Yvonne Fair - The Bitch Is Black (1975)
Yvonne Fair 1975

Yvonne Fair - The Bitch Is Black (1975)

Funk / Soul Funk Soul

Yvonne Fair『The Bitch Is Black』

1960年代初頭に「ジェームス・ブラウン・レビュー」の看板女性シンガーとして活躍し、JBの歴史的代表曲「I Got You (I Feel Good)」の原曲となった「I Found You」(1962年)を歌ったことでも知られる実力派ソウル・シンガー、Yvonne Fair(イヴォンヌ・フェア)。チャンテールズ等の活動を経てモータウンと契約し、映画『ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実(Lady Sings the Blues)』への出演や長い下積みを経て、1975年に発表した生涯唯一のソロ・アルバムが『The Bitch Is Black』である。ハリウッドのモータウン・スタジオで録音され、名プロデューサーのノーマン・ホィットフィールドがその才能を極限まで引き出した傑作である。

制作背景・エピソード

本作のプロデュースを全面的に手がけたのは、テンプテーションズやマーヴィン・ゲイのサイケデリック・ソウルを築き上げたモータウンの大巨匠Norman Whitfield(ノーマン・ホィットフィールド)。フェアの野性味あふれる圧倒的な歌唱力を受け止めるべく、自身のトレードマークである重厚かつ緊迫感に満ちたファンク/ソウル・サウンドを惜しみなく注ぎ込んだ。また、制作陣にはフェアの夫であり、ジ・オージェイズやリトル・アンソニー&ジ・インペリアルズのメンバーとして名を馳せたサミー・ストレインも参加。長年の雌伏の時を経て、満を持して世に放たれた渾身の一作となった。

時代の文脈

1970年代中期のアメリカでは、ブラック・パワー・ムーヴメントと女性解放(フェミニズム)の潮流が合流し、ベティ・デイヴィスやミリー・ジャクソンらのように女性の主体性や怒り、セクシャリティをストレートに主張する音楽が台頭していた。本作は『The Bitch Is Black』という極めて挑発的なタイトルを冠し、鞭を手にした黒いネグリジェ姿のジャケット(初回盤は錠剤のイラストが縁取られ物議を醸した)とともに、従来のモータウンの洗練されたポップ・イメージを鮮烈に覆すアグレッシブなブラック・ウーマン像を提示した。

サウンド・聴きどころの評され方

アルバム最大のハイライトは、全英シングルチャートで5位、全米R&Bチャートで8位を記録した壮絶なディープ・ソウル・バラード「It Should Have Been Me」。かつての恋人が別の女性と結婚する式場に乗り込み、狂おしい嫉妬と痛惜をハスキーなダミ声でシャウトするフェアのボーカル・パフォーマンスは圧巻の迫力を誇る。一方、「Funky Music Sho Nuff Turns Me On」やテンプテーションズのカヴァー「Let Your Hair Down」では、ホィットフィールド印のワウ・ギターと重量級ファンク・ビートが炸裂。スティーヴィー・ワンダー作の「Tell Me Something Good」やバーバラ・ジョージの「I Know」などの名曲カヴァーも、泥臭くブルージーな彼女独自のソウルへと見事に昇華されている。

後世への影響

ノーマン・ホィットフィールドによる重厚で尖ったファンク・サウンドとフェアの強烈な歌声は、後年のヒップホップ世代に多大なインスピレーションを与えた。「Let Your Hair Down」のドラムとホーンのリフはジェイ・Zの代表曲「Where I'm From」(1997年)で大々的にサンプリングされ、「Stay A Little Longer」はゴーストフェイス・キラーの「Stay」で引用されるなど、90年代以降の東海岸ヒップホップの重要なサンプリング・ソースとして神格化された。

評価・チャート

シングル「It Should Have Been Me」のイギリスでのトップ5入りをはじめ国際的なスマッシュ・ヒットを記録。モータウン史上最も過激でディープな異色作でありながら、70年代ファンク/レディ・ソウルの最高峰の一枚として世界中のファンやDJから熱烈に愛され続けている。

トラックリスト

  1. A1 Funky Music Sho Nuff Turns Me On 3:05
  2. A2 It Should Have Been Me 3:34
  3. A3 Stay A Little Longer 3:30
  4. A4 It's Bad For Me To See You 3:31
  5. A5 Tell Me Something Good 3:30
  6. B1 Let Your Hair Down 4:23
  7. B2 Love Ain't No Toy 3:23
  8. B3 I Know (You Don't Love Me No More) 3:18
  9. B4 Walk Out The Door If You Wanna 2:17
  10. B5 You Can't Judge A Book By It's Cover 2:50

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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