロンドンのSolid Bond Studiosで進められ、ストリングスはCBSで録音されている。クレジット上も、いかにもバンドの演奏だけで押し切るタイプではなく、複数の音楽要素を整理して組み立てたアルバムという印象が強い。
サウンドと聴きどころ
この盤の面白さは、曲ごとの役割がかなり明確なところにある。たとえば「My Ever Changing Moods」は、アルバムを代表する曲として最も知られている一曲で、後にシングルでも大きな成功を収めた。UKシングル・チャートでは5位まで上がり、バンドにとって3作目のTop 10ヒットになっている。メロディの流れは分かりやすいが、単純なロック・ソングではなく、リズムの置き方やコードの運びにソウル/ジャズ寄りの感触がある。
「You’re the Best Thing」も重要な曲で、こちらもUKシングル・チャートでTop 10入りしている。アルバム全体の中では比較的ストレートなポップ寄りの曲で、The Style Councilが後に見せる洗練の方向を先取りするような位置にある。派手に押すのではなく、音の隙間を残したまま曲を進めていく作り。
一方で、アルバムにはインストゥルメンタルや、短いスケッチのように機能する曲も多い。そこではジャズ・クラブの空気やラウンジ的な感触が前に出て、歌ものの印象とは少し異なる顔を見せる。曲順を追うごとに、ポップ・アルバムというより、複数の小さな場面を並べた作品集のようにも聞こえる。ヴォーカル面でも、Paul WellerだけでなくDee C. Lee、Tracey Thorn、Ben Watt、Dizzi Heightsらが関わり、声の質感が曲ごとに変わる点も大きい。
当時の文脈
1984年の英国では、ニュー・ロマンティックやシンセ・ポップ、ダンス・ミュージック寄りの感覚が広がっていた時期で、その中で『Café Bleu』は別の角度から都会的な洗練を持ち込んだ作品として受け取られている。ジャズ、ソウル、ファンクを重ねるやり方は、同時代のポップの中でもかなり独特で、The Style Councilが単なるポスト・The Jamの延長ではなく、より広いブラック・ミュージックの語法に近づいていたことが分かる。
発売時の反応は割れたとされるが、それも納得できる内容ではある。アルバムの中で方向が頻繁に切り替わるため、一本調子の完成度を求めると戸惑いが出やすい。ただ、その揺れはこの作品の性格そのものでもあり、のちのThe Style Councilの多面的な活動の出発点として見ると筋が通っている。
UK初回盤の特徴
このUK盤は1984年の初回プレスで、バーコード、権利団体表記、レーベルコードのない仕様。プレーンな青いプリントの内袋が付き、コピーによっては16ページのブックレット「notes from the Café Bleu」が同封されていた。ブックレットには一部楽曲の歌詞が収められている。ジャケットやレーベル、ブックレット裏には「Keeps On Burning」のロゴが入っているのも特徴的。
レーベル表記はPolydor、カタログ番号はTSCLP1。ラベルには℗1984 Polydor Ltd London、裏面には℗&©1984 Polydor Ltd Londonとあり、UKでの流通盤としてまとまった体裁になっている。なお、A2はレーベルには記載があるが、スリーブやブックレットには載っていない。
まとめ
『Café Bleu』は、The Style Councilが最初からひとつのジャンルに収まるバンドではなかったことを、そのまま示すアルバム。Paul Wellerの作家性が、The Jam時代の硬質なモッド・ロックから、ソウルやジャズの語法を含む都市的なポップへ移っていく入口としても見やすい。代表曲の「My Ever Changing Moods」や「You’re the Best Thing」はもちろん、曲ごとに役割の違うインストゥルメンタルやゲスト・ヴォーカルの使い方まで含めて、1984年の英国ポップの中でかなり個性の強い1枚に入る。
トラックリスト
- Café Bleu....
- A1 Mick's Blessings
- A2 The Whole Point Of No Return
- A3 Me Ship Came In!
- A4 Blue Café
- A5 The Paris Match
- A6 My Ever Changing Moods
- A7 Dropping Bombs On The Whitehouse
- -
- B1 A Gospel
- B2 Strength Of Your Nature
- B3 You're The Best Thing
- B4 Here's One That Got Away
- B5 Headstart For Happiness
- B6 Council Meetin'