Booker T. & The MGs - Soul Dressing (1965)
Booker T & The MG's 1965

Booker T. & The MGs - Soul Dressing (1965)

Funk / Soul Soul Rhythm & Blues

Booker T. & The MG’s『Soul Dressing』について

Booker T. & The MG’sの『Soul Dressing』は、1965年にStax LP 705として出た作品で、同年のメンフィス・ソウルをそのまま器にしたようなインストゥルメンタル・アルバムだ。Booker T. Jonesのオルガン、Steve Cropperのギター、Donald “Duck” Dunnのベース、Al Jackson Jr.のドラムという編成による、Staxのハウス・バンドならではの機能性が前面に出ている。歌を立てる役割ではなく、リズム、間、フレーズの置き方で曲を組み立てるバンドとしての強みが、ここでははっきり聴こえる。

このアルバムは、デビュー作『Green Onions』で示した実力を、さらにアルバム単位で固めた位置づけにある。Booker T. & The MG’sは、Otis Redding、Wilson Pickett、Sam & Daveらの録音を支えたStaxの中核でもあり、その“伴奏する側”の経験がそのまま自分たちの作品に反映されている。『Soul Dressing』は、そうした現場感覚がそのまま曲の運びになった一枚という印象が強い。

Staxの現場から出てきた音

制作はStaxの共同創設者Jim Stewart。収録曲の多くは、直前数年のシングルをまとめた内容で、当時のバンドの活動をアルバムに整理した形になっている。タイトル曲「Soul Dressing」はBillboard Hot 100で95位まで上昇しており、アルバム全体のヒットというより、曲単位で存在感を示した作品と見てよさそうだ。1965年はBillboardのR&Bシングル・チャートが一時休止していた時期でもあり、当時のR&B人気を順位だけで追いにくい事情もある。

演奏の核は、やはりリズムの精度だ。Al Jackson Jr.のドラムは前に出すぎず、しかし拍の芯をはっきり残す。Donald “Duck” Dunnのベースは、その上で低音を太く支え、Steve Cropperのギターは短いフレーズで隙間を埋める。Booker T. Jonesのオルガンは旋律を引っ張るだけでなく、曲全体の温度を整える役割も担っている。いわゆる“歌モノのバック”として鍛えられたバンドが、そのまま主役になったときの説得力がある。

1965年という時期の意味

1965年は、Booker T. & The MG’sにとって編成が固まりつつあった時期でもある。ベーシストはLewis SteinbergからDuck Dunnへ交代し、Staxの中核メンバーとしての輪郭がさらに明確になっていく。メンフィスのソウルやR&Bが、個々の歌手だけでなく、スタジオの演奏陣によっても形づくられていたことを示す作品としても、このアルバムは重要だ。

後のファンクやソウル・インストの流れを思うと、ここで鳴っているのは派手な技巧ではなく、リズムと間合いの設計だ。The Metersのような後続のグループや、Stax周辺の演奏文化を考えるうえでも、こうした作品の存在は大きい。演奏の密度を上げながら、音数は増やしすぎない。そのバランス感覚が、この時代のメンフィス・サウンドらしさでもある。

2000年Sundazed盤について

ここで取り上げるのは、2000年にUSのSundazed Musicから出た再発盤だ。オリジナルの1965年盤を踏まえつつ、Sundazedらしく180グラム・ヴィニールをうたった仕様で、シュリンク上のステッカーには「Renew your faith in music.」のコピーが入っている。Sundazedは50〜70年代の名盤再発を得意とするレーベルで、オリジナルの音源を現代の再発盤として整える仕事を継続してきた。

この2000年盤は、同レーベルの別バージョンと比べて、Side BのランアウトにⓊが入るプレス仕様が特徴とされている。オリジナル盤の空気をそのまま残すというより、再発盤として聴きやすい形にまとめた一枚という印象だ。Staxの初期ソウル、メンフィス録音、インストゥルメンタルR&Bという要素が、コンパクトに詰まったアルバムとして見えてくる。

まとめ

『Soul Dressing』は、Booker T. & The MG’sが単なるバック・バンドではなく、独立した演奏集団として成立していたことを示す作品だ。ヒット曲「Soul Dressing」を含みつつ、アルバム全体ではStaxの現場で培われたリズム感と、メンフィスの録音文化がそのまま音になっている。『Green Onions』に続く時期の一枚として聴くと、彼らの役割が“伴奏”から“表現”へ広がっていく流れもつかみやすい。

トラックリスト

  1. A1 Soul Dressing 2:24
  2. A2 Tic-Tac-Toe 2:30
  3. A3 Big Train 2:30
  4. A4 Jellybread 2:27
  5. A5 Aw' Mercy 2:34
  6. A6 Outrage 2:31
  7. B1 Night Owl Walk 3:12
  8. B2 Chinese Checkers 2:25
  9. B3 Home Grown 2:39
  10. B4 Mercy Mercy 2:32
  11. B5 Plum Nellie 2:03
  12. B6 Can't Be Still 1:57

動画プレイリスト

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