René & Angela - Wall To Wall (1981)
René & Angela『Wall To Wall』(1981)
René & Angelaの『Wall To Wall』は、1981年にCapitol Recordsから出た2作目のスタジオ・アルバム。ロサンゼルスのソウル・デュオとして活動していたRené MooreとAngela Winbushが、80年代初頭のR&B/ファンクの空気をそのまま詰め込んだ一枚である。前作でR&Bチャート入りを果たした後の作品で、デュオとしての輪郭がいっそうはっきりした時期の記録でもある。
作品の位置づけ
René & Angelaは、後にソロでも存在感を残すAngela Winbushと、René Mooreによる男女デュオ。『Wall To Wall』の時点では、すでにCapitolでのヒットを持ち、アルバム全体でもその方向性が固まっている。制作面ではBobby Watsonとデュオ自身がプロデュースを担当し、楽曲の多くも2人の共作。身内的な距離感の近さが、そのまま曲のまとまりに出ている。
録音は1981年7月、カリフォルニア州バーバンクのKendun Recorders。参加ミュージシャンもかなり豪華で、ドラムにJeff PorcaroやJohn Robinson、ベースにLouis JohnsonやJames Jamerson、ホーンにJerry HeyやChuck Findleyといった名前が並ぶ。80年代初頭のウェストコースト系R&Bらしい、演奏の精度が高い作品群の中に置いても印象が残るクレジットである。
サウンドの印象
実際に聴くと、シンセベースの押し出しと、タイトなドラム、ホーン・アレンジの切れ味がまず耳に入る。Boogie、Funk、Soulというタグがそのまま体感に近く、リズムが前へ出る曲でも歌の輪郭が崩れない。RenéとAngelaの掛け合いも、この作品の重要な要素で、デュオ作品としての会話感がある。どちらか一方が主役に寄りすぎず、フレーズの受け渡しで曲を進めていく作り。
派手な装飾で押すより、グルーヴの反復とボーカルの整理で聴かせるタイプのアルバム。そこには、同時代のファンク/R&Bに見られる洗練されたスタジオ・プロダクションがある一方で、歌の芯はかなり直接的。1980年代初頭のLAソウルの空気、たとえば同じくスタジオ精度の高いR&Bを鳴らしていた周辺の作品群と並べて聴くと、演奏の密度とボーカルの距離感がよく見える。
収録曲と代表曲
このアルバムでは「I Love You More」が特に知られている。BillboardのR&Bチャートで14位を記録した曲で、後年のヒップホップやR&Bでサンプリングされたことでも存在感が増した。The Notorious B.I.G.の「I Love the Dough」や、Monicaの「Everything to Me」のリミックスで一節が使われており、80年代R&Bのフレーズが90年代以降へつながっていく流れの中に置ける。
タイトル曲「Wall To Wall」もR&Bチャートで37位を記録している。アルバム全体の中では、派手なヒット曲だけでなく、曲順の中でグルーヴをつないでいく役割が大きい。シングル先行でアルバムの印象が決まるというより、1枚通してデュオの声と演奏の関係を見せる作品。
チャートと反応
チャート面では、Billboard 200で100位、Top Soul LPsで15位を記録。大きなポップ・ヒットに偏らず、R&B市場でしっかり受け止められたアルバムとしての成績である。AllMusicでは4つ星評価が付いている。評価の軸も、デュオの歌唱、アレンジ、演奏陣の強さに集まりやすい作品。
盤の見どころ
このUS盤はCapitol Records、カタログ番号はST-12161。リリースノート上では、ランアウトに⎯⎯◁の刻印があるWinchester pressing plant variationとされている。1981年当時のCapitolらしいUSオリジナル盤の一つで、ジャケット表記も含めて当時の初出の空気が残る。
なお、Capitolのロゴや表記は時期によって細かな違いがあるが、この作品自体は1981年のオリジナル・リリースとして見るのが自然。後年の再発盤とは、盤の刻印やプレス工場の違いで見分けることがある。
まとめ
『Wall To Wall』は、René & Angelaが80年代初頭のR&B/ファンクの中で、デュオとしての色を固めていく段階のアルバム。演奏陣の強さ、シンセと生演奏のバランス、男女ボーカルの受け答え、そして「I Love You More」に代表される後年への残り方まで、要素がはっきりしている。ヒット曲だけでなく、アルバム全体の流れで聴くと、Capitol期のこのデュオがどんな立ち位置にいたのかが見えやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 Wall To Wall 5:23
- A2 Just Friends 3:23
- A3 Secret Rendezvous 4:10
- A4 Wanna Be Close To You 6:02
- B1 I Love You More 5:30
- B2 Love's Alright 3:40
- B3 Imaginary Playmates 4:30
- B4 Come My Way 4:46