YĪN YĪN - The Age Of Aquarius (2022)
YĪN YĪN 2022

YĪN YĪN - The Age Of Aquarius (2022)

Rock Folk, World, & Country Funk / Soul Funk Disco Psychedelic Surf

YĪN YĪN『The Age Of Aquarius』について

オランダ・マーストリヒト出身のYĪN YĪNが2022年に発表した2作目『The Age Of Aquarius』は、ディスコ、ファンク、サーフ、サイケデリック、そして東南アジア由来の音階やムードをひとつの流れにまとめた作品です。Glitterbeatからのリリースで、バンドの持ち味であるリズムの強さと、少し異国感のある旋律が前作以上に前面へ出ています。4人組として活動してきた彼らの音像が、ここではより整理され、ダンサブルな方向へはっきり寄っているのが印象的です。

YĪN YĪNは2019年にシーンへ登場し、Reeperbahn Festivalでは「Europe’s more exciting acts」のひとつとして紹介されました。初期から、ウェストコーストのサイケデリアを土台にしつつ、東南アジアの音楽的な手触りを取り込むスタイルで注目されてきましたが、このアルバムではその要素がさらに自然につながっています。ギター、ベース、ドラム、キーボードという編成を軸にしながら、サンプルやシンセも絡め、曲ごとの輪郭をよりくっきり見せている構成です。

パンデミック下で進んだ制作

本作はロックダウンの時期に制作が進み、自宅や離れた環境で試行錯誤を重ねたとされています。生ドラムに加えて打ち込みも使い、前作よりも電子的な処理が増えたことで、リズムの推進力が強まり、同時に空間の広がりも出ています。制作側が「踊るためのアルバム」と位置づけている点も、この作品を理解するうえでわかりやすいポイントです。実際、曲の展開は派手に崩すというより、同じフレーズをじわじわ積み上げていく場面が多く、身体の動きに合わせて構成が前へ進む感触がある。

収録曲のタイトルも印象に残ります。『Age of Aquarius』はミュージカル『Hair』で広く知られる語で、他にもヒンドゥー宇宙観に触れる『Satya Yuga』『Kali Yuga』など、時代や循環を意識した言葉が並びます。アルバム全体が、音の配置だけでなく、題名の段階からひとつの世界観を作っている形です。

音の中心にあるもの

聴き進めると、まずリズム隊の粘りが目立ちます。Kees BerkersのドラムとRemy Scherenのベースが、単に土台を支えるだけでなく、曲の表情を決める役割を担っている。そこにJerome Scherenのキーボード、Erik Bandtのギターが重なり、ファンクの反復感とサイケデリックな展開が同居します。東南アジア音楽への参照は、旋律の運びや音色の選び方に現れていて、派手な引用というより、曲の骨格に染み込んでいる印象です。

前作からの流れで見ると、『The Age Of Aquarius』はバンドの方向性をより明確にした作品として受け取れる。デビュー作で見えていた「何でも吸収する感じ」が、ここではダンスミュージック寄りの推進力にまとまり、宇宙的な広がりを持ちながらも、足元はかなりグルーヴィーです。AllMusicでも、タイのピンやシンセ、ドラムマシンを交えた“cosmic disco”の深化として捉えられていました。

同時代の文脈

YĪN YĪNの音楽は、近年のオルタナティブ/インディーの文脈で語られることが多いですが、単純に「ワールド・ミュージック」とも「ディスコ復興」とも言い切れない位置にあります。たとえば、サイケデリックな反復やファンクの骨組みという点では、現行のクラウトロック以後のバンド群とも接点がある一方で、旋律の運びはもっと地域的な色合いを持っている。Glitterbeatが扱ってきたアーティスト群――アフリカやその周辺の現代音楽を軸にするラインナップ――の中でも、YĪN YĪNはかなり都市的で、クラブ寄りの感触が強い部類に入る。

リリース情報

  • アーティスト: YĪN YĪN
  • タイトル: The Age Of Aquarius
  • リリース年: 2022年
  • リリース国: Europe
  • レーベル: Glitterbeat (GBLP 124)
  • フォーマット備考: Bandcamp download code付き

2022年時点でのYĪN YĪNは、単なる新興バンドというより、すでに独自の型を持ったグループとして見られていた。『The Age Of Aquarius』は、その型を崩さずに前へ進めた作品で、踊れるグルーヴ、少し異国的な旋律、電子的な処理、サイケデリックな展開が、かなり具体的に並んでいる。派手なヒット曲で押すタイプではないが、アルバム全体の流れの中で印象を残す曲が多く、バンドの現在地をそのまま記録した一枚としてまとまっている。

トラックリスト

  1. A1 Satya Yuga
  2. A2 Chong Wang
  3. A3 Shēnzhou V.
  4. A4 Faiyadansu
  5. B1 Declined By Universe
  6. B2 Nautilus
  7. B3 The Age Of Aquarius
  8. B4 Kali Yuga

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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