LeRoy Hutson Featuring The Free Spirit Symphony - Feel The Spirit (1976)
LeRoy Hutson Featuring The Free Spirit Symphony『Feel The Spirit』
大学時代のルームメイトであったダニー・ハサウェイとの共作「The Ghetto」(1970年)や、カーティス・メイフィールド脱退後のジ・インプレッションズのリード・シンガーとして活躍したシカゴ・ソウルの才人リロイ・ハトソン(Leroy Hutson)。彼がカーティス主宰の名門レーベル「Curtom Records」から1976年に発表したソロ通算4作目のアルバムが『Feel The Spirit』である。自身のバック・アンサンブルに「The Free Spirit Symphony」の名を冠し、シカゴのカートム・スタジオにて録音された。
制作背景・エピソード
本作においてハトソンは、プロデュース、作編曲、指揮、キーボード演奏のすべてを統括し、自らの音楽的ヴィジョンを完全に具現化した。アルバムには自身のオリジナル曲に加え、名フュージョン・ギタリストのスティーヴ・カーンが作曲したジャズ・フュージョン曲「Butterfat」を7分超の壮大なジャズ・ファンクへと翻案したトラックや、カーティス・メイフィールドが手がけたジ・インプレッションズの楽曲「Don't Let It Get Next To You」のセルフ・カヴァーなどが配されている。
ストリングスとホーンを巧みに操るハトソンの緻密なアレンジメントと、タイトなファンク・グルーヴを刻むミュージシャンたちの演奏が見事な調和を見せており、シカゴ・ソウルの名門スタジオならではの濃密なセッションが展開されている。
時代の文脈
1976年当時、音楽シーンはディスコ・ブームの急拡大に伴い、多くのソウル作品がフロア向けの派手なビートへと傾斜していく過渡期にあった。そうした商業的潮流の中にあって、ハトソンはシカゴ・ソウル特有の温もりあるストリングスやホーン・セクションの美意識を守りつつ、都会的で洗練されたメロウ・ファンクを追求した。カーティス・メイフィールド直系の甘美なファルセットと、ダニー・ハサウェイ譲りの緻密で洗練されたコード感覚が高次元で結実した、70年代ニューソウルの極上作として位置づけられる。
サウンド・聴きどころ
オープニングを飾る「It's The Music」は、多幸感あふれるホーン・リフと弾むリズムにハトソンの洒脱なヴォーカルが溶け合う極上のシカゴ・ソウル・ダンサー。そして本作最大のハイライトが、甘美なメロディと浮遊感に満ちたエレピの音色が陶酔を誘う名曲「Lover's Holiday」である。
さらに、前向きなメッセージを力強く歌い上げる「Never Know What You Can Do (Give It A Try)」や、流麗なシンセサイザーとフェンダー・ローズのソロが炸裂する長尺のインストゥルメンタル「Butterfat」など、メロウネスとファンクネスが絶妙なバランスで共存している。
後世への影響・評価
本作は1980年代末から90年代にかけて英ロンドンのアシッド・ジャズ/レアグルーヴ・シーン(ノーマン・ジェイやジャイルズ・ピーターソンら)で熱烈な再評価を受け、日本でも「Free Soul」ムーヴメントを通じてハトソンは“ニューソウル/メロウ・グルーヴの最高峰”として決定的なリスペクトを獲得した。
特に「Lover's Holiday」をはじめとする楽曲群の洒脱なアレンジとコード進行は、後世のヒップホップ、ネオソウル、現代のR&Bプロデューサーたちにとってのバイブルとして今なお愛好され続けている。
トラックリスト
- A1 It's The Music 4:50
- A2 Let's Be Lonely Together 3:32
- A3 Never Know What You Can Do (Give It A Try) 3:57
- A4 Lover's Holiday 3:47
- B1 Feel The Spirit ('76) 5:54
- B2 Don't Let It Get Next To You 3:39
- B3 Butterfat 7:16
動画プレイリスト
このアーティストについて
Leroy Hutsonは、1945年6月4日生まれのアメリカ・ニュージャージー州ニューアーク出身のヴォーカリスト、キーボード奏者、ソングライター、プロデュー...
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