Electric Light Orchestra - Out Of The Blue (1977)
Electric Light Orchestra『Out Of The Blue』――1977年、巨大化したELOの到達点
Electric Light Orchestraの7作目となる『Out Of The Blue』は、1977年10月に発表されたダブル・アルバムである。Jeff Lynneが作詞作曲とプロデュースを担い、ELOが70年代後半にたどり着いた大作志向を、そのまま形にした作品として知られている。UK盤はJet Recordsからのリリースで、今回の盤も1977年のオリジナル期に出たもの。印象としては、単なるヒット曲集ではなく、1枚を通して構成を組んだ大規模なポップ・ロック作品という性格が強い。
アルバムの位置づけ
ELOはThe Moveから発展して生まれたバンドで、ビートルズ以後のポップ感覚と、プログレッシブ・ロック寄りの構築性を同時に追ったグループとして語られることが多い。『Out Of The Blue』は、その両面がかなり明確に出た作品だ。オーケストラ的な弦の厚み、重ねられたコーラス、シンセサイザーとロック・バンド編成の接続が、1970年代のポップ・ロックの中でもかなり独特な密度を作っている。
前作『A New World Record』で見せた洗練をさらに広げ、より派手で、より大きく、より劇場的な方向へ振った内容でもある。ELOの代表作として真っ先に挙がることが多いのも納得で、後年のJeff Lynneの仕事にもつながる、緻密な音作りの原型がはっきりしている。
「Mr. Blue Sky」を中心にした構成
本作を語るうえで外せないのが「Mr. Blue Sky」だ。晴れやかなメロディと、細かく積み上がるアレンジが印象的な楽曲で、ELOの代表曲として広く知られている。実際に聴くと、冒頭から曲の進行が速く、短いフレーズの切り替えが多い。だが、せわしなさよりも、音が次々に開けていく感じが前に出る。Jeff Lynneがスイスのアルプスで次作用の曲作りに詰まっていたところ、雲が晴れて雪山が見えた瞬間に「Mr. Blue Sky」の着想を得た、というエピソードも残っている。タイトルの「Out Of The Blue」という語感そのものが、アルバム全体の発想に重なっている。
この曲は単独で強いだけでなく、アルバム全体の明るさと陰影の切り替えを象徴している。派手なメロディの裏で、音数はかなり多い。弦、鍵盤、コーラス、リズム隊が同じ方向に走るのではなく、少しずつずれながら前へ進む作りで、ELOらしさがよく出ている。
サウンドと聴きどころ
『Out Of The Blue』は、ロック・バンドの勢いだけで押すアルバムではない。オーケストラ的な響きと、ポップ・ソングとしての分かりやすさが、かなり計算して並べられている。聴き進めると、曲ごとに雰囲気は変わるのに、全体の色調は揃っている。Jeff Lynneの制作は、音を足しながらも輪郭をぼかさない。ベースやドラムの位置がはっきりしていて、その上に弦とシンセが重なるため、分厚いのに抜けがある。
ロックとプログレの接点にある作品として見ると、同時代のQueenや10cc、あるいはYesやGenesisの大作志向とも並べて語られることがある。ただしELOは、演奏の技巧を前面に出すというより、ポップ・ソングの形式を保ちながら音像を巨大化させる方向に進んでいる。そこが本作の面白さだ。
リリースとパッケージ
このUK盤には、印刷されたインナー・スリーブ、ポスター、そして組み立て式の段ボール製スペースシップが付属する。ダブル・アルバムとしてのボリュームに加え、視覚面でもかなり作り込まれている。ジャケット周りの情報量が多く、当時のELOが「音だけでなく、作品全体をひとつの世界として見せる」ことを意識していたことがわかる。
収録音源のマスターは1977年の制作で、世界的には約1000万枚を売り上げたとされる。ELOの中でも商業的成功が大きく、バンドの知名度を一段押し上げた作品として扱われることが多い。後の『Discovery』や『Time』のような、さらにポップ寄りの展開を考えるうえでも、このアルバムの成功は重要な前提になっている。
まとめ
『Out Of The Blue』は、ELOが持っていたメロディの強さ、アレンジの緻密さ、そして大掛かりな演出志向が、1977年時点でかなり高い水準でまとまった作品である。とくに「Mr. Blue Sky」は、このアルバムの中心にある曲としてだけでなく、ELOというバンドの輪郭をそのまま示す一曲でもある。UKオリジナル盤は、その時代の空気とパッケージの作り込みを含めて、作品の存在感をそのまま伝える一枚になっている。
トラックリスト
- A1 Turn To Stone 3:48
- A2 It's Over 4:08
- A3 Sweet Talkin' Woman 3:48
- A4 Across The Border 3:52
- B1 Night In The City 4:02
- B2 Starlight 4:30
- B3 Jungle 3:51
- B4 Believe Me Now 1:21
- B5 Steppin' Out 4:38
- C1 Standin' In The Rain 4:20
- C2 Big Wheels 5:10
- C3 Summer And Lightning 4:13
- C4 Mr. Blue Sky 5:05
- D1 Sweet Is The Night 3:26
- D2 The Whale 5:05
- D3 Birmingham Blues 4:21
- D4 Wild West Hero 4:40