Deodato - Night Cruiser (1980)
Deodato『Night Cruiser』
ブラジル出身のキーボード奏者/アレンジャー/プロデューサーであるエウミール・デオダート(Eumir Deodato)が、1980年にワーナー・ブラザース・レコードから発表したアルバムが『Night Cruiser』である。録音はニュージャージー州ウェストオレンジのHouse of Music Studiosにて、1980年2月から6月にかけて敢行された。
制作背景・エピソード
本作のレコーディング当時、デオダートは名門ファンク・バンドであるクール&ザ・ギャング(Kool & The Gang)のプロデューサーとしてキャリアの絶頂期を迎えていた。1979年の『Ladies' Night』、そして「Celebration」を含む1980年の『Celebrate!』を世界的大ヒットに導いていたその蜜月関係を象徴するように、本作の「Uncle Funk」にはクール&ザ・ギャングの共同創設者ロナルド・ベル(Ronald Bell / Khalis Bayyan)がテナー・サックス・ソロで客演している。
また「Uncle Funk」は、ブラジルの伝説的ファンク・グループであるバンダ・ブラック・リオ(Banda Black Rio)の「Mr. Funky Samba」を大胆に翻案・カヴァーした楽曲である。リズム隊にはジョン・スコフィールドのバンド等で名を馳せる名手ゲイリー・グレンジャー(ベース)や、パーカッション奏者のジミー・メイレンが参加。デオダート自身は流麗なフェンダー・ローズやシンセサイザーを操り、極上のアーバン・グルーヴを統率している。
時代の文脈とサウンド
1970年代初頭にCTIレコードで発表した「ツァラトゥストラはかく語りき(Also Sprach Zarathustra)」でグラミー賞を獲得したデオダートは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて洗練されたアーバン・ファンク/エレクトロ・ブギーへとサウンドをアップデートさせた。本作は、プロデューサーとしてR&B/ポップ・シーンの頂点に立っていたデオダートが、自らの名義でジャズ・フュージョンの高度なアンサンブルとディスコ/ブギーのフロア・グルーヴを高度に融合させた代表作である。
夜のハイウェイを疾走するような表題曲「Night Cruiser」、ローラー・ディスコ・ブームを想起させる軽快なブギー「Skatin'」、濃厚なファンク・ビートとブラジリアン・テイストが交差する「Uncle Funk」など、洗練されたアーバン・メロウネスと躍動感が見事な調和を見せている。
後世への影響
タイトルトラック「Night Cruiser」は、ラリー・レヴァン主宰のパラダイス・ガラージやデヴィッド・マンキューソのザ・ロフトでヘヴィ・プレイされたガラージ/ロフト・クラシックとしてクラブ史に刻まれている。さらにヒップホップ/R&Bシーンにおけるサンプリング源としても絶大な存在感を誇る。「Skatin'」はノトーリアス・B.I.G.の「Nasty Girl」(ディディ、ネリーら客演)やアンジー・ストーン「I Wanna Thank Ya (feat. スヌープ・ドッグ)」で引用され、「East Side Strut」はア・トライブ・コールド・クエストのファイフ・ドーグ「D.R.U.G.S.」(プロデュース:ハイ・テック)でサンプリングされた。
米ビルボードのジャズ・チャートやR&Bチャートで上位に進出し、シングル「Night Cruiser」や「Love Magic」はクラブ・フロアを席巻。クラブDJからヒップホップ・リスナーまで世代を超えて愛され続ける80年代初頭のフュージョン・ブギーの傑作である。
トラックリスト
- A1 Night Cruiser 6:15
- A2 East Side Strut 5:33
- A3 Skatin' 5:17
- B1 Uncle Funk 6:28
- B2 Love Magic 4:35
- B3 Groovitation 6:13
動画プレイリスト
このアーティストについて
Eumir Deodato(エウミール・デオダート)は、ブラジル・リオデジャネイロ出身のキーボード奏者、作曲家、アレンジャー、プロデューサーだ。1942年6月...
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