Oliver Cheatham - Saturday Night (1983)
Oliver Cheatham 1983

Oliver Cheatham - Saturday Night (1983)

Electronic Funk / Soul Soul Disco

Oliver Cheatham『Saturday Night』

アメリカ・デトロイト出身のソウル/R&Bシンガー、オリヴァー・チータム(Oliver Cheatham)が1983年にMCA Recordsからリリースしたソロ・スタジオ・アルバム『Saturday Night』。1980年代初頭のアーバン・ファンク/ブギー・ムーブメントを象徴する不滅の名曲「Get Down Saturday Night」を冒頭に配し、デトロイトの確かなソウル・マナーと洗練された都会的シンセ・サウンドが結実した傑作アルバムである。

制作背景・エピソード

オリヴァー・チータムは1960年代半ばからデトロイトのローカル・シーンで活動を開始し、ザ・ヤング・サーズ(The Young Sirs)やシンズ・オブ・サタン(Sins of Satan)、ラウンドトリップ(Roundtrip)といったグループで活動を重ねてきた筋金入りの実力派ヴォーカリストである。彼をメジャー・シーンへと押し上げるきっかけとなったのが、デトロイトのファンク・グループ「ワン・ウェイ(One Way)」のベーシストにして天才ソングライターであったケヴィン・マッコード(Kevin McCord)、そしてプロデューサーのアル・パーキンス(Al Perkins)との出会いであった。

マッコードとチータムが共作したオープニング・トラック「Get Down Saturday Night」は、1983年春に先行シングルとしてリリースされると瞬く間にビルボードR&Bチャートを駆け上がり、全米のみならず英国をはじめとするヨーロッパのダンスフロアをも熱狂させた。その勢いに乗って同年夏に世に送り出されたのが本作『Saturday Night』である。

時代の文脈

1980年代初頭は、1970年代末のディスコ・ブーム終息(Disco Demolition)を経て、ソウルやファンクがエレクトロニクスを取り入れながら「アーバン・ファンク/ブギー」へと劇的な進化を遂げた時代である。生演奏のリズムセクションにシンセサイザーやシーケンサー、ドラムマシンが巧みに組み合わされ、マイケル・ジャクソンの諸作やカシフ、シェリル・リンらが牽引する洗練されたダンス・サウンドが世界を席巻していた。

モータウンのお膝元であるデトロイトで培われた骨太なファンク・グルーヴと、1983年ならではのきらびやかなシンセ・アレンジが見事に融合した本作は、まさにその時代の最先端をいくサウンドであった。ニューヨークのパラダイス・ガラージをはじめとする伝説的クラブからロンドンのソウル・ウィークエンダーに至るまで、感度の高いクラバーやDJたちから圧倒的な支持を集めた。

サウンドと聴きどころ

本作の白眉である表題曲「Get Down Saturday Night」は、80sブギー/ディスコ・ファンク史の頂点に君臨する大名曲。ケヴィン・マッコードの手腕が冴え渡るうねるようなスラップ&シンセ・ベースのライン、歯切れよく空間を刻むカッティング・ギター、そして高揚感を煽るブラス・セクションと華麗なシンセのバッキングが完璧なアンサンブルを形作っている。そこにチータムの伸びやかで張りのあるソウルフルなハイトーン・ヴォーカルが乗ることで、土曜の夜の開放感と熱気が爆発する。

しかし本作の魅力はアンセム1曲にとどまらない。続く「Make Your Mind Up」や「Do Me Right」は、One Way直系のタフで重厚なファンク・ビートが冴え渡るミディアム・ブギーで、チータムのタイトなヴォーカリゼーションが堪能できる。一方で「Something About You」やセカンド・シングルとなった「Bless The Ladies」では、甘美なメロディと洗練されたコーラス・ワークが光る洒脱なモダン・ソウルを披露。バラードからアップテンポまで、デトロイト仕込みの芳醇なソウル・フィーリングがアルバム全編を貫いている。

後世への影響

「Get Down Saturday Night」が後世のクラブ・ミュージックに及ぼした影響は計り知れない。2003年、イタリアのハウス・プロデューサーであるヴィト・ルチェンテのプロジェクト「Room 5」が本曲をサンプリングし、チータム自身のヴォーカルをフィーチャーした「Make Luv」をリリース。これが世界的大ヒットを記録し、全英シングル・チャートで堂々の1位を獲得したことで、チータムの歌声は新世代のダンスフロアにも鮮烈に刻まれることとなった。

さらに、ダフト・パンク(Daft Punk)やボブ・サンクラー(Bob Sinclar)らに代表されるフレンチ・フィルター・ハウスや、近年のニュー・ディスコ/シンセ・ファンクのシーンにおいても、本作のベースラインやグルーヴは永遠の教科書として繰り返しサンプリングやエディットの対象となっている。2013年に65歳で惜しまれつつこの世を去ったオリヴァー・チータムだが、彼が刻んだ躍動感あふれる歌声とサウンドは、色褪せることのないクラブ・クラシックとして今なお輝き続けている。

トラックリスト

  1. A1 Get Down Saturday Night 6:26
  2. A2 Make Your Mind Up 4:18
  3. A3 Something About You 4:42
  4. A4 Bless The Ladies 4:16
  5. B1 Do Me Right 4:26
  6. B2 Never Gonna Give You Up 3:57
  7. B3 Through It All 4:25
  8. B4 Just To Be With You 6:04

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Oliver Cheatham

Oliver Cheatham

Oliver Cheatham(オリヴァー・チータム、1948年2月24日 - 2013年11月29日)は、アメリカ・ミシガン州デトロイト出身のソウル/R&Bシンガー。1983...

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