Barış Manço - 2023 (1975)
Barış Manço『2023』について
Barış Manço(バルシュ・マンチョ)の『2023』は、1975年にトルコのYavuz Plakから発表された名盤であり、彼にとって初の本格的なスタジオ・オリジナル・アルバム。トルコを代表する国民的ロックスターでありアナトリアン・ロックの開拓者であるマンチョが、専属バックバンドであるKurtalan Ekspres(クルタラン・エクスプレス)とともに作り上げた歴史的一枚である。タイトルの『2023』は、トルコ共和国建国(1923年)から100周年にあたる「2023年のトルコと世界」を未来志向で予見したコンセプチュアルなテーマを掲げている。
制作背景・エピソード
本作にはBarış Manço自身が描いたスケッチ入りの豪華な見開きブックレットが付属していた。伝統楽器であるサズ(バーラマ)、ネイ、ヤイル・タンブールと、モーグ・シンセサイザー、フェンダー・ローズ、ファズ・ギター、重厚なドラムブレイクを大胆に融合させた革新的な音作りを展開している。
「Kayaların Oğlu(岩の息子)」におけるアナトリアの悠久の大地を擬人化したマンチョの重厚な語りからコズミックなタイトル曲「2023」へと雪崩れ込む展開や、オスマン帝国黎明期の殉教者を描いた13分超の大曲組曲「Baykoca Destanı(バイコジャ叙事詩)」など、演劇的かつプログレッシブな大作が並ぶ。また同年にはマンチョ唯一の主演映画となった音楽コメディ『Baba Bizi Eversene』が公開され、本作の楽曲や劇伴が映画全編で効果的にフィーチャーされた。
時代の文脈
1970年代半ばのトルコは政治的動乱の渦中にあったが、音楽シーンでは西洋のサイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック、ファンクと、アナトリア地方の伝統詩・民謡を融合させた「アナトリアン・ロック」が爆発的な黄金期を迎えていた。Erkin KorayやCem Karacaらとともにシーンを牽引したマンチョは、ヨーロッパ滞在経験に裏打ちされたコスモポリタンな感覚とトルコの豊かなルーツへの敬意を高次元で結実させ、本作によってトルコ独自の先進的プログレッシブ・ロックの頂点を確立した。
サウンドと後世への影響
ミニマルでスペーシーなシンセサイザーの反復と野太いベースラインが唸る「2023」のファンク・グルーヴ、哀愁漂う伝統旋律とプログレッシブ・ロック的展開がシネマティックに交錯する「Baykoca Destanı」など、トルコ伝統の微分音と欧米のエレクトロニクスが奇跡的な調和を保っている。盲目の吟遊詩人アーシュク・ヴェイセルの名民謡をコズミックなジャズ・ファンクへと変貌させた「Uzun İnce Bir Yoldayım」や「Kol Bastı」は白眉の出来栄えである。
本作はトルコ国内での国民的名盤にとどまらず、2000年代以降はFinders Keepersなど海外レーベルによるリイシューを通じて世界的な再評価が進み、現代のDJやビートメイカー、Altın Günなどの新世代サイケデリック・バンドにも絶大なインスピレーションを与え続けている。
トラックリスト
- A1 Acıh da Bağa Vir 3:43
- A2 Kayaların Oğlu
- A3 2023 10:00
- A4 Yol Verin Ağalar Beyler 3:57
- A5 Uzun İnce Bir Yoldayım 5:20
- B1 Yine Yol Göründü Gurbete 3:19
- Baykoca Destanı 13:00
- B3 Tavuklara Kışşşt De 2:30
- B4 Kol Bastı 7:20
動画プレイリスト
このアーティストについて
Barış Manço(バルシュ・マンチョ、1943年1月2日 - 1999年2月1日)は、トルコ・イスタンブール出身のシンガー・ソングライター、作曲家、テレビ番組司...
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