Chic - C'est Chic (1978)
Chic 1978

Chic - C'est Chic (1978)

Funk / Soul Disco

Chic『C'est Chic』(1978) 作品紹介

Chicの2作目『C'est Chic』は、1978年のディスコ・シーンをそのまま写し取ったようなアルバムでありながら、単なる流行盤に収まらないまとまりを持つ作品だ。Nile RodgersとBernard Edwardsを中心に1977年に結成されたChicは、演奏の精度と曲の設計でディスコを更新したグループとして知られているが、このアルバムではその輪郭がさらに明確になる。AtlanticからUS盤で登場した本作は、バンドにとって初期の代表作であり、同時に世界的な認知を決定づけた一枚でもある。

アルバムの位置づけ

『C'est Chic』は、Chicの初期キャリアにおいて重要な転換点にある。デビュー作で提示したギターの刻み、ベースの推進力、そしてストリングスやコーラスを含む洗練されたアレンジが、この2作目でさらに整理されている。録音は1978年、ニューヨークのPower Station Studiosで行われ、マスタリングはAtlantic Studios。プロデュースはThe Chic Organization Ltd.とMK Productionsの共同名義で、制作の現場がグループ主導で動いていたことがうかがえる。

この時期のChicは、同じディスコの文脈にあるBee GeesやDonna Summer、Sister Sledgeらと並べて語られることが多いが、演奏の組み立て方はかなり異なる。ビートを前面に出しつつ、ベースラインとギターの反復で曲を押し切る作りは、のちのポスト・ディスコやダンス・ポップにもつながる要素を含んでいる。

収録曲と代表曲

本作を代表するのは、やはり「Le Freak」だ。1977年大晦日、Studio 54での出来事をきっかけに生まれたという話はよく知られている。Nile RodgersとBernard Edwardsが店に入れなかった腹いせに作り始めたフレーズが曲の核になったとされ、もともとは別の言葉を含むタイトルだったものが、発売時に現在の形へ改められた。1978年9月にシングルとして先行発表されると、Billboard Hot 100、R&Bチャート、クラブ・プレイ・チャートで1位を獲得し、全米で600万枚を売り上げた大ヒットになった。

曲を聴くと、冒頭のギターリフからすでに展開が見える。リズム隊の間合いが細かく、歌が入る前から身体が動く設計になっている。大きく盛り上げるというより、同じグルーヴを少しずつ押し広げていく作りで、フロア向けの機能性がはっきりしている。「I Want Your Love」も重要な曲で、こちらはR&Bチャート5位、ポップ・チャート7位、UKで4位を記録した。シングルとしてもアルバムの軸としても存在感が大きい。

アルバム全体の印象

『C'est Chic』は「Le Freak」の印象が強い一方で、アルバムとしてはその一曲だけで終わらない。全8曲のオリジナル構成は、派手さよりも連続性を重視した流れで、各曲のテンポや質感が滑らかにつながっている。ディスコの華やかさはあるが、装飾は必要最小限に抑えられていて、リズム、ベース、ギター、ヴォーカルの配置がはっきりしている。聴き進めるほど、音数の多さではなく、置き方の精密さが耳に残る。

また、Luther Vandrossが参加している点も見逃せない。彼はのちにソロで大きく成功するが、この時期にはコーラスやアレンジ面でChicのサウンドに関わっていた。グループの周辺に優れた歌唱と演奏の人材が集まっていたことも、アルバムの完成度を支える要素になっている。

当時の評価と後年への影響

発売当時、『C'est Chic』は商業的には大きな成功を収めた。Billboard 200では最高4位、R&Bアルバム・チャートでは11週1位を記録し、1979年の年間R&Bアルバム・チャートでも首位に立っている。一方で、批評面では「Le Freak」以外の楽曲を平板とみる声もあったようだ。ただ、後年の視点で見ると、このアルバムの価値は単独のヒット曲だけでは測れない。Nile Rodgersのカッティング・ギター、Bernard Edwardsのベース運び、そして無駄を削ったプロダクションは、その後のR&B、ポップ、ダンス・ミュージックに広く影響を残した。

同時代のディスコ作品がきらびやかなオーケストレーションや歌の強さで勝負していたのに対し、Chicは演奏の反復とリズムの精度で勝負している。そのやり方が『C'est Chic』ではかなり明快だ。1978年という年の空気を持ちながら、今聴いても土台の強さがはっきり分かるアルバムになっている。

USオリジナル盤について

今回のUS盤はAtlanticのSD 19209。1978年当時のオリジナル・リリースで、ジャケットとレーベル表記は同年の作品としての初出形態にあたる。Atlanticの当時のUS盤らしく、レーベル面には1978年のクレジットが入り、制作・出版情報もその時代の表記に沿っている。Chicの初期ディスコ路線を代表する一枚として、盤そのものも作品の歴史をそのまま伝える存在になっている。

トラックリスト

  1. A1 Chic Cheer 4:42
  2. A2 Le Freak 5:23
  3. A3 Savoir Faire 5:01
  4. A4 Happy Man 4:17
  5. B1 I Want Your Love 6:45
  6. B2 At Last I Am Free 7:08
  7. B3 Sometimes You Win 4:26
  8. B4 (Funny) Bone 3:41

動画プレイリスト

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