The Zombies - Odessey And Oracle (1968)
The Zombies『Odessey And Oracle』――解散直前に残された、1960年代ポップの結晶
The Zombiesの『Odessey And Oracle』は、1968年に発表された2作目のアルバムであり、バンドの実質的な最終作でもある。英国のロック・バンドとして1961年に結成されたThe Zombiesは、シングルを中心に活動しながら、メンバー自身の演奏とコーラスを軸にした緻密なポップ・サウンドを築いてきた。この作品では、その持ち味がさらに凝縮され、サイケデリック・ロックの文脈で語られることの多い内容になっている。
今回の盤は、UKのBig Beat Recordsから出た30周年記念盤。オリジナルの1968年盤とは時代も製造環境も異なり、ラッカーはWhitfield Streetでオリジナルのアナログ・テープから直接カットされている。収録音源の扱いにも手が入っており、この記念盤では「This Will Be Our Year」にモノ版が使われている点が明記されている。オリジナルのステレオLPで使われていたフェイク・ステレオではなく、制作時の音像に近い形で聴ける仕様になっている。
アルバムの位置づけ
The Zombiesは1967年12月に解散しており、『Odessey And Oracle』はその直前に録音された作品になる。録音はロンドンのAbbey Roadで行われ、限られた予算の中で制作されたことが、かえってメンバー自身の演奏、コーラス、メロトロンの使い方を際立たせている。外部の装飾に頼りすぎないぶん、曲そのものの構造がはっきり見えるアルバムでもある。
当時の英国では大きな成功にはつながらなかったが、後年になって評価が急速に高まった作品として知られる。The Beatlesの『Revolver』やBeach Boysの『Pet Sounds』と並べて語られることも多く、60年代ポップとサイケデリアの接点にあるアルバムとして定着している。バンドの中でも、完成度の高いスタジオ作品として特別な位置を占める一枚だ。
収録曲と聴きどころ
冒頭の「Care of Cell 44」からして、軽快なリズムと整ったコーラスが前面に出る。恋愛曲の体裁を取りながら、歌詞には留置所からの手紙を待つような設定があり、明るい音と内容のずれが印象に残る。「A Rose for Emily」では、ピアノとコーラスが落ち着いたテンポで進み、曲の中に静かな余白がある。
代表曲としてよく挙げられるのが「Time of the Season」。この曲はアルバム発売後しばらくしてから米国でヒットし、結果的にThe Zombies最大の知名度を支える一曲になった。低くうねるベース、間を取ったドラム、コール・アンド・レスポンス風の歌の運びがはっきりしていて、アルバム全体の中でも輪郭が強い。解散後に遅れて評価が広がったという経緯も、この曲の存在を大きくしている。
「This Will Be Our Year」は、後年とくに愛される曲のひとつ。ここではモノ版が使われており、曲の持つ素朴さがそのまま出ている。「Butcher’s Tale (Western Front 1914)」は戦争を題材にした曲で、アルバムの中でも異色の重さを持つ。反対に「Friends of Mine」や「I Want Her She Wants Me」では、軽やかなメロディの中に、The Zombiesらしい整ったハーモニーがはっきり残る。
サウンドと時代背景
この時期の英国ロックには、The Beatles、The Kinks、The Small Faces、Trafficなど、ポップの形式を拡張していく動きがあった。The Zombiesもその流れの中にいるが、派手なギターや過剰な実験より、鍵盤の配置、声の重なり、旋律の整理で個性を出している点が特徴的だ。Rod ArgentのキーボードとColin Blunstoneの歌声の組み合わせは、その中心にある。
サイケデリック・ロックという分類で見ても、極端に長いジャムや派手なエフェクトに寄るタイプではない。むしろ、短い曲の中に和声や構成の工夫を詰め込んだアルバムで、そこが後年の再評価につながった要素になっている。メロトロンの使い方も含め、60年代後半のスタジオ作品らしい細部が揃っている。
30周年記念盤としての聴きどころ
Big Beat Recordsのこの再発盤は、オリジナルの作品を後年の環境で聴き直すための盤として位置づけやすい。アナログ・テープから直接カットされた音源という点は、音の輪郭やコーラスの重なりを確認したいときに重要だ。オリジナル盤と比べると、収録形態や音源の扱いに再考が入っているのがわかる。
『Odessey And Oracle』は、商業的成功よりも、完成後に残った音楽そのものの強さで語られてきたアルバムだ。The Zombiesの活動史の中でも、解散直前の緊張感と、ポップ・ソングとしての整理された美しさが同時に見える作品。1968年の時点では見過ごされたが、その後の長い時間の中で、バンドの名を決定づける一枚になった。
トラックリスト
- A1 Care Of Cell 44
- A2 A Rose For Emily
- A3 Maybe After He's Gone
- A4 Beechwood Park
- A5 Brief Candles
- A6 Hung Up On A Dream
- B1 Changes
- B2 I Want Her She Wants Me
- B3 This Will Be Our Year
- B4 Butcher's Tale (Western Front 1914)
- B5 Friends Of Mine
- B6 Time Of The Season
動画プレイリスト
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The Zombies - Care of Cell 44 [2024 Mix]
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The Zombies - A Rose for Emily [2024 Mix]
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The Zombies - Maybe After He's Gone [2024 Mix]
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The Zombies - Beechwood Park [2024 Mix]
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The Zombies - Hung Up on a Dream [2024 Mix]
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The Zombies - Brief Candles [2024 Mix]
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The Zombies - Changes [2024 Mix]
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The Zombies - I Want Her She Wants Me [2024 Mix]
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The Zombies - This Will Be Our Year [2024 Mix]
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The Zombies - Butcher's Tale Western Front 1914 [2024 Mix]
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The Zombies - Friends of Mine [2024 Mix]
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The Zombies - Time of the Season [2024 Mix]