Quatermass - Quatermass (1970)
Quatermass『Quatermass』
Quatermassは、ベーシスト/ヴォーカルのジョン・ガスタフソン、キーボードのピーター・ロビンソン、ドラムのミック・アンダーウッドによるトリオ。1969年に結成され、1970年にHarvestから唯一のスタジオ盤『Quatermass』を残した。今回の日本盤はOdeon(OP-80085)からのリリースで、作品自体はオリジナルと同じ1970年のタイトル。収録曲はオリジナル曲中心で、録音はロンドンのEMI Studios Abbey Road、A.I.R.(London)制作となっている。
制作背景・エピソード
バンドの人脈はEpisode Six周辺と深くつながっている。アンダーウッドはRitchie BlackmoreとThe Outlawsで活動しており、ガスタフソンはThe Merseybeatsの出身。のちにアンダーウッドはEpisode Sixのドラマーとなり、ガスタフソンもRoger GloverがDeep Purpleへ移った後にEpisode Sixへ加わった。そうした経緯を持つ3人が、Quatermassとしてまとまった作品を残した形になる。
制作面ではAnders Henrikssonがプロデュースを担当し、録音はAbbey Roadで行われた。アルバムの中核はオリジナル曲だが、シングルでは「Black Sheep of the Family」と「One Blind Mice」が出ている。「Black Sheep of the Family」は後年Rainbowに取り上げられ、曲の履歴をたどるうえで重要な一曲になった。アンダーウッドは録音時期にもBlackmoreと近い関係を保っており、『In Rock』の制作中にDeep Purpleのスタジオを訪れていたという記録もある。
作品のリリース形態では、ゲートフォールド仕様で出たことが記されている。日本盤のOdeonレーベルは、EMIグループの一部として扱われたOdeon系の流通の中に位置づけられる。
時代の文脈
1970年は、King Crimson、Yes、Jethro Tull、Deep Purpleらが活動の幅を広げていた時期で、Quatermassの『Quatermass』もその流れの中に置かれる。AllMusicでは、鍵盤中心のプログレを好む聴き手向けの盤として扱われ、音像はearly Deep Purpleに近いものとして語られている。ロビンソンはその後Brand Xへ、ガスタフソンはRoxy MusicやIan Gillan Bandへ進み、メンバーそれぞれの後年の経歴からも、この時期の英国ロックの交差点にある作品だったことが見えてくる。
バンドは1971年初頭に解散しており、アルバム1枚を残して消えた短命な存在だった。商業的には大きな成功を収めていないが、そのぶん作品単位で語られることが多い。
後世への影響
後世への影響としては、「Black Sheep of the Family」がRainbowに採用された点が大きい。Deep Purple関連の文脈へつながることで、Quatermassの名前もあわせて知られるようになった。再発やレビューの場では、コレクター向けの隠れた名盤として扱われることが多く、そうした再評価が現在の位置づけにつながっている。
AllMusicのMike DeGagneは、ストリングスの広がり、アンダーウッドのドラム、ロビンソンのキーボードを高く評価し、よく練られたプログレとして総括している。収録曲では「Laughin' Tackle」に16本のヴァイオリン、6本のヴィオラ、6本のチェロ、3本のコントラバスが使われ、ロビンソンが編曲を担当。ここにアンダーウッドのドラム・ソロが重なる構成になっている。
チャート面では大きな記録は残しておらず、数字よりも、録音背景やその後の引用で語られるタイプの作品。1970年の英国ロックの中で、演奏者同士のつながりと、後年まで引かれる曲を持ったアルバムとして残っている。
トラックリスト
- A1 Entropy
- A2 Black Sheep Of The Family
- A3 Post War Saturday Echo
- A4 Good Lord Knows
- A5 Up On The Ground
- B1 Gemini
- B2 Make Up Your Mind
- B3 Laughin' Tackle
- B4 Entropy (Reprise)