Isaac Hayes - Chocolate Chip (1975)
Isaac Hayes 1975

Isaac Hayes - Chocolate Chip (1975)

Funk / Soul Soul

Isaac Hayes『Chocolate Chip』(1975) レビュー

Isaac Hayesの『Chocolate Chip』は、1975年にリリースされたアルバムで、Stax離脱後の新しい活動の出発点にあたる作品だ。ABC Records傘下で、自身のレーベルHot Buttered Soul Records(HBS)から発表されており、アーティスト名義の強さとレーベル主導の動きがはっきり見える一枚でもある。ソウルの重心を保ちながら、当時のディスコの空気を取り込んだ内容で、70年代中盤のIsaac Hayesを知るうえで外せないタイトルになっている。

Staxの後、HBSから放たれた最初のアルバム

Isaac Hayesは1960年代からStaxで重要な役割を担い、作曲家、プロデューサー、アレンジャー、そしてソロ・アーティストとして存在感を高めてきた。中でも1971年の『Shaft』で大きな成功を収め、その後のソウル・ミュージックにおける位置づけを決定づけた。そんな彼が、1975年のStax経営破綻後にABCへ移り、自身のレーベルHBSから出した最初のアルバムがこの『Chocolate Chip』である。

HBSは、彼の代表作『Hot Buttered Soul』に由来する名前を持つ。自分の名前と作品の実績をそのままレーベルに結びつけた形で、当時のHayesの自立性がよく表れている。『Chocolate Chip』はその新しい体制の中で、彼がどの方向へ進もうとしていたかを示す作品として聴ける。

録音とサウンドの輪郭

1975年春、メンフィスのHot Buttered Soul Studioで録音され、Hayes自身がプロデュースとアレンジを担当している。ボーカルだけでなく、アコースティック・ピアノ、Fender Rhodes、RMIキーボード・コンピューター、コンサート・ベルまで自ら演奏しており、作品全体の設計に深く関わっていることがわかる。

収録は全7曲。「That Loving Feeling」「Body Language」「Chocolate Chip」のボーカル版とインストゥルメンタル版、「I Want to Make Love to You So Bad」「Come Live with Me」「I Can’t Turn Around」で構成される。ホーンの配置と、細かく層を重ねたビートが印象に残る作りで、ファンクの骨格の上にディスコ的な推進力を持ち込んでいる。ここでは、重く伸びるソウルの歌唱と、ダンス志向のリズムが同じ画面に収まっている。

タイトル曲を中心にしたアルバムの手触り

タイトル曲「Chocolate Chip」は、ボーカル版とインストゥルメンタル版の両方を収録している点が目を引く。アルバムの中で同じ素材を別の角度から置き直す構成で、曲そのものの輪郭を見せる役割も果たしている。歌ものとしての厚みと、演奏主体で聴いたときの推進力が並んでいるため、作品全体の性格がつかみやすい。

「I Want to Make Love to You So Bad」や「Come Live with Me」のような曲では、Hayesらしい低く深い歌い回しが前面に出る。一方で、アンサンブルは以前の重厚なオーケストラ感を引きずりながらも、よりリズムの前進を意識した作りになっている。70年代半ばのソウルが、ディスコへ接近していく流れの中にこの作品を置くと、位置関係が見えやすい。

チャート実績と評価

『Chocolate Chip』はBillboard 200で18位、R&Bアルバム・チャートでは1975年8月9日付で1位を記録し、2週間その座を保った。RIAAではゴールド認定も受けている。HayesにとってR&Bアルバム・チャートで最後の1位となった作品でもあり、70年代前半の勢いを保ったまま、時代の変化に応じた更新を試みたアルバムとして位置づけられる。

同時代のソウルやファンクの流れで見ると、重厚なアレンジとダンス・ミュージックの接続という点で、Curtis MayfieldやBarry White、あるいは同じく70年代にディスコへ接近した多くの黒人音楽の文脈と並べて聴ける。とはいえ、Hayesの場合は声の低さ、間の取り方、自己完結した制作姿勢がはっきりしていて、そこが他と分かれた印象を残す。

まとめ

『Chocolate Chip』は、Isaac HayesがStax後の環境で、自分のレーベルを掲げながら新しい時代の音へ踏み出したアルバムだ。ソウルの芯を保ちながら、ファンクとディスコの要素を取り込んだ構成、そしてタイトル曲を軸にしたまとまりがある。1975年という年の空気と、Hayes自身の歩みの両方がはっきり反映された一枚として聴ける。

トラックリスト

  1. A1 That Loving Feeling 6:36
  2. A2 Body Language 5:31
  3. A3 Chocolate Chip 5:30
  4. B1 Chocolate Chip (Instrumental) 5:32
  5. B2 I Want To Make Love To You So Bad 4:17
  6. B3 Come Live With Me 6:35
  7. B4 I Can't Turn Around 6:32

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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