XTC - White Music (1978)
XTC 1978

XTC - White Music (1978)

Electronic Rock New Wave Power Pop

XTC『White Music』――デビュー作に刻まれた、1978年の初期衝動

XTCの『White Music』は、1978年1月20日に発売されたファースト・アルバムである。英国スウィンドン出身のバンドが、パンクとニューウェイヴの空気をまといながら登場した最初の本格的な作品で、後年のXTCに通じる知性や細かな仕掛けも、すでにこの時点で顔を出している。収録時間は長くないが、短い曲を連ねて一気に聴かせる構成で、バンドの初期像をつかむには分かりやすい1枚だ。

この1988年イタリア盤は、VirginのOVED 60番として出た再発盤で、オリジナルの1978年盤とは年代が異なる。Virginのミッド・プライス系カタログに連なる一枚で、80年代のイタリアで流通した再発として位置づけられる。オリジナル盤を前提にした初出当時の空気とは少し距離があるが、音そのものはデビュー作の輪郭をそのまま伝えてくれる。

XTCの出発点としての位置づけ

XTCは、単なるポストパンクの一群に収まりきらないバンドとして早い段階から見られていた。Andy PartridgeとColin Mouldingを軸に、当初はBarry Andrews、のちにDave Gregoryを加えた編成で発展していくが、『White Music』の時点では、まだ勢いと切迫感が前面に出ている。のちの洗練されたポップ感覚や複雑な構成よりも、まずは曲の立ち上がりの速さ、言葉の切り方、リズムの跳ね方が印象に残る。

制作はJohn Leckieが担当した。彼にとっても初期の大きなアルバム仕事だったことが知られていて、演奏を整えすぎず、バンドの初期衝動をそのまま残す方向でまとめられている。結果として、音像は必要以上に磨かれていないが、各曲の小気味よさははっきりしている。XTCの初作は、後年の作品群の入口としてだけでなく、当時の英国ニューウェイヴが持っていた軽さと緊張感をそのまま記録した作品でもある。

収録曲と聴きどころ

このアルバムでよく知られるのは、シングルとしても扱われた「Statue of Liberty」や「This Is Pop?」周辺の曲だろう。特に「This Is Pop?」は、タイトル通りポップそのものをめぐる視線があり、単純な勢いだけで終わらない。短い曲が多いが、どれもサビだけを押し出す作りではなく、展開の切り替えや語尾の置き方に工夫がある。

また、レコードのクレジットではいくつかの曲に別題が添えられている。A2は「X Wires」、B1は「Atom Age」、B2は「Set Myself On Fire」、B4は「New Town Animal」という表記もある。こうした細部にも、当時のXTCが単純なバンド名義のロックではなく、言葉遊びや見せ方を意識したグループだったことが表れている。

聴感上は、ベースとドラムが前に出て、ギターとキーボードが細かく噛み合う場面が多い。音圧で押すより、フレーズの切断と跳躍で進めるタイプで、パンクの速度感とパワー・ポップのフックが同居している。60年代ポップの整理されたメロディ感覚も、ところどころに見える。

当時の評価と文脈

発売当時の英国では批評面で好意的に受け止められた。『Record Mirror』が短い曲の連打で1978年の空気を言い当てた、と評したことも知られている。商業的には大ヒットではなく、UKアルバムチャートでは最高38位だったが、デビュー作としては十分に存在感を残した。シングルの大きなチャート成功が先に立つタイプではなく、アルバム全体の完成度で印象を残した作品である。

同時代の文脈で見ると、XTCはパンクの直後に出てきたバンドの中でも、よりポップ寄りの構成感と、ややひねった言葉遣いを持っていた。The JamやBuzzcocksのような緊張感を共有しながらも、XTCはより細部の作り込みに関心が向いている。そこがのちの多彩な発展につながっていく。

1988年イタリア盤について

この盤は1988年のイタリア再発で、Virginのグリーン/レッド系の時代が終盤に向かう時期の流通物にあたる。オリジナル1978年盤と比べると、コレクション上は後年のプレスであり、当時の初回発売の緊張感そのものを持つわけではない。ただ、アルバムの内容が変わるわけではなく、デビュー作の輪郭を手元で聴くには十分な一枚だ。

ジャケットはCooke Keyによるデザインと写真効果がクレジットされていて、作品の切れ味を視覚面でも支えている。XTCの初期像を確認するうえで、『White Music』は外せないアルバムである。まだ粗さの残る演奏の中に、のちの長いキャリアにつながる発想の芽がはっきり見える。

トラックリスト

  1. A1 Radios In Motion 2:52
  2. A2 Cross Wires 2:03
  3. A3 This Is Pop 2:38
  4. A4 Do What You Do 1:14
  5. A5 Statue Of Liberty 2:52
  6. A6 All Along The Watchtower 5:40
  7. B1 Into The Atom Age 2:32
  8. B2 I'll Set Myself On Fire 3:00
  9. B3 I'm Bugged 3:59
  10. B4 New Town Animal In A Furnished Cage 1:51
  11. B5 Spinning Top 2:38
  12. B6 Neon Shuffle 4:25

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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