Doug Carn Featuring The Voice Of Jean Carn - Spirit Of The New Land (1972)
Doug Carn Featuring The Voice Of Jean Carn『Spirit Of The New Land』
ダグ・カーンが、当時の妻ジーン・カーンの歌声を前面に出して制作した1972年作。ブラック・ジャズ・レコードから出た通算2作目のリーダー・アルバムで、ニューヨークのBell Sound Studiosで録音され、ジーン・ラッセルがA GR Productionとしてプロデュースを担っている。カタログ番号はBJQD/8で、4チャンネル盤としても出た作品。
制作背景・エピソード
参加ミュージシャンには、トランペット/フリューゲルホーンのチャールズ・トリヴァー、ドラマーのアルフォンス・ムゾーン、トロンボーンのガーネット・ブラウン、サックスやフルート、バスクラリネットを操るジョージ・ハーパーらが集まっている。編成の面では、通常のウッドベースやエレキベース奏者がクレジットされていない点が特徴的で、アール・マッキンタイアのチューバ、ジョージ・ハーパーのバスクラリネット、そしてダグ・カーン自身のピアノやオルガンの左手が低音部を支える構成になっている。
収録曲では、ダグ・カーン自身のオリジナルに加えて、既存曲に独自の詩を付けたヴォーカリーズ化が目立つ。マイルス・デイヴィスの「Blue in Green」やリー・モーガンの「Search for the New Land」にブラック・コンシャスネスや精神的解放を謳う新たな言葉を乗せ、ジーン・カーンの歌で再構築している点が大きな聴きどころとなっている。
時代の文脈
本作は、1971年にオークランドで始まったブラック・ジャズ・レコードの初期カタログに置かれる作品でもある。レーベルはアフリカ系アメリカ人ミュージシャンを前面に押し出す目的で立ち上げられ、政治性と精神性を帯びた作品群を送り出していた。ダグ・カーンにとっては前作『Infant Eyes』に続く流れの中にあり、レーベルの初期を代表する1枚として位置づけられている。
この時期の作品群は、スピリチュアル・ジャズ、モーダル・ジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンク/フュージョンの流れと並んで語られることが多く、チャールズ・トリヴァーやアルフォンス・ムゾーンの参加もその文脈で目を引く。なお、ダグ・カーンはのちに改名し、イスラムへの改宗後はAbdul Rahim Ibrahimとして活動する。
後世への影響
ダグ・カーンの作品群は、ブラック・ジャズ・レコードの中でも特に再評価が進んだタイトルとして扱われている。『Spirit Of The New Land』もその流れの中にあり、1990年代以降のアシッド・ジャズやレア・グルーヴの動き、さらにクラブDJやヒップホップ世代による発掘を通じて、広く知られるようになった。近年はReal Gone MusicやP-Vineによる正規リイシューも行われ、高音質アナログ盤やCDで復刻されている。
ジーン・カーンは本作やダグ・カーン作品で注目を集め、その後フィラデルフィア・インターナショナル・レコードへ移ってソロ・シンガーとして大きな成功を収める足がかりとなった。
トラックリスト
- A1 Dwell Like A Ghost 1:35
- A2 My Spirit 10:00
- A3 Arise And Shine 9:40
- A4 Blue In Green 5:24
- B1 Trance Dance 8:39
- B2 Search For The New Land 11:56
- B3 New Moon 5:25
動画プレイリスト
このアーティストについて
Doug Carnは、1948年7月14日生まれのアメリカのジャズ・ミュージシャン/プロデューサーだ。ピアノ、オルガン、キーボードを演奏し、ソウル・ジャズを...
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