The Trammps - Disco Inferno (1976)
The Trammps『Disco Inferno』(1976) レコード紹介
The Trammpsの『Disco Inferno』は、1976年にAtlanticから登場したフィラデルフィア産ディスコ/ファンクの重要作だ。The Trammpsは、もともと1960年代のフィラデルフィアでThe VolcanosやThe Moodsといった名義を経て育ってきたグループで、Earl YoungやJimmy Ellisらを軸に、70年代半ばに現在よく知られる形へまとまっていく。本作は、その流れの中でグループの名前を広く押し出した代表的なアルバムであり、のちのディスコ定番曲「Disco Inferno」を収めた作品でもある。
フィリー・ソウルの延長線上にあるディスコ作
録音はフィラデルフィアのSigma Sound Studios。フィリー・ソウルの中心地として知られるスタジオで、プロダクションも当時の同系統らしく、リズムの押し出しとストリングス、コーラスの組み合わせがきっちり整理されている。The Trammpsは、派手さだけで押すディスコ・グループというより、ソウル・グループとしての歌の厚みを保ったままダンス・ミュージックへ接続している印象が強い。Jimmy Ellisのリードは前に出るが、声だけで突っ走るのではなく、アンサンブル全体で熱量を作る形だ。
制作面では、Norman Harris、Ron Baker、Earl YoungらSigma Sound周辺の重要人物が関わっている。フィリー・ソウルの文脈で語られることが多いが、演奏の重心はかなりダンスフロア寄りで、ベースとドラムの反復が曲の推進力を支える。The Trammpsがディスコ期のフィラデルフィアを代表する存在として扱われるのは、このバランスの良さが大きい。
タイトル曲「Disco Inferno」
このアルバムを語るうえで外せないのが表題曲「Disco Inferno」だ。Leroy GreenとRon Kerseyの共作で、炎に包まれるダンスホールのイメージをそのまま音にしたような曲。約11分に及ぶ長尺で、同じフレーズを何度も繰り返しながら熱を上げていく構成になっている。実際に聴くと、歌のフックが強いというより、ビートとコーラスの積み重ねで体温が上がっていくタイプの楽曲で、途中からは歌というよりフロア全体の掛け声に近い感触もある。
面白いのは、1976年の初出時にはBillboard Hot 100で53位止まりだった一方、ダンス・チャートでは1位、R&Bチャートでも9位を記録している点だ。さらに1977年の映画『サタデー・ナイト・フィーバー』に収録されたことで再評価が進み、1978年の再リリースではHot 100で11位まで上昇した。The Trammpsの最大の看板曲として定着した流れは、この再浮上が大きい。
アルバムとしての位置づけ
『Disco Inferno』は、The Trammpsにとって代表作であると同時に、70年代ディスコの空気をよく伝える一枚でもある。ディスコが単なる流行語ではなく、ソウルの延長線上で具体的な録音技術とバンド演奏によって形作られていたことが、この作品から見えやすい。派手な装飾よりも、リズムの持続と歌の熱量で引っ張る作りで、同時代のMFSBや、フィリー・ソウル周辺の作品群と並べて聴くと、The Trammpsの立ち位置がはっきりする。
収録曲では「I Feel Like I've Been Livin' (On The Dark Side Of The Moon)」もシングル化されている。アルバム全体としては、表題曲の存在感が圧倒的だが、他の曲も同じ制作環境の中で統一感がある。ヒット曲だけを切り出した作品ではなく、グループの持ち味をアルバム単位でまとめた記録として見ると、当時のディスコ・アルバムの作り方がよくわかる。
オリジナル盤としての特徴
このページの盤は1976年のUSオリジナル。AtlanticのSD 18211で、レーベルには1970年代半ばのAtlanticらしい意匠が入っている。録音とマスタリングのクレジットが明記されており、Recorded at Sigma Sound Studios, Philadelphia, Pa.、Mastered at Frankford/Wayne Mastering Labs, New York, N.Y.となっている。RunoutではMRロゴのスタンプが確認でき、MO表記はMonarchプレスを示す。後年には、Saturday Night Feverのステッカー付きでほぼ同仕様の再発も出ているが、そちらはラベル表記やマトリクスが異なる。
後世への影響
「Disco Inferno」は、その後もディスコを象徴する曲として扱われ続けた。Tina TurnerやCyndi Lauperによるカヴァーもあり、単なる70年代の一発ヒットでは終わっていない。The Trammps自身の作品として見ても、グループがソウル・グループからディスコの代表格へ移っていく過程を示す重要な一枚だ。フィラデルフィア産の歌ものディスコを追うとき、このアルバムはかなり早い段階で押さえておきたいタイトルになる。
トラックリスト
- A1 Body Contact Contract 6:55
- A2 Starvin' 7:05
- A3 I Feel Like I've Been Livin' (On The Dark Side Of The Moon) 6:59
- B1 Disco Inferno 10:54
- B2 Don't Burn No Bridges 6:00
- B3 You Touch My Hot Line 4:23