Muse - Origin Of Symmetry (2001)
Muse『Origin Of Symmetry』レビュー
Museの『Origin Of Symmetry』は、2001年にUKのMushroomから出た2作目のアルバムだ。Teignmouth, Devon出身の3人組による作品で、前作『Showbiz』で見せた内省的なオルタナティヴ・ロックから一歩進み、より大きな音、より強い起伏、より露骨な攻撃性へ振り切った内容になっている。Museというバンドの輪郭がここでかなりはっきりする。Matthew Bellamyの高音ボーカル、Chris Wolstenholmeの低くうねるベース、Dominic Howardの直線的なドラム、その3つがぶつかり合う構図が、すでに完成に近い形で見えている。
作品の位置づけ
このアルバムは、Museにとってブレイク前夜ではなく、ブレイクそのものに近い段階の重要作だ。後年の大規模な会場を想定した演奏スタイルや、クラシック音楽由来の構成感、ロックのリフを巨大化させる感覚が、かなり早い時点でまとまっている。英音楽メディアでは当時から評価が割れたようだが、時間がたつほど代表作として扱われることが多くなった作品でもある。バンドのキャリア全体で見ると、『Absolution』や『Black Holes & Revelations』へつながる基礎が、この1枚でかなり固まった印象がある。
音の作りと聴きどころ
制作面では、2000年末のツアーの合間に録音された曲が核になっている。『New Born』『Plug In Baby』『Bliss』『Darkshines』などが中心で、David Bottrillらが制作に関わったことで、音の密度が高く、細部まで詰め込まれた仕上がりになっている。ピアノ、オルガン、分厚いギターリフ、時にオペラ的に聞こえる展開が同じ曲の中で混ざり合い、1曲ごとの振れ幅が大きい。
実際に通して聴くと、冒頭からテンションを上げ続けるというより、緊張と解放を何度も繰り返す作りが目立つ。特に『New Born』の導入部からの加速、『Plug In Baby』のリフの明快さ、『Bliss』の推進力は、このアルバムの性格を端的に示している。『Citizen Erased』のような長尺曲では、静かな部分と激しい部分の切り替えがはっきりしていて、Museが後に得意にする“構成で押す”やり方がすでに見える。
代表曲と反応
代表曲としては『Plug In Baby』がまず挙がる。ギターリフの記憶性が強く、Museの名前を広く知らしめた曲のひとつだ。『Feeling Good』のカバーも重要で、原曲の持つ古いポップスの輪郭を残しながら、バンドの重さと劇性をそのまま持ち込んでいる。こうした選曲からも、Museが単なるオリジナル曲主体のロックバンドではなく、既存曲を自分たちの文法へ組み替える段階に入っていたことがわかる。
当時の評価はかなり割れた。『The Guardian』はかなり辛口だった一方で、NMEは野心作として高く見ていたとされる。こうした反応は、この作品が中途半端な落としどころを避けていることの裏返しでもある。2001年という時期を考えると、UKロックがオアシス以降の流れと、よりラウドで実験的な方向のあいだで揺れていた中で、Museはその両方を強く引き寄せていたように見える。Radiohead以後の緊張感、Queenを思わせる大仰さ、グランジ由来の重さが同居するという見方もされやすい作品だ。
リリースと盤の特徴
UK盤はMushroomのMUSH93LPで、ジャケットや盤面の資料では印刷されたインナー・スリーヴが付く。2001年のオリジナル盤として出たこのレコードは、後年の再発盤と違って、当時の初出としての意味がある。アートワークやパッケージも含めて、2001年当時のMuseの空気をそのまま閉じ込めた一枚と言える。米国ではリリースがいったん見送られた経緯もあり、UKでの反応がこの作品の評価を形づくった面が大きい。
まとめ
『Origin Of Symmetry』は、Museが若いオルタナティヴ・ロック・バンドから、劇的な展開と巨大な音像を武器にするバンドへ変わっていく節目の作品だ。曲ごとの情報量が多く、演奏も構成もかなり詰め込まれている。派手さだけでなく、細かい切り替えや音の重ね方に聴きどころが多いので、Museの後の歩みを知るうえでも重要な位置にあるアルバムだと受け取れる。
トラックリスト
- A1 New Born 6:03
- A2 Bliss 4:12
- B1 Space Dementia 6:21
- B2 Hyper Music 3:21
- B3 Plug In Baby 3:41
- C1 Citizen Erased 7:19
- C2 Micro Cuts 3:38
- C3 Screenager 4:21
- D1 Darkshines 4:47
- D2 Feeling Good 3:20
- D3 Megalomania 4:39