Birth Control - Increase (1977)
Birth Control『Increase』(1977)
Birth Controlは、1966年にベルリンで結成されたドイツのロック・バンドだ。長い活動歴のなかで編成を変えながらも、70年代のドイツ・ロックを代表する存在のひとつとして位置づけられている。『Increase』は1977年にドイツのBrainから出た作品で、いわゆるクラウトロックからプログレッシブ・ロックへまたがる時期のBirth Controlを知るうえで重要な一枚といえる。レーベルはBrainの0060.066番で、1977年当時のBrainらしいオレンジ系のラベル期にあたる。
Birth Controlの音楽は、同時代のCanやAmon Düül II、Guru Guruのようなドイツ勢と並べて語られることが多い一方で、もっと直線的なロックの推進力を持っている点がはっきりしている。『Increase』でもその性格は変わらず、重心の低いリフ、鍵盤の厚み、リズムの粘りが前面に出る。録音年代を考えると、英米のハードロックやプログレがひと区切りを迎えつつあった時期で、そうした空気のなかでBirth Controlは、ドイツ国内のバンドらしい硬質さを保ちながら演奏を組み立てている。
作品の位置づけ
1977年という時点で、Birth Controlはすでにデビューから10年近いキャリアを持っていた。バンドの中心人物であるボーカルのベルント・ノスケを軸に、複数のメンバーが出入りしながら活動を続けていた時期であり、『Increase』はそうした長期活動の中盤以降に置かれる作品だ。初期のサイケデリックな要素を引きずりつつも、より演奏の輪郭が整理され、曲作りもコンパクトさを意識しているように聴こえる。70年代後半のBirth Controlを追うとき、この作品は円熟と変化の両方が見える位置にある。
Brainというレーベルも、この作品を語るうえで外せない。Brainはクラウトロックや電子音楽の重要作を多く抱えたドイツの名門で、1977年の時点ではオレンジ/マルチカラー期のラベルが使われていた。つまり『Increase』は、Brainの初期グリーン期ではなく、70年代後半の標準的な姿で世に出た盤ということになる。レーベルの文脈まで含めると、当時の西ドイツのロックがどのように流通していたかも見えてくる。
サウンドの特徴
この時期のBirth Controlは、単にヘヴィなだけではない。ギターが前に出る場面でも、ベースとドラムがしっかりと押し出しを作り、鍵盤が空間を埋めていく。曲が進むにつれてテンションを積み上げる構成が多く、派手な転調や技巧の誇示よりも、反復を軸にした推進力が印象に残る。クラウトロックの反復感と、プログレッシブ・ロックの展開志向、その両方が同居している感じだ。
実際に耳を通すと、演奏の密度が高いわりに音数で圧倒するタイプではなく、各パートの役割がかなり明確だとわかる。歌が入る部分はロック・バンドらしい分かりやすさがあり、インスト的に流れる部分ではじわじわと圧をかける。70年代半ば以降のドイツのハード寄りプログレに見られる、硬質で実直な作りの一例として捉えやすい。
注目曲について
『Increase』のなかでまず耳を引くのは、タイトル曲だ。アルバム全体の方向性を端的に示すような、押しの強いリフと段階的な盛り上がりが軸になっている。Birth Controlらしいのは、重さだけに寄らず、演奏の間合いで緊張感を作っているところだ。派手に展開しすぎず、それでも曲の中心がぶれない。バンドの持つ演奏力と構成力が、かなり素直に出ているタイプの曲といえる。
もうひとつ印象に残るのは、リズム隊が前面に出るタイプの曲だ。Birth Controlはこの手の曲で、単なる伴奏ではなく、曲の推進エンジンとしてベースとドラムを機能させる。そこにギターやキーボードが重なっていくため、聴き手には「じわじわ上げていく」感覚が残りやすい。派手なヒット曲というより、アルバム単位で聴いたときに存在感が増す曲作りだ。
同時代の文脈で見ると
1977年のドイツ・ロックは、すでに70年代前半のクラウトロック黄金期から少し距離を置きつつあったが、Birth Controlはその流れを切らずに更新していたバンドのひとつだと思える。Canのような実験性一辺倒でもなく、Tangerine Dreamのような電子音主体でもない。むしろ、ハードロックの骨格にドイツ的な反復感と構築性を持ち込んだ点に特徴がある。Prog RockとKrautrockのあいだを行き来するバンドとして、『Increase』はその立ち位置を確認しやすい作品だ。
Birth Controlは長く活動したバンドだけに、時期ごとに音の表情が変わるが、『Increase』はその中でも、演奏のまとまりとロックとしての力感がよく見える一枚だ。ドイツ産ロックの文脈で聴くと、派手さよりも実直さが印象に残る。70年代後半のBrain盤としても、当時の空気をそのまま留めた存在感がある。
トラックリスト
- A1 Skate-Board Sue 3:55
- A2 Domino's Hammock 4:52
- A3 Fight For You 4:35
- A4 Until The Night 6:25
- B1 Get Up! 4:35
- B2 We All Thought We Knew You 7:50
- B3 Seems My Bike's Riding Me 8:00
動画
- Skate-Board Sue
- Domino's Hammock
- Fight for You
- Until the Night
- Get Up!
- We All Thought We Knew You
- Seems My Bike's Riding Me