Curtis Mayfield - Something To Believe In (1980)
Curtis Mayfield 1980

Curtis Mayfield - Something To Believe In (1980)

Funk / Soul Funk Soul

Curtis Mayfield『Something To Believe In』(1980年)

カーティス・メイフィールドが1980年に発表した『Something To Believe In』は、ソウルとファンクを軸にしながら、70年代後半のディスコ以後の空気もまとったアルバムだ。前作『Heartbeat』(1979年)に続く時期の作品で、同じ1980年にはリンダ・クリフォードとの共演作『The Right Combination』も出ている。70年代の社会性の強い作品群で知られるメイフィールドだが、この時期はソロ・アーティストとしての表現をより洗練させ、曲ごとのムードやグルーヴを前面に出した作りになっている。

本作はメイフィールド自身のレーベルCurtomの作品として登場し、US盤はRSOから流通された。RSOは当時、ビー・ジーズやエリック・クラプトン、映画サウンドトラックで大きな存在感を持っていたレーベルで、1980年のこの盤にもその時代の流通事情が反映されている。盤面の表記やスリーブのクレジットからも、Curtom作品が外部流通を通じて世に出ていた流れが確認できる。

サウンドの軸と制作陣

プロデュースはカーティス・メイフィールド、ギル・アスキー、ケニ・バークの3人。ここで重要なのがケニ・バークの参加で、彼はベースも担当し、ラストの「Never Stop Loving Me」では共作にも名を連ねている。バークは80年代以降のソウル/R&Bで存在感を強める人物だが、このアルバムではメイフィールドの持つ滑らかな歌と、やや現代的なリズム感の橋渡し役のように機能している。

演奏面では、ジョセフ・“ラッキー”・スコット、ウェンデル・スチュワート、ロス・トラウト、トム・フェローンらが参加している。ベース、ドラムス、ギターが曲の骨格を支え、その上にメイフィールド特有のストリングス感やコードの動きが乗る構成。70年代前半の鋭い社会派ファンクと比べると、ここではリズムの押し出しよりも、曲の流れと歌のニュアンスが前に出る場面が多い。

「Tripping Out」とアルバムの中心

収録曲の中で最も知られるのが「Tripping Out」だ。シングルは1980年9月に出され、R&Bチャートで46位を記録している。全米Billboard 200ではアルバムが128位まで上昇しており、大型ヒット盤というよりは、曲単位で評価が残った作品という位置づけが近い。後年も「Tripping Out」は取り上げられることが多く、英Guardian紙は2015年にこの曲を紹介している。いつものシンコペーションを強く押し出すグルーヴではなく、4つ打ちの拍感を使った、夢見心地のラブソングとして捉えた内容だった。

実際に聴くと、「Tripping Out」はメイフィールドの声の明るさと、低音の安定感がよく出ている。派手に展開する曲ではないが、細かいリズムの置き方とストリングスの入り方で、曲全体がゆっくり前へ進む感じがある。カーティス・メイフィールドの作品は、語りかけるような歌唱とベースラインの粘りで印象が決まることが多いが、この曲でもその特徴がはっきりしている。

ジャケットと視覚面の印象

ジャケットにはアーニー・バーンズの絵画が使われている。バーンズは元プロ・フットボール選手から画家に転じた人物で、マーヴィン・ゲイ『I Want You』の「The Sugar Shack」でも知られている。本作の絵は「Late Night DJ」と題され、スポットライトの下でレコードを手に語りかける赤いドレスの女性DJを描いたもの。雨の夜のアトランタでラジオを聴きながら着想したとされており、音楽を聴く場面そのものを切り取ったような構図になっている。

バック・スリーブには1980年のErnie Barnesのクレジットがあり、ラベルにはCurtom Record Company, Inc.の表記が入る。US盤は2本のプレスリングが確認でき、内側36mm、外側75mmという仕様。こうした盤の情報も、当時のオリジナルUSプレスを追ううえで手がかりになる。

カーティス・メイフィールドの中での位置

カーティス・メイフィールドは、The Impressionsでの活動からソロ転向後まで一貫して、ソウルに社会性とメロディを持ち込んだ人物として知られる。1970年の『Curtis』、映画『Super Fly』周辺の仕事など、70年代前半の評価は特に高いが、80年の『Something To Believe In』は、その流れを保ちながら時代の音に合わせて更新した一枚として見えてくる。重いテーマを前面に出すというより、恋愛や日常の感触を通して歌の輪郭を整えている印象がある。

同時代のソウルやファンクの中では、より洗練されたアレンジや柔らかいボーカル処理が目立つ部類に入る。70年代の政治性の強いファンクと、80年代のアーバン寄りのソウルのあいだにある作品として、メイフィールドの作家性がどう変化したかを追ううえでも興味深い。派手な代表曲ばかりで語られる盤ではないが、「Tripping Out」を中心に、曲の作りと歌の置き方にメイフィールドらしさが残るアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Love Me, Love Me Now 7:56
  2. A2 Never Let Me Go 3:07
  3. A3 Tripping Out 6:59
  4. B1 People Never Give Up 5:50
  5. B2 It's Alright 3:53
  6. B3 Something To Believe In 4:45
  7. B4 Never Stop Loving Me 3:34

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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