Ed Wynne - Shimmer Into Nature (2019)
Ed Wynne 2019

Ed Wynne - Shimmer Into Nature (2019)

Electronic Rock Space Rock

Ed Wynne『Shimmer Into Nature』について

『Shimmer Into Nature』は、Ozric Tentaclesの中心人物として知られるEd Wynneが、2019年に自分名義で発表したソロ作品だ。Somerset, UK出身のギタリスト/シンセ奏者/コンポーザーとして長く活動してきた人物だが、本作ではバンドの看板をいったん離れ、ひとりで音の風景を組み立てる形になっている。レーベルはKscope、UK盤は180g重量盤のゲートフォールド仕様でのリリース。視覚面でも音楽面でも、アルバム作品としてのまとまりを意識した作りになっている。

ソロ初作としての位置づけ

この作品は、Ed Wynneにとって初の本人名義ソロ作として知られている。Ozric Tentaclesでは、サイケデリック・ロック、スペースロック、電子音響をまたぐ独自の世界を長年築いてきたが、『Shimmer Into Nature』でもその延長線上にある感触がある。とはいえ、バンド作品のような集団的な推進力よりも、本人の感覚で音を積み上げていく印象が強い。ソロ作ならではの整理された流れと、細かな音色の選択が目立つ一枚だ。

制作はかなり個人的なプロセスだったようで、3年にわたる旅の途中で各地の印象を拾いながら形にされたとされる。コロラドの山地、コーンウォールやサウス・デヴォンの海岸、さらにスコットランド東岸のフォース湾付近まで、場所ごとの景色が音の断片につながっていったという流れだ。本人は、日常の浮き沈みから少し距離を置き、色彩のある音の風景に浸ることを意識したと説明している。

音の内容と聴きどころ

実際に聴くと、冒頭からギターとシンセが前に出すぎず、層を重ねるように進む場面が多い。Ozric Tentaclesで耳にしてきた流麗なフレーズ感は残しつつ、曲ごとの展開にはやや落ち着いたまとまりがある。リズムの置き方も、派手な転調で押し切るというより、一定の推進力を保ちながら細部を変えていくタイプだ。Space Rockの文脈にありながら、電子音の配置がかなり重要な役割を担っている。

収録曲の中で特定の代表曲が大きく前面に出るタイプではないが、アルバム全体で流れを追う聴き方に向いている。曲ごとの輪郭ははっきりしている一方で、全体としては連続した景色のように感じられる。ギターが主役に立つ瞬間もあれば、シンセの音像が前に出る場面もあり、その切り替えが作品の性格を決めている。

2019年当時の受け止め方

発売当時は、Prog系メディアを中心に好意的に受け止められた。Ozric Tentaclesらしさを保ちながら、ソロ作品ならではの前向きさがある、といった紹介が見られ、年半ばの時点で2019年ベスト候補に挙げる記事もあった。チャート面でも英国オフィシャル・チャートのProgressive Albumsで最高7位、3週チャートイン。Rock & Metal Albumsで最高8位、Independent Albumsで22位、Independent Album Breakersで7位という記録も残している。ソロ初作としては、かなりしっかりした反応を得た作品と見てよさそうだ。

ジャケットは英サイケ画家John Harwoodが担当している。音の内容と同じく、現実の風景をそのまま写すというより、印象を少しずらして見せるような役割を持っている。Kscopeが得意とするプログレッシブ系の文脈にも自然に収まっていて、レーベルの方向性とも合っている。

Ozric Tentaclesとのつながり

Ed Wynneは、Ozric TentaclesとNodens Ictusの中心人物として長く活動してきたが、このソロ作はその中間にあるような位置づけでもある。バンドの看板を背負った作品よりも個人的で、しかし完全に別物というわけでもない。2021年以降の動きでは、このソロ活動を経てOzric Tentaclesを再始動させた流れも語られており、『Shimmer Into Nature』は単独作であると同時に、その後の活動につながる節目の一枚とも受け取れる。

Space Rockやサイケデリック・ロックの系譜でいうと、派手な懐古よりも、音色の更新と構成の整理に重心がある作品だ。長年この系統を聴いてきた人には、Ed Wynneの持ち味がソロの形でどう現れるかを確認しやすい一枚だろう。2019年の時点で、本人の音楽的な現在地をそのまま切り取ったアルバムとして記録されている。

トラックリスト

  1. A1 Glass Staircase 7:55
  2. A2 Travel Dust 9:15
  3. A3 Oddplonk 8:00
  4. B1 Shim 7:44
  5. B2 Wherble 10:20

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