Jean Knight - Mr. Big Stuff (1971)
Jean Knight『Mr. Big Stuff』
ニューオーリンズ出身のソウル/R&Bシンガー、Jean Knight(ジーン・ナイト)が1971年に名門Stax Recordsから発表した金字塔的デビュー・アルバム。全米を揺るがした歴史的大ヒット「Mr. Big Stuff」を筆頭に、ニューオーリンズの跳ねるファンクネスとサザン・ソウルの力強さが融合した名盤である。収録曲には「Don't Talk About Jody」「You City Slicker」「Take Him (You Can Have My Man)」など聴きどころが並ぶ。
制作背景・エピソード
Jean Knightは1960年代にニューオーリンズで歌手活動を行っていたが成功には恵まれず、ロヨラ大学ニューオーリンズ校の学生食堂でパン職人/調理師として働いていた。そんな彼女の才能を信じたソングライターRalph Williamsの紹介で、「クレオールのベートーヴェン」と称された名プロデューサー/アレンジャーのWardell Quezergue(ワーデル・カゼア)と出会う。Quezergueは彼女をミシシッピ州ジャクソンのMalaco Studiosへ連れて行き、伝説のマラソン・セクションで「Mr. Big Stuff」を録音した。
本作は当初、大手レーベルに軒並み断られたが、同セッションで録音されたKing Floydの「Groove Me」がチャートを急上昇したことをきっかけに、Staxの首領Al Bellがテープを聴いて即座に契約を決めた。エンジニアのJerry PuckettとTommy Couch、そしてMalacoの腕利きミュージシャンたちによるタイトな演奏が、ナイトのハスキーで歯切れの良いヴォーカルを完璧に支えている。
時代の文脈
「Mr. Big Stuff(お偉いさん気取りのあんた)」と偉そうな男を痛烈に跳ねつける歌詞は、1970年代初頭のウーマン・リブ運動や黒人女性のエンパワーメントの時代の空気と共鳴し、全米中で社会現象的な大反響を巻き起こした。シングルは全米ビルボードのソウル(R&B)チャートで5週連続1位、総合Hot 100でも2位を記録。売上は300万枚以上(ダブル・プラチナム)に達し、グラミー賞の最優秀女性R&Bヴォーカル・パフォーマンス賞にもノミネートされた。
本盤はStaxのSTS-2045(Monarch Recordsプレス)。黄色地に青いfinger snapロゴが配された1971年当時のオリジナル仕様となっている。
後世への影響
タイトル曲「Mr. Big Stuff」は、ソウル/ファンク史に残るアンセムであると同時に、ヒップホップ黎明期から現代に至るサンプリング・クラシックとしても名高い。Heavy D & The Boyzの「Now That We Found Love」をはじめ、TLC、Beastie Boys、Eazy-E、John Forte、Everclearなど、無数のアーティストにサンプリングやカヴァーをされてきた。
大学の学食で働いていた無名の女性シンガーが、時代の空気を射抜く歌声とニューオーリンズ仕込みの骨太なグルーヴによって頂点に登りつめた、アメリカン・ソウル史上に輝く奇跡のアルバムである。
トラックリスト
- A1 Mr. Big Stuff 2:44
- A2 A Little Bit Of Something (Is Better Than All Of Nothing) 3:28
- A3 Don't Talk About Jody 2:43
- A4 Think It Over 4:47
- A5 Take Him (You Can Have My Man) 2:30
- B1 You City Slicker 2:52
- B2 Why I Keep Living These Memories 3:02
- B3 Call Me Your Fool (If You Want To) 3:04
- B4 One-Way Ticket To Nowhere (It's The End Of The Ride) 4:29
- B5 Your Six-Bit Change 3:26