Sven Wunder - Doğu Çiçekleri (2019)
Sven Wunder 2019

Sven Wunder - Doğu Çiçekleri (2019)

Jazz Folk, World, & Country Funk / Soul Jazz-Funk

Sven Wunder『Doğu Çiçekleri』レビュー

スウェーデン、ストックホルムを拠点に活動する作曲家 Sven Wunder による『Doğu Çiçekleri』は、2019年に登場したデビュー作である。Piano Piano Records からの初回盤は300枚のみのプレスで、のちに広く流通する前の、かなり限られた形で世に出た作品でもある。Sven Wunder は同レーベルを John Henriksson とともに運営しており、この作品はレーベルとアーティストの輪郭を同時に示す一枚としても見えてくる。

作品の輪郭

本作は、ジャズ・ファンクを軸にしながら、60〜70年代のライブラリー音楽、映画音楽、アナトリアン・ロック、ヨーロッパのサウンドトラック的な感触をつなぎ合わせたような内容になっている。タイトルの印象どおり、地中海東部やトルコ周辺の空気を思わせる旋律や音色が前に出ていて、ストックホルム発の作品でありながら、地理的な距離を越えた景色が立ち上がる構成である。

Pitchfork でも触れられているように、サズ、オルガン、シンセ、重めのドラムが要所で絡み、曲ごとの派手な切り替えよりも、一定のグルーヴと質感で引っ張る作りが印象に残る。音の数は多すぎず、しかし空間は広い。リズム隊が前へ出る場面でも、メロディが埋もれず、全体として秩序のある流れが保たれている。

聴きどころ

この作品でまず目に入るのは、いわゆる“現代のレトロ趣味”に寄りすぎない点である。古い録音を模した質感は確かにあるが、単なる懐古ではなく、曲の組み立て自体がよく整理されている。リフやモチーフが短く提示され、それが少しずつ形を変えながら続いていくため、アルバム全体に統一感がある。聴感としては、各曲が独立しているというより、1本の長い映像作品を追っているようなまとまりがある。

特に、重いドラムと低音の推進力が出る場面では、ジャズ・ファンクらしい身体性がはっきりする一方、旋律の運びには民俗音楽的な響きもある。そのため、単に踊るための音楽というより、風景や移動の感覚を伴った器楽作品として耳に残る。派手な展開で押すタイプではないが、細部の音色が変わるたびに景色が切り替わるような作りである。

デビュー作としての位置づけ

『Doğu Çiçekleri』は、のちに『Eastern Flowers』の題でも流通することになるが、2019年時点での初期像をそのまま示す重要な一枚といえる。Sven Wunder の作品群は、その後もライブラリー音楽や映画音楽、地域音楽の要素を横断していくが、その出発点として本作が持つ役割は大きい。匿名性のある雰囲気、しかし構成は明快というバランスが、すでにこの段階で形になっている。

Piano Piano Records の初回プレスが少数だったこともあり、当初からコレクターの間で注目されやすい条件はそろっていた。再流通後はより広い範囲で聴かれるようになったが、初期盤はローカルな制作体制と独立レーベルの空気を強く感じさせる。盤としては、後年の広がりよりも先に、2019年の時点でこの世界観を提示していたことに意味がある。

まとめ

『Doğu Çiçekleri』は、Sven Wunder の名を決定づけた初期作として、ジャズ・ファンク、東地中海的な旋律感、映画音楽的な構成を一つの流れにまとめたアルバムである。録音の質感、リズムの重さ、オルガンやシンセの使い方がそろっていて、作品全体に一貫した手触りがある。2019年に小さな初回盤として現れたこの一枚は、その後の活動を見ても、出発点としてかなり明確な輪郭を持っている。

トラックリスト

  1. A1 Black Iris 2:53
  2. A2 Tulip 2:48
  3. A3 Magnolia 3:03
  4. A4 Lotus 3:24
  5. A5 Lily 3:13
  6. A6 Red Rose 3:45
  7. B1 Hibiscus 3:51
  8. B2 Magnolia (Reprise) 2:27
  9. B3 Morning Glory 2:18
  10. B4 Chamomile 2:27
  11. B5 Hyacinth 3:16
  12. B6 Daisy 2:24
  13. B7 Gilboa Iris 2:11

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