Ozric Tentacles - Pungent Effulgent (1989)
Ozric Tentacles『Pungent Effulgent』(1989)
Ozric Tentaclesは、1980年代の英国に現れたスペース・ロック/サイケデリック・ロック・バンドである。ソマセットで結成され、ライブ会場でカセット作品を売るところから活動を広げていったグループで、本作『Pungent Effulgent』は1989年にDemi Mondeから出た最初期の重要作にあたる。のちに自主レーベルDovetail Recordsを立ち上げ、同作を再発する流れにつながっていくため、バンドの初期の転換点を示すアルバムとして見ておきたい一枚である。
レーベルを通じて初めて整った作品
Ozric Tentaclesは、もともとライブ会場でカセットを手売りする形で知られていたが、『Pungent Effulgent』では、はじめてレーベル基準の制作体制に乗った。Demi Mondeは元Hawkwind、Amon Düül IIのベーシスト、Dave Andersonが立ち上げたレーベルで、1970年代的な音楽の発信を目的としていた。そうした背景のレーベルから出たこの作品には、単なる自主録音の延長ではない、アルバムとしてのまとまりが感じられる。
録音は1988年に行われ、1989年にUK盤LPとして登場した。なお、このオリジナル盤はLPのみのリリースで、後年のバンド側の再発盤とは構成が異なる。1990年にはDovetail Recordsから再発され、そこでは「Wreltch」「Agog In The Ether」が追加されているため、1989年盤は当時の形をそのまま残した版として位置づけられる。
音の中身は、曲ごとの振れ幅が大きい
このアルバムの面白さは、スペース・ロックという大きな枠の中で、曲の性格がかなりはっきり分かれている点にある。アンビエント寄りの「Phalarn Dawn」ではディジュリドゥが印象を作り、空気の層を重ねるような進み方を見せる。一方で「The Domes Of G'Bal」にはレゲエ的な要素があり、同じバンドの作品でもリズムの置き方がかなり違う。「Kick Muck」はノイジーなロック曲として押し出しが強く、ここでは音数の多さよりも勢いが前に出る。こうした振れ幅が、アルバム全体の推進力になっている。
また、この時期のOzric Tentaclesは、当時台頭していたハウス・ミュージックの環境の中で、ギターバンドとしては珍しくサンプリングを積極的に取り入れていた点でも語られている。生楽器の演奏感だけで押し切るのではなく、電子的な処理や断片的な音を曲の中へ組み込み、サイケデリックな広がりを別の方法で作っているところが本作の特徴である。
同時代のスペース・ロック文脈の中で
Ozric Tentaclesを語るとき、Hawkwindとの近さは外せない。実際にレーベルを立ち上げたDave AndersonがHawkwindの元メンバーであることも含め、この作品は70年代スペース・ロックの流れを80年代の感覚で受け継いだものとして見やすい。とはいえ、単純な復古ではない。エレクトロニクスやサンプリングを含めた処理、レゲエやアンビエントを横断する構成によって、同時代の英国インディーやクラブ文化とも接点を持つ音になっている。
批評面ではAllMusicで高評価を得ており、当時のギターバンドが苦戦しがちな状況の中で、別の手触りを持つバンドとして受け止められていた。大きなヒット曲が前面にあるタイプの作品ではないが、アルバム全体を通して聴くと、短い曲単位で景色が切り替わる作りがよく分かる。代表曲として名前が挙がりやすいのは「Phalarn Dawn」や「Kick Muck」あたりで、どちらもバンドの性格を端的に示す曲である。
初期Ozric Tentaclesの輪郭
本作には、後年の長く続くOzric Tentaclesの出発点がかなりはっきり出ている。Ed Wynneが中心にいること、メンバーの入れ替わりが多いこと、そしてライブ感覚とスタジオ作業の両方を行き来すること。そうした要素が、1989年の時点でひとつのアルバムとしてまとまっている。ライブの延長にある粗さと、レーベル作品としての整理された構成が同居している点が、『Pungent Effulgent』の輪郭を作っている。
Ozric Tentaclesのディスコグラフィーの中では、のちの『Erpland』へ続く前段階としても重要で、バンドが自主運営へ向かう流れを考えるうえでも外せない。1989年のUK盤オリジナルは、その始まりを記録した一枚である。
トラックリスト
- A1 Dissolution (The Clouds Disperse)
- A2 O-I
- A3 Phalarn Dawn
- A4 The Domes Of G'Bal
- B1 Ayurvedic
- B2 Kick Muck
- B3 Agog In The Ether
動画プレイリスト
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Ozric Tentacles - Dissolution (The Clouds Disperse)
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Ozric Tentacles - O-I
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Ozric Tentacles - Phalarn Dawn (Trippy Space Rock Visualizer / Ambient Fractal Art)
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Ozric Tentacles - The Domes Of G'Bal - [Visualization] (MK2V1)
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Ozric Tentacles - Shaping The Pelm [Visualization] (MK2V1)
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Ozric Tentacles - Ayurvedic
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Ozric Tentacles - Kick Muck
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Ozric Tentacles - Agog In The Ether [Visualization] (MK2V1)