Leon Russell - Leon Russell (1970)
Leon Russell『Leon Russell』(1970)について
レオン・ラッセルのソロ・デビュー作となる『Leon Russell』は、1970年3月に登場したアルバムで、本人の名をそのままタイトルに置いた一枚だ。シンガー、ソングライター、ピアニスト、そしてセッション・ミュージシャンとして活動してきたレオン・ラッセルが、個人名義で本格的に前へ出た作品でもある。Shelter Recordsの初期カタログ、SHE 1001として出たUS盤は、レーベル初期の赤いラベルと、逆さのスーパーマン風ロゴが入った卵型デザインでも知られる。
ソロ作としての出発点
このアルバムは、ラッセルがそれまで積み重ねてきた仕事の集約のような内容になっている。バンドの中心人物としてではなく、裏方や伴奏役として数多くの現場を渡ってきた人物が、自分の曲、自分の声、自分のピアノを前面に出した構成。録音は1969年9月から1970年1月にかけて、ロンドンのオリンピック・スタジオ、ロサンゼルスのサンセット・サウンド、ゴールド・スター、ウォーリー・ハイダー、メンフィスのアーデントなど複数のスタジオで進められた。プロデュースはデニー・コーデルとラッセル本人、最終ミックスはグリン・ジョンズが担当している。
こうした制作体制からも、当時のラッセルがいかに広い人脈の中にいたかが見えてくる。参加者の顔ぶれは、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトン、リンゴ・スター、チャーリー・ワッツ、ビル・ワイマン、スティーヴ・ウィンウッド、ジョー・コッカー、ボニー・ブラムレットら、同時代のロック/ソウルの重要人物が並ぶ。ジャケット裏の献辞にもその名前が記されている。
収録曲と代表曲
冒頭の「A Song For You」は、このアルバムを代表する曲として広く知られている。静かなテンポで始まり、別れた相手に向けた言葉がまっすぐ置かれる構成で、のちにダニー・ハサウェイやカーペンターズなど多くの歌い手に取り上げられた。「Delta Lady」はリタ・クーリッジに向けて書かれた曲として知られ、ジョー・コッカーのレパートリーでも耳にする機会が多い。
そのほか、ボブ・ディランの「Masters of War」、「I Put A Spell On You」のカバーも収録。オリジナル曲と並べても違和感のない並びで、ラッセルの歌とピアノが軸になったアルバムの流れを作っている。なお、最初期のUS盤には「Old Masters」がB面3曲目として入っており、後のプレスでは外されている。SHE 1001の初回盤をめぐるポイントとして、この差は重要だ。
サウンドと時代背景
1970年初頭のロックは、シンガー・ソングライターの個人性と、バンド・サウンドの厚みが同時に求められていた時期でもある。このアルバムは、その両方を含んでいる。ラッセルのピアノは前に出るが、伴奏は単なる歌の背後に退かず、ゴスペル、R&B、ロックの要素が自然に重なっている。デニー・コーデルが関わったことで、英国側の感覚と米国南部の空気が同じ盤面に入った印象もある。
ラッセルはこの時点で、すでにセッション・ワークを通じて多くのミュージシャンに知られた存在だったが、この作品でソングライターとしての輪郭がはっきりした。のちに彼の代表曲として残る「A Song For You」や「Delta Lady」が早い段階で収められている点も、ソロ・キャリアの出発点として分かりやすい。
US初期盤の特徴
今回のUSオリジナル期の盤は、Shelter Recordsの初期赤ラベル仕様で、レーベル中央に卵型のロゴと逆さのスーパーマン風マークが入る。リムテキストには初期プレスならではの表記が見られ、後年の「Distributed by Capitol Records, Inc.」表記の盤とは区別される。カタログ番号SHE 1001という若い番号も含めて、Shelterの立ち上がりを象徴する一枚になっている。
レオン・ラッセルの名前をそのまま冠したこのアルバムは、単なるデビュー作ではなく、演奏家、作曲家、編曲家としての持ち場をひとまとめにした記録でもある。豪華な参加者名だけで語られがちだが、中心にあるのはあくまでラッセル自身の声とピアノ、その曲の運び方だ。そこがこの作品の核になっている。
トラックリスト
- A1 A Song For You 4:08
- A2 Dixie Lullaby 2:30
- A3 I Put A Spell On You 4:10
- A4 Shoot Out On The Plantation 3:10
- A5 Hummingbird 3:57
- B1 Delta Lady 4:00
- B2 Prince Of Peace 3:05
- B3 Old Masters 1:20
- B4 Give Peace A Chance 2:15
- B5 Hurtsome Body 3:35
- B6 Pisces Apple Lady 2:50
- B7 Roll Away The Stone 3:06