Bohannon - Stop & Go (1973)
Hamilton Bohannon 1973

Bohannon - Stop & Go (1973)

Funk / Soul Funk Soul Disco

Bohannon『Stop & Go』について

ハミルトン・ボハノンの『Stop & Go』は、1973年にUSのDakar Recordsから出たデビュー・アルバム。のちにディスコへつながっていく反復的なリズム感を、かなり早い段階で前面に押し出した作品で、ボハノンという人物の出発点を知るうえで重要な1枚になっている。モータウンでスティーヴィー・ワンダーの伴奏を務め、さらに同レーベルのアレンジャーとして経験を積んだ彼が、デトロイトに残って自分のバンドを率い、独自のファンク/ソウルを形にした最初期の記録でもある。

アルバムの位置づけ

ボハノンは1942年ジョージア州ニューナン生まれ。1960年代にデトロイトへ移り、モータウンで活動したのち、1970年代初頭に自身のプロジェクトへ進んだ。本作はその転機にあたる作品で、以後のソロ作へ続く基礎がすでに見える。1978年の代表曲「Let’s Start The Dance」や、1974年の「South African Man」へつながる流れを考えると、『Stop & Go』は単なる初作ではなく、ボハノンの作法を最初にまとめたアルバムとして聴ける。

制作面でもボハノン自身がプロデュース、アレンジ、指揮を担当し、ドラムスとパーカッションも受け持っている。エンジニアはクレイグ・バークスデール。演奏にはデトロイト周辺の腕の立つミュージシャンが集まり、ギターにワウワウ・ワトソン、レイ・パーカー・ジュニア、リロイ・エマニュエル、ベースにエディ・ワトキンス・ジュニア、オルガンにモーズ・デイヴィス、ピアノにロッド・ランプキン、フルートとサックスにダニー・ターナー、ヴァイオリンにトラヴィス・ビッグス、コーラスにキティ・ヘイウッド・シンガーズが参加している。デトロイトの現場感がそのまま詰まった布陣。

サウンドの特徴

このアルバムでまず目立つのは、ベースの押し出しと、同じフレーズを粘り強く反復するリズムの組み立て。ファンクの骨格をしっかり保ちながら、ビートの置き方にかなり執着がある。派手な展開で引っ張るというより、一定のグルーヴを積み上げていくタイプで、そこにホーンやオルガン、ギターの細かな差し込みが乗る。後年のディスコに接続する土台が、すでにこの時点で見えている。

実際に通して聴くと、曲ごとの印象差よりも、全体を貫くリズムの統一感が強い。ドラムの刻み、ベースの跳ね方、短いフレーズの繰り返しが前へ前へと進むので、歌ものとしての分かりやすさよりも、身体を動かすための推進力が先に立つ。ボハノンの作品に共通する、いわば“止まらない反復”の感覚が、タイトルの『Stop & Go』にもそのまま表れている。

収録曲と知られた楽曲

この作品で特に知られているのが「Save Their Souls」。のちにヒップホップで頻繁にサンプリングされ、ジェイ・Zの「Cashmere Thoughts」にも使われたことで知られる。ボハノンの音源が、1970年代のファンク/ソウルの枠を越えて、ハウスやヒップホップの制作現場に影響を与えていった流れを考えると、この曲の存在は大きい。単に“サンプリング向き”という話ではなく、反復の強さそのものが後世のプロデューサーに参照された形。

同時代の文脈

1973年という時期は、ソウルがファンクへ、そしてディスコへとつながっていく途中にある。本作はその境目に置くと分かりやすい。モータウン的な洗練を受け継ぎつつ、デトロイトの硬いビート感を残し、さらにクラブ志向の反復へ寄せていく。その進み方は、同時代のファンク・プロデューサーやバンド・リーダーたちと並べて見ても特徴的で、ボハノンが後年ディスコ・プロデューサーとして評価される下地がここにある。

なお、本作は米国のポップ/R&Bチャートには入らなかったが、ボハノンにとってはレコーディング・キャリアの起点となった1枚。派手な成功作というより、以後の活動を方向づけた初期作として重要な位置を占めている。Brunswick系のDakarレーベルから出たことも含め、当時のシカゴとデトロイトのソウル/ファンクの接点を映した記録としても興味深い。

まとめ

『Stop & Go』は、ハミルトン・ボハノンが持っていたリズム感、編曲感覚、バンドのまとめ方をそのまま記録したデビュー作。重いベース、反復するビート、デトロイトの演奏陣、そしてのちにサンプリング源としても注目される楽曲「Save Their Souls」。1970年代ファンクの初期地点を確認するうえで、しっかり存在感のあるアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 The Stop And Go 3:32
  2. A2 Getting To The Other Side 3:15
  3. A3 The Pimp Walk 4:01
  4. A4 Run It On Down Mr. D.J. 6:39
  5. B1 Save Their Souls 4:51
  6. B2 Singing A Song For My Mother 6:24
  7. B3 It's Time For Peace 2:21
  8. B4 Happiness 3:57

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
Share
戻る

あわせて聴きたい "Funk"

toast