Jackson 5ive - Dancing Machine (1974)
Jackson 5ive『Dancing Machine』(1974)
ジャクソン5の『Dancing Machine』は、1974年のMotown盤として出たスタジオ・アルバムで、グループの後期モータウン期を代表する1枚だ。タイトル曲の大ヒットで知られ、ダンス指向を前面に押し出した内容になっている。前年までのソウル・ポップ寄りの作りから一歩進み、ファンクのリズムや反復を強く意識した構成が目立つ作品である。
1974年のジャクソン5とMotownの位置
ジャクソン5は、ジャッキー、ティト、ジャーメイン、マーロン、マイケルの5人兄弟を中心にしたグループで、Motownを代表するヒットメーカーとして1970年代前半に存在感を高めた。本作は、そのMotown時代の終盤に置かれるアルバムで、すでにグループの重心が「子どもスター」から「ダンス・グループ」へ移っていく流れがはっきりしている。1970年代半ばのソウル/R&Bシーンでは、よりグルーヴの強いファンクへ寄っていく動きが広がっており、本作もその空気をよく映している。
プロデュースはハル・デイヴィス、メル・ラーソン、ジェリー・マーセリーノ。録音とミックスはカリフォルニア州ハリウッドのMotown Recording Studiosで行われた。Motown本体の音作りの中にありながら、当時のディスコ前夜とも重なるダンス・ミュージック志向が前面に出ている点が、このアルバムの輪郭をはっきりさせている。
タイトル曲「Dancing Machine」
このアルバムを語るうえで外せないのが、タイトル曲「Dancing Machine」だ。ハル・デイヴィス、ドン・フレッチャー、ディーン・パークスの共作で、もともとは前作『G.I.T.: Get It Together』に長尺版として入っていた曲を、シングル向けにリミックスして1974年2月に出したもの。結果としてBillboard Hot 100で2位、R&Bチャートで1位、Cash Boxでは1位を記録し、1974年を代表するヒットのひとつになった。
曲そのものは、機械的な動きと人力のグルーヴが同居する作りで、リズムの押し出しがかなり明確だ。マイケル・ジャクソンが『Soul Train』でこの曲に合わせて見せた“ロボット・ダンス”も有名で、楽曲の印象と身体表現が結びついた例として記憶されている。単なるヒット曲ではなく、1970年代のテレビ文化やダンスの流行とつながった1曲でもある。
アルバム全体の流れ
収録曲では、A面冒頭の「I Am Love」が7分半におよぶ長尺で置かれているのが目を引く。シングルではないが、1975年にHot 100で15位、R&Bチャートで5位を記録し、Motown期のジャクソン5にとって最後の全米トップ20ヒットとなった。ここでは、ポップな分かりやすさよりも、展開をじっくり聴かせる構成が優先されている。
もうひとつのシングル「Whatever You Got, I Want」も含め、アルバム全体はファンクのリズム、ソウルの歌唱、モータウン流のフックを組み合わせた作りだ。派手に音数を増やすより、ベースやドラムの反復を土台にして、ボーカルの掛け合いで押していく場面が多い。ジャクソン5の初期にあった明快なポップ・ソウルとは少し違い、より身体的なノリに寄せた一枚としてまとまっている。
音の印象と時代背景
実際に聴くと、タイトル曲の存在感が非常に強く、アルバムの印象をほぼ決めている。とはいえ、1曲だけが突出しているというより、全体を通して「踊るためのリズム」を軸に作られているので、曲順で聴いたときの流れにも一貫性がある。Motownの洗練された録音と、ファンク寄りのリズム設計がぶつからずに並んでいるところが面白い。
同時代の比較でいえば、同じMotown周辺でもテンプテーションズやスプリームスの流れとは少し違い、より若い感覚とショー性が前に出ている。ファンクの文脈では、ジェームス・ブラウン系の反復するリズム感とも接点があるが、ジャクソン5の場合はそこに兄弟グループならではのボーカルの分担と、マイケルの強いリードが加わる。そこがこの時期の強みである。
作品の立ち位置
『Dancing Machine』は、ジャクソン5がMotownで残した後期の重要作として位置づけられる。商業的には成功しながら、同時にグループが次の段階へ進む前触れも含んでいる。のちに彼らはMotownを離れ、The Jacksons名義でEpicへ移るが、その前段階として、本作は「ヒットを持つMotownの看板グループ」から「より自分たちの音楽性を求めるグループ」へ移る途中の記録になっている。
74年のソウル/ファンクを知るうえでも、ジャクソン5の変化を追ううえでも、外せないタイトルである。タイトル曲の強さだけでなく、アルバム全体にあるダンス志向と、Motown後期らしい整理された作りが、当時の空気をそのまま残している。
トラックリスト
- A1 I Am Love 7:30
- A2 Whatever You Got, I Want 2:55
- A3 She's A Rhythm Child 2:37
- A4 Dancing Machine 2:41
- B1 The Life Of The Party 2:33
- B2 What You Don't Know 4:25
- B3 If I Don't Love You This Way 3:24
- B4 It All Begins And Ends With Love 3:03
- B5 The Mirrors Of My Mind 3:04