Al Green - Green Is Blues (1969)
Al Green『Green Is Blues』――メンフィス・ソウルが形を整え始めた初期作
Al Greenの『Green Is Blues』は、1969年にUSのHi Recordsから出たアルバムで、のちに大きく花開く“Al Greenらしさ”の輪郭がすでに見えている作品だ。デビュー作『Back Up Train』のあとに置かれたこの2作目は、まだ大ヒットの看板曲を持たない段階ながら、メンフィスのHi Recordsらしい演奏と、Greenのファルセットが合わさって、後年の代表作へつながる土台を作っている。
この時期のHi Recordsは、メンフィスのソウルを語るうえで外せない存在で、Willie Mitchellを軸にした制作体制が強みになっていた。『Green Is Blues』でも、Mitchellが主なプロデューサーとして関わり、Hi Rhythm Sectionを核にした流れがはっきりしている。ホーンの入り方、リズムの粘り、そこに乗るGreenの声の伸び方まで、のちの“メンフィス・サウンド”の骨格がこの段階で整っている印象がある。
収録曲の顔ぶれとカバーの扱い
収録曲は、オリジナル曲とカバーが混ざった構成だ。The Temptationsの「My Girl」、The Box Topsの「The Letter」、The Beatlesの「Get Back」、ガーシュウィンの「Summertime」など、時代や出自の異なる曲を並べながら、Al Greenの声でひとつのアルバムにまとめている。単なる焼き直しではなく、曲ごとの温度を保ちながら、自分の歌い方へ引き寄せているのがこの作品の見どころになっている。
オリジナル曲では「Tomorrow's Dream」「Get Back Baby」あたりが中心になる。「One Woman」「Talk To Me」「I Stand Accused」も含めて、のちのAl Green作品に通じる、言葉数を詰め込みすぎない歌い方が際立つ。メロディを押し切るのではなく、フレーズの間を使って引っ張るタイプの歌唱で、ここにすでに独特の色がある。
演奏と歌の距離感
実際に聴くと、派手な展開よりも、グルーヴの置き方に耳が向くアルバムだ。リズム隊は前に出すぎず、ホーンは要所でアクセントを付け、Greenの声がその上を滑るように進む。ソウル・アルバムでありながら、熱量を前面に押し出すより、芯のある落ち着きが勝っている。ここが後年の、より洗練されたAl Green像につながっていく部分でもある。
特にファルセットの使い方は、この時点でも目立つ。高音をただ張り上げるのではなく、少し引いた位置で感情を残す歌い方で、メンフィスの演奏とぶつからずに噛み合っている。後の『Let's Stay Together』以降で完成度が増すスタイルの、初期形として聴ける内容だ。
位置づけと時代背景
『Green Is Blues』は、Al Greenのキャリアの中では転機にあたる作品として見られている。1967年のデビュー作が大きく跳ねなかったあと、このアルバムでWillie Mitchellと初めて本格的に組み、以後の成功へつながる関係が始まったからだ。ヒット・シングルはまだ生まれていないが、評判の面では次の段階に進む準備ができていたアルバムとして扱われることが多い。
同時代のソウルと比べても、ここにはR&Bの勢いだけでなく、南部らしい余白がある。Otis Redding以後のメンフィス・ソウルの流れ、そして後のサザン・ソウルの洗練へ向かう途中に置かれた作品として、位置づけが見えやすい。Hi Recordsの看板アーティストとしてのAl Greenが、この段階ですでにレーベルのカラーを体現し始めている点も重要だ。
盤の特徴と初期プレス
このUS盤はHi Recordsのオリジナル期のリリースで、「Made In U.S.A.」表記があり、ラベルやランアウトにはBestwayプレスを示す要素が見られる。ジャケットには「The Memphis Sound」と「Hi Records/London」のロゴが入り、当時のレーベルの位置づけがそのまま出ている。B1「Gotta Find A New Yorld」の綴りミスもこの盤の特徴として残っている。
のちの再発盤では、素材の見え方やクレジットの扱いが変わることがあるが、この1969年盤は、Al Greenがまだ“スター完成形”になる前の空気をそのまま閉じ込めている。歌い手としての輪郭、メンフィス・ソウルの編成、Hi Recordsの制作美学、その3つが同じ場所に収まっている一枚だ。
まとめ
『Green Is Blues』は、Al Greenの代表作群の前段にあるアルバムでありながら、すでに彼の核になる要素が揃っている。カバーとオリジナルの並び、Willie Mitchellとの初期の共同作業、Hi Rhythm Sectionを軸にした演奏、そして感情を押しつけない歌い方。どれも後年の成功作につながる材料になっている。1969年のメンフィス・ソウルを知るうえでも、Al Greenの出発点を確かめるうえでも、重要な一枚として残る作品だ。
トラックリスト
- A1 One Woman 2:59
- A2 Talk To Me 3:03
- A3 My Girl 2:47
- A4 The Letter 2:22
- A5 I Stand Accused 3:12
- B1 Gotta Find A New World 2:22
- B2 What Am I Gonna Do With Myself 2:22
- B3 Tomorrow's Dream 2:18
- B4 Get Back Baby 2:10
- B5 Get Back 2:18
- B6 Summertime 2:56
動画プレイリスト
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Al Green - One Woman (Official Audio)
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Al Green - Talk To Me (Official Audio)
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Al Green - My Girl (Official Audio)
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Al Green - The Letter (Official Audio)
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Al Green - I Stand Accused (Official Audio)
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Al Green - Gotta Find A New World (Official Audio)
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Al Green - What Am I Gonna Do With Myself (Official Audio)
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Al Green - Tomorrow's Dream (Official Audio)
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Al Green - Get Back Baby (Official Audio)
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Al Green - Get Back (Official Audio)
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Al Green - Summertime (Official Audio)